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関屋記念の既視感と逃げ水

  • 2017年08月10日(木) 12時00分


夏競馬に香ばしさを燻し出そうと思って、鴨川と神田川を地下で結ぶ秘密の寄合所で、夏の重賞・複勝コロガシ・フェスを開催してみた。

やってみて、複勝を4回コロがすことの難しさを実感している。自分でレースを選べない重賞縛りのコロガシだから、難しいのかもしれないけれど、50人くらいでスタートして、3回転目くらいになると突破者は数名に絞り込まれてしまう。

そして、4回転目になると心の葛藤も生まれ、カンタンなはずのレースでも難しく感じるようになる。初めの1回転目、2回転目までは自由な発想で攻めの選択(もちろん複勝1頭)ができていたのに、3回転目、4回転目となるとだんだん気持ちが圧迫されるのか、自由な発想がしにくくなるようだ。

自由な発想とは1人気を蹴飛ばすという意味ではない。1人気だろうと、1人気ではなかろうと、何かに縛られることなく大局でレースを見て、1頭をチョイスするという意味だ。

冷静にレースメンバーを分析し、1人気が来ると思えば、1人気を選び、1人気が危ないと思えば、1人気を蹴飛ばす。そういう自由。
しかし、3回転目、4回転目になると、同じ1人気を考えるにしても、自由度は狭まって来るような感じがする。

攻めるか?
置きに行くか?

攻めるとは簡単に言えば1人気をナイガシロにすること。
置きに行くとは1人気にゆだねること。

先週ただひとり4回転目にチャレンジしたSクンの指名馬は断然人気のエピカリスだった。3着だったから4回転目突破だけれど、レースっぷりはあわや4着のひやひやもので、断然の1人気だっただけに相当ドキドキしたのではないか?

なんて書いたら、案の定「ドキドキした」という返信があった。エピカリスについても「置きに行った」とコメントしていた。

この複勝フェスは、いくらにしようというものではなく、この夏、重賞コロガシで夏競馬を制覇しちゃお、という軽めのノリ系の企画だから、的中第一だ。だから1人気を指名することにプレッシャーはないはずだけど、1人気を指名して、ハズしたときにはちょっとした恥ずかしさがどうしても伴ってしまうようだ。

だから表現も「置きにいった」となるのだろう。置きに行くという日本語には前向きさはない。ピッチャーが打たれたときの解説やピッチャー自身の反省の弁で使われることが多い。

でも「置きに行く」気持ちはわかる。個人でひっそりとコロがすならともかく、寄合所で発表するとなるとどうしたって、少なからず観衆を意識してしまう。つまり、お披露目感も出てしまう。そうなると、なくてもいい感情が生まれてしまったりもする。

ちなみにSクンの指名馬を複勝1000円からコロがすと、4回転で約24000円になり、複勝7500円からコロがすと約18万円になる。なかなかのもんだ。置きに行くだけでは達成できない金額だ。

ところで、なぜ唐突に7500円スタートを入れたかというと、netkeibaニュースでも紹介されていた「複コロ革命」いう本で、著者の魚谷智也さんが「月のお小遣いが3万円の人は4週で割って、7500円で始めるのがいい」と薦めていたからだ。

魚谷さん曰く、ある程度必死になる金額でスタートしないとコロがしは上手くいかないそうだ。1000円スタートにしてしまうとハズれてもいいと妥協しがちになり、よろしくないそうだ。必死さは必須。うむ、よくわかる。

コロガシは目標額を設定したほうがいいそうで、原資の5倍を目標にするとよいそうだ。だとすると7500円の5倍は37500円で、Sクンの18万円はスーパー大成功とも言える。

にしても、コロガシは難しい。自分も密かにフェスに参加していたけれど、2回転までしか進めない。その点、魚谷さんはすごい。2、3人気のコロがしで大成功をわんさか決めている。だてに複コロ先生を名乗っていないことがよくわかる。

本書を読むと自分のコロガシに対するスタンスの大いなる間違いに気づかされるけど、同時にレース選びの重要性にも気づかされるし、レース選びのセンスにも驚かされる。中でも「障害レース」は5大勝負レースパターンの1つに上げられていて、その理由を読むと納得のオンパレードで、まさに革命的だ。

夏競馬はまだ半分ある。4回転で原資の5倍以上に到達させるのが目安と言うのなら、まだまだチャンスはあるはず。本書を参考に夏競馬で恋を引き寄せたいものだ。恋の複コロ革命…いい感じだ。

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デジャブかミラージュか。
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今年は北村宏が関屋記念に騎乗できそうだ。

関屋記念は、な〜んも考えずにレッツゴー・キタムラでゴーゴーレッツゴーしてればよかったからとても楽チンだったのに、一昨年、去年と騎乗がなくて残念だった。

でも今年は久しぶりにキタムラ・デジャブが楽しめるかもしれない。

以下はレッツゴー期の北村宏の関屋記念成績
10年 レッツゴーキリシマ 6人気1着 1-1-1
11年 サトノフローラ   3人気3着 9-8-8
12年 エーシンリターンズ 5人気2着 2-3-3
13年 レッドスパーダ   4人気1着 1-2-2
14年 サトノギャラント  6人気3着 15-15-14

逃げあり、先行あり、差しあり、追い込みあり。
馬もぜんぶ違う! 
それで5年連続で馬券圏内。

関屋記念は俺のもんだと言わんばかりの成績だった。
今年の騎乗予定馬はレッドレイヴン。

藤沢和厩舎の7歳馬。
2歳の頃、東スポ杯(G3)を2着したことはあるけれど、それ以後は重賞ではちょい足りず、オープンで勝ち負けする、そんな馬だ。

だからか、予想でも15人気だ。
前走の中京記念はホワイトが乗って15人気で8着(着差1.0)だった。

重賞では足りない成績。
すでに7歳。
ホワイトが連続で騎乗しない。

パっと見ただけでも買いにくい。人気がないのも当然か。
でもこの人気で来るならおいしい。
だからいつものように、いい意味でひっくり返らないか検討してみる。

重賞では足りてないけど、1600出走は前走の中京記念が初めてだった。2回目で上乗せがないとは言えない。

新潟成績は0-0-1-0。まだ1戦しかしてない。
4歳のとき芝2000の新潟大賞典に出走し、3着だった。3歳以後唯一重賞で馬券圏内に走ったのがこの新潟大賞典で、もしかしたら新潟は得意の可能性もある。

ここ3戦すべて馬体重520キロで、9着、16着、8着。この馬は古馬になってからは、514キロ〜518キロで馬券圏内に走っている。特に良いのは514キロ(2-1-1-0)。今回絞れてきたら、もう少し走れるかもしれない。

7歳馬はときどき馬券になる。この10年で3頭が馬券圏内に走っている。レッドスパーダは1着した。鞍上は北村宏で、厩舎は藤沢和厩舎だった。

その上で北村宏のゴーゴー・レッツゴーなノリが加われば…!
うむ、まだわからない!
キタムラ・デジャブ、再び!

正直、2年の空白の期間は心配だ。レッツゴー期は終わってるかもしれない。
ちょいシュンな言葉で言えば、逃げ水(ミラージュ)の可能性もある。

この馬に関しては、枠を見て、馬体重などを見て、人気を見て、その日有利な枠、514キロ前後、10人気以下だったら買うことにする。10人気以下ならミラージュでも構わない。

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デジャブと言えば
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今年の関屋記念にも何頭かリピートな馬がいるけど、去年2着したダノンリバティのデジャブ感が強くて面白い。

去年
中京記念 5人気5着 56キロ 12-12-13
関屋記念 7人気2着 56キロ 2-3-3

今年
中京記念 3人気5着 56キロ 12-12-12
関屋記念 予想7人気 56キロ

これだけでも十分だけど、関係者のコメントを読むといっそうデジャブ感が強まる。

今年の週刊競馬ブックのダノンリバティの厩舎ルポ
生野調教助手
「(中京記念を振り返って)ジョッキーはもう少しポジションを取りにいきたかったようですが、久々の分なのか、馬に気持ちが入っていなかったようで思ったほど行けずにあの位置からに。流れに乗って競馬ができていたらまた違っていたでしょうし、少しもったいない競馬になってしまいました」

「使ったあとも順調に乗り込めてますし、叩いた効果は見込めますよ」(以下略)

先行したかったけれど、できなかった。そこがもったいなかった。一度叩いた効果は見込めるから今度は先行できるはず。そんなコメントだった。

ん? この読後感? 前にも一度あったような……

そんな気がしたので、去年の関屋記念の週刊競馬ブックのダノンリバティの厩舎ルポを読んでみた。

去年の週刊競馬ブックのダノンリバティの厩舎ルポ
音無調教師
「(中京記念を振り返って)直線に向いて、いざ行こうとしたところで内の馬が出てきたし、あの上がり、そして馬場状態などを考えると、結果的には位置が後ろすぎたのかなと思う。終いは脚を使ってくれたんだけど……。」

「順調に乗り込めているよ。前走も仕上がりは悪くなかったが、休み明けを使った分の上積みは見込めるだろう。後方から行ってはなかなか届かないし、ある程度流れに乗った競馬をしないとね」(以下略)

位置取りが後ろすぎた。一度叩いた効果は見込めるから今度は先行しないと。そんなコメント。

デ・ジャ・ブゥゥゥゥゥ〜〜〜!!!

ポイントは去年は音無師で、今年は生野調教助手だということ。違う人が語っているけど、内容はほぼいっしょ。同じ厩舎だからコンセンサスが取れているとはいえ、こういうのは面白い。つーかもはやデジャブじゃない。完全なるリピートだ。

去年と何もかもほぼほぼいっしょなら、着順だってほぼいっしょじゃないとダメだ。つまり2着。

あまりにもいっしょ過ぎて、罠、いやミラージュかもしれない。でも人気がないならミラージュでも構わない。

去年は7人気だった。今年は予想では7人気。実オッズでも7人気だったら、もう逃れられない。

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関屋記念・注目馬
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レッドレイヴン もろもろの条件付きで
ダノンリバティ 7人気以下で

ダブル・ミラージュじゃないといいな。

相手は1〜3人気。

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エルムS・注目馬
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テイエムジンソクは、まだ仕上げていないという情報もある。
それで圧勝しているのなら、ここでも1着していただこう。

相手は、単28倍〜45倍のポイントにいる馬。
去年は1着したリッカルドが、一昨年は3着したエーシンモアオバーが遠くからこのポイントへ近づいていった! 今年もそういう馬がいたらいいな。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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