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【勝ち星同期トップ】武藤雅騎手(1)『同期で最後の初勝利から形勢逆転の快進撃!』

  • 2017年08月09日(水) 18時01分
キシュトーーク

今回のゲストは同期トップの勝利数を挙げている新人・武藤雅騎手です


今年の新人騎手5名の中で、最後に初勝利を挙げた武藤雅騎手。そこから4か月が経った今、形勢は逆転。一気に同期トップの勝利数へと駆け上がりました。ここにきてリズムをつかめてきた感のある武藤騎手。どんな考え方で、どんなテーマを持って競馬に臨んでいるのか…勝ち星量産の秘密に迫ります。
(取材・文/森カオル)


自分で言うのもなんですが、真面目なんです(苦笑)


──2回福島では3勝をマークされて、現時点(7月23日終了時点)で同期トップの7勝(JRAのみ)。ここにきて、リズムをつかめてきた感があるのでは?

武藤 そうですね。だいぶ流れが良くなってきたような感触はあります。いい馬にもたくさん乗せていただいてますし。

──初勝利は4月23日の福島6R(ノーブルプルート)で、同期5人のなかでは最後でしたね。やはり焦りなどはありましたか?

武藤 焦りはなかったんですけど、前の日に同じ福島で(富田)暁が勝って、「あ…、(未勝利は)一人になっちゃったな」と(苦笑)。やっぱり同期には負けたくないという気持ちが強かったので、ちょっと悔しい気持ちはありました。

──でも、その翌日にすぐさま初勝利。狭いところを抜けてくるという、見応えのあるレースでした。

武藤 ありがとうございます。水野先生からは「先行してほしい」という指示だったので、2番手の内側でジッとしていました。直線はもう、「開いてくれ!」と祈るばかりで。狭かったんですけど、脚は十分にあったので、思い切って突っ込んでいけました。自厩舎の馬で勝てたことが本当にうれしかったです。

──ここまでの勝利を振り返ると、1年目にして、一呼吸置ける冷静さを持ってらっしゃるなと。常に冷静ですよね。

武藤 冷静に乗れているつもりではいますが、デビュー当初は、逆にそれが積極性に欠けると…。

──見られてしまった?

武藤 そうですね。最初はスタートもあまり上手くなかったので、どうしたら上手くスタートが切れるのか、自分なりに研究しました。最近はだいぶ改善されてきたことでいいポジションで競馬ができるようになって、徐々に周りを見ることもできるようになってきたかなぁと思います。

──確かに、デビュー当初に比べて、前で競馬をする機会が明らかに増えましたよね。

武藤 はい。デビューした当初は、構えて後ろからいく形が多かったんですが、スタートが良くなってきたこともあって、夏の福島からは積極的な競馬を意識しました。先生からもそういう助言をいただきましたし、僕自身も感じていたことなので。

──早くもジョッキーとして幅が広がったということですね。ここまでの7勝で、とくに印象深い勝利というと?

武藤 一番はやっぱり初勝利ですが、ドウカンヤマ(7月22日・福島12R・3歳上500万下)での勝利もうれしかったですね。前走が上手く乗れなかったので…。

キシュトーーク

うれしかったドウカンヤマでの勝利(撮影:下野 雄規)


──前走は先行策から4着でしたが、どのあたりに反省点が?

武藤 スタートが上手く切れなかったぶん、テンに脚を使ってしまって。最後まで上手く前に入り切れなくて、中途半端な競馬になってしまいました。だから、次こそは好スタートを決めて、この馬の競馬をしようと。反省点を生かせたというか、前回は一番いい形で競馬ができて、力の違いを見せてくれました。あの馬は、上にいっても通用する力がありますね。

──そのドウカンヤマは、7勝目にして初の逃げ切り勝ち。初勝利もそうですが、3勝目のタマモシルクハット(6月3日・東京7R・3歳上500万下)、4勝目のカネトシユキミ(6月24日・東京6R・3歳未勝利)など、ギリギリまで我慢させて鮮やかに抜け出してくるという、新人らしからぬ騎乗が印象に残っています。

武藤 タマモシルクハットは折り合いが難しい馬なので、前半は内でジッとタメて、最後は外に出したんですが、前が開いた瞬間、ゴールまでの道筋が見えたんですよね。だから、“行くしかない!”と思って、思い切って抜け出しました。

──直線半ばまで馬群のなかでしたが、そういうシーンでもジタバタしない、なんていうのか…我慢強さがありますよね。

武藤 どうなんですかね(苦笑)。でも、カネトシユキミもそうですが、前に馬がいるときは、開くまで我慢するしかないので。変に焦って動いたら、逆に馬に負担が掛かりますからね。だから、そこはもうジッと我慢です(笑)。

──やっぱり肝が据わっていますね(笑)。個人的に印象に残っているのは、6勝目のフレスコパスト(7月16日・福島7R・3歳未勝利)。1枠からスッと下げて、いつでも動ける外目の位置を早々にキープしていましたよね。上手だなぁと思って見ていました。

武藤 東京で乗ったときに掛かる面を見せたので、あえてスタートは出していかずに、いつでも動ける位置でジッとしておこうと。中野先生からも、「出せるときに外に出しておいたほうがいいかもな」と助言をいただいていたんですが、思った通りに乗れましたね。3コーナーの時点で手応えが違ったので、これはもう勝てるなと思いました。

キシュトーーク

3コーナーの時点で手応えが違ったので、これはもう勝てるなと思いました


──当たり前なのかもしれませんが、1レース1レース、きちんとテーマを持って乗ってらっしゃるんですね。

武藤 そのつもりです。とくに僕は、けっこう考えて乗るタイプかもしれません。自分で言うのもなんですが、そのあたり真面目なんです(苦笑)。

(次回へつづく)

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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