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勢いよりも「格」を重視すべき一戦/レパードS

  • 2017年08月02日(水) 18時00分

■レパードS(G3・新潟ダ1800m)フルゲート15頭/登録25頭


【コース総論】新潟ダ1800m

・コースの要所!

★大きな紛れがないコースで人気サイドが優勢。2番人気の強さに注目。
★枠番による有利・不利は小さめだが、外枠は少しだけ割引が必要か。
★完全に先行勢優勢で4コーナー5番手以内でないと勝ち負けは厳しい。





 ホームストレッチの4コーナー寄りからスタート。最初のコーナーまでの距離が非常に長いので、フルゲートでもスタート直後のゴチャつきはない。また、高低差がわずか0.5mしかない「ド平坦」であるのも、新潟ダートの大きな特徴。小回りでコーナー部分での加速が難しいためか、直線が長くてもなかなか差せないのが特徴だ。

 まずは人気別成績だが、1番人気の信頼度は連対率41.7%、複勝率57.7%と「並」以下。対照的に絶好調なのが2番人気で、勝率・連対率ともに1番人気を上回っている。データ母数の大きな条件下で、このような逆転現象が起きるケースはたいへん珍しい。2番人気の貢献もあって、全体的には人気サイドが強い内容となっている。

 最初のコーナー進入までに距離があるためか、枠番による有利・不利は小さめ。もっとも信頼度が高いのは中枠である馬番6〜10番で、こちらは単勝回収率の高さが目立っている。とはいえ、信頼度自体は内枠や外枠もそう差はなく、外枠における枠番値の低さが目立つ程度。トータルで考えると「外枠が少しだけ不利」という、競馬の基本に忠実なコースといえそうだ。

 そして、かなり重視したいのが「脚質」である。前述したように「差せそうで差せない」のが新潟ダ1800mで、4コーナー11番手以下から勝った馬はなんとゼロ。中団から差すのすら難しく、馬券に絡んだ馬の約4分の3が、4コーナーを「5番手以内」で通過している。先行力なしには勝ち負けできないコース──といっても過言ではない。

【レース総論】レパードS(G3) 過去8年

・レースの要所!

★1番人気馬は[5-1-2-0]と複勝率100%。人気サイドが圧倒的に強いレース。
★枠番による信頼度の差は小さいが、枠番値に大差アリ。外枠はマイナス。
★逃げ切った馬はいないが先行勢が圧倒的に優勢。差すのは非常に難しい。
★地方交流や中央1000万下からのローテが好成績。前走人気も要チェック。








 GIIIに格付けされる以前からの過去8年を集計対象としたが、レースの平均配当は単勝304円、馬連1448円、3連複1万445円という低さ。単勝平均配当の低さは、JRAの全重賞でも一二を争うレベルと思われる。勝ち馬はすべて2番人気以内で、2着馬も8頭のうち6頭が4番人気以内という、鉄板級の堅さ。さすがに3着はそれなりに紛れているが、ここで高配当を狙いにいくのは無謀だろう。

 関東圏のレースだが強いのは関西馬で、トータル[6-7-6-42]で連対率21.3%、複勝率31.1%をマーク。複勝回収率の高さも関東馬とは段違いで、明らかに西高東低の傾向にある。また、夏の重賞だが牝馬がそれほど強くはないというのも、レパードSの特徴。やはりダート重賞だと、牡馬のタフさがモノをいう。

 次に枠番だが、こちらはコースデータ同様に大差なし。信頼度がもっとも高いのが中枠であるのも、コースデータと同じである。ただし、注目したいのが枠番値で、内枠である馬番1〜5番がプラス0.7、外枠である馬番11〜15番がマイナス0.6と、大差が出ている。やはり、少し内枠有利&外枠不利だと考えたほうがいい。

 脚質に関しても、おおむねコースデータ通り。逃げ切った馬は1頭もいないが、4コーナーを先頭で通過した馬の半数が馬券に絡んでいる。先行勢と中団待機組の成績差はご覧の通りで、4コーナーを11番手以下で通過した馬は連対例ゼロ。イメージ以上に先行勢が強いレースで、軸馬は必ず前に行ける組から選ぶべきだ。

 次にローテだが、もっとも好成績なのは4勝を挙げているジャパンダートダービーに出走していた組。それ以外ではユニコーンS組や、古馬混合の1000万下で勝ち負けしてきた組が活躍している。つまり、前走で出走していたレースの「格」が、そのまま結果に繋がっているのだ。エピカリスのような海外遠征組は今回が初だが、相応に高く評価してしかるべきだろう。

 あとは、前走着順よりも前走人気がアテになるというのも、このレースの攻略ポイント。前走4番人気以内馬はトータル[7-7-7-47]で複勝率30.9%、前走5番人気以下馬は[1-1-1-44]で同6.4%と、その差は歴然である。前走着順がイマイチな馬であっても、人気に推されていれば巻き返してくる余地アリ。コレは絶対に覚えておきたい。

【馬場&血統総論】


・現在の馬場
 先行勢がやたらと残る、いつも通りの新潟ダート。

・天候予測
 週末にかけて天候が崩れるような兆候はなし。良馬場前提でオッケイ。

・注目血統
 シニスターミニスター産駒◎、ダイワメジャー産駒○、カネヒキリ産駒▲

 ダート重賞なので、馬場バイアスに関して気をつかう必要ナシ。先週の結果を確認しても、前が止まらずにそのまま残るという、いつも通りの新潟ダートという印象である。梅雨もすっかり明けて今後も好天が続くようで、馬場が渋るケースも想定する必要はないはず。パッサパサに乾燥した良馬場のダート戦となりそうだ。

 血統面での注目株は、なんといってもシニスターミニスター産駒。このコースでシアトルスルー〜エーピーインディに代表されるBold Ruler系が強いのは、血統マニアの中では有名な話である。あとは、ダイワメジャー産駒とカネヒキリ産駒が見せているコース適性の高さも、なかなかのレベル。しっかりプラスに評価しておきたい。

★出走登録馬・総論×各論

 確実に出走できるのはエピカリスなど8頭で、残りの7枠が17頭による抽選となる。とはいえ、ここで好走するには重賞、もしくは古馬混合の1000万下で勝ち負けしてきた実績が必要不可欠であり、抽選対象となる組で勝負になりそうなのは、アディラートと初ダートのイブキくらいのものだろう。

 netkeiba.comでの予想オッズは、国内無敗のエピカリスが圧倒的1番人気。それに続くのがアディラート、タガノディグオ、ハルクンノテソーロ、テンザワールドなどだが、このあたりは大混戦である。実際にレース当日のオッズも、2番人気以下は接戦となるはず。図式としては、エピカリスの「一強」である。

 そして、レパードSは非常に堅く、前走で出走していたレースの「格」がそのまま結果に繋がる傾向にあるレース。ならばここは、やはりエピカリスを素直に信頼したい。デビューからの4連勝で見せた次元の違う走りは本当に印象的で、新潟ダ1800mも経験済み。海外遠征帰りでデキがどうかだが、あの慎重な萩原調教師が使ってくる以上、最低でも8割以上の仕上がりにはあるはずだ。

 二番手評価にテンザワールド。ダート中距離を使われるようになってからメキメキと力をつけており、前走の濃尾特別では古馬を相手に2馬身半差の完勝。スッと前に行けるダイワメジャー産駒らしい先行力を備えているのは大きな武器で、新潟ダ1800mでこれまで以上のパフォーマンスを発揮できる可能性もある。

 少し離れた三番手評価に、ハルクンノテソーロ。青竜Sに続いてユニコーンSでも2着に好走と、現3歳世代でトップクラスのダート馬であるのは間違いない。新潟はダ1200m戦で勝っているが、これがダ1800mへの距離延長でどうか。血統的にも距離が延びていいタイプではなさそうなだけに、一抹の不安は残る。

 四番手評価にスターストラック。500万下、1000万下を連勝したように、ここにきての充実ぶりが目立つ1頭だ。函館ダ1700mをこなせるのだから平坦の小回りは合うはずで、ある程度は前々の位置を取りに行ける先行力も有しているなど、意外に侮れない側面アリ。人気薄でもし「一発」があるとすれば、この馬だと見ている。

 以下は、タガノディグオ、アディラート、シゲルコングという評価の序列。枠番による評価の上げ下げがそれほどないコースなので、エピカリスとテンザワールドの2頭がデータ的に高評価というのは、レース当日になっても変わらないはずだ。


■総論×各論・先週の馬券回顧





新潟11レース アイビスSD(G3)
1着 15ラインミーティア
2着 10フィドゥーシア
3着 14レジーナフォルテ

勝ち馬だけサクッとヌケた(#^ω^)ビキビキ

外枠で「新潟芝1000m直の西田騎手」というだけでも買えたはずの15ラインミーティア。それが見事にヌケちゃうんだからアホである(自嘲)。そもそも、3連単で買ってるから絶対に当たらないんだけどね!

※コース&血統データは2014年以降、レースデータは2009年以降が集計対象です。
※枠番値は、当該枠番における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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