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ブルドッグボス、混戦から抜け出すか!?/クラスターC

  • 2017年08月14日(月) 18時00分


絶対的王者不在の今年はどの馬にもチャンス有り


 8月15日(火)、盛岡競馬場で行われる『第22回クラスターC』は1200mで争われる真夏のスプリント戦。これまで21年の歴史の中でダノンレジェンドが史上初の連覇を達成した昨年のレースをさっそく振り返りましょう。

 60kgの酷量を背負ったダノンレジェンドが先頭に立ち、ラブバレットはそのすぐ外を追走。2頭がレースを引っ張る形となりました。直線に入るとラブバレットも手応え良くあわや先頭のシーンもありましたが、残り200mからダノンレジェンドが突き放し見事完勝。中団から徐々に進出してきたブルドッグボスが2馬身差の2着。ラブバレットは3着でした。ダノンレジェンドはその後JpnI・JBCスプリントも制覇したのち種牡馬入り。絶対的王者不在の今年は、どの馬にもチャンス有りの混戦模様となっています。

悲願の重賞初制覇に期待がかかるブルドッグボス


 最初に取り上げるのは浦和のブルドッグボス。JRAからの移籍初戦だった習志野きらっとスプリントは初の1000m戦で距離不足と58kgの斤量で3着(勝ったスアデラは54kg)。今回は叩いて上昇、さらに54kgは好材料。去年のクラスターCでは1番人気に支持され、直線で王者ダノンレジェンドに最も迫って2着。今年のメンバー構成なら悲願の重賞初制覇に期待がかかります。鞍上はニシノハナグルマ(2002年フローラS)、ヒミツヘイキ(2002年ユニコーンS)、イルバチオ(2003年アイビスサマーダッシュ)でJRAの重賞も制している“ここ一番に強い”船橋の左海誠二騎手。2013年ラブミーチャン以来の地方馬による勝利を狙います。

ラブミーチャン以来の地方馬による勝利を狙うブルドッグボス(写真は2015年尾頭橋特別優勝時、(C)netkeiba.com)


 地方勢からもう1頭の有力馬は地元岩手のラブバレット。クラスターCは去年、一昨年と2年連続3着。ダノンレジェンド相手に見せ場たっぷりの戦いを演じたのは記憶に新しいところ。7月の栗駒賞と岩鷲賞を連勝して臨むローテーションは去年と同じで、地元では敵なし。リーディングジョッキー山本聡哉騎手を背に岩手所属馬による勝利を目指します。

栗駒賞と岩鷲賞を連勝して臨む地元岩手のラブバレット(写真は2017年岩鷲賞優勝時、写真提供:岩手県競馬組合)


 JRA勢の筆頭は期待の4歳馬サイタスリーレッド。芝では結果が出ず低迷していましたが、今年3月にダート転向後4戦4勝。500万下(阪神・1200m)、1000万下(阪神・1200m)、陽春S(阪神・1600万下・1200m)、栗東S(京都・OP・1400m)と連勝で一気にオープン勝ち。前走・栗東Sは好位からスムーズに流れに乗り、直線楽に抜け出し、強い内容での勝利。ダートグレード競走は初挑戦ですが、いきなりの戴冠も夢ではありません。

ダート転向後4戦4勝で重賞に初挑戦するサイタスリーレッド(写真は2017年栗東S優勝時、(C)netkeiba.com)


 ショコラブランは今年に入って3月の春風S(中山・1600万下・1200m)を勝ってオープン入り。4月の京葉S(中山・OP・1200m)で1着、5月のかきつばた記念で3着、6月の北海道スプリントCで2着と4戦すべて3着以内。特に前走・北海道スプリントCではレコードタイムで逃げ切ったニシケンモノノフの2着に好走。こちらも重賞初制覇が手の届くところに来ています。

前走・前々走と重賞で好走を続けているショコラブラン(写真は2017年京葉S優勝時、撮影:下野雄規)


 JRAの古豪2頭も侮れない存在。8歳馬キクノストームは近走勝ち星から遠ざかっていますが、2015年12月のカペラSを制した重賞ウイナー。今回のメンバーでダートグレード競走勝ちがあるのは唯一この馬だけ。9歳馬タイセイファントムは2014年の佐賀・サマーチャンピオン(5着)以来となる久しぶりの地方競馬の重賞参戦で上位を狙います。

今回のメンバーで唯一ダートグレード競走勝ちの実績を持つキクノストーム(写真は2015年カペラS優勝時、撮影:下野雄規)


 残る地方勢では栗駒賞、岩鷲賞でともにラブバレットの2着だったガッサンプレイ。また今回タッチデュールには藤田菜七子騎手が騎乗。さらにカミノマンボは地元岩手の女性騎手“まゆゆ”こと鈴木麻優騎手とのコンビで臨みます。JRAと岩手の女性ジョッキーの競演にもご注目ください。

藤田菜七子騎手が騎乗することで注目を集めるタッチデュール(写真は2017年マーキュリーC出走時、撮影:武田明彦)


 このレースの勝利をきっかけに秋の飛躍を目指す面々が集結した今年のクラスターC。お盆休みを利用して現地観戦を計画している方もいらっしゃると思いますが、当日は「ヤングジョッキーズシリーズ・トライアルラウンド盛岡」も行なわれ、イベントも盛りだくさんで見どころ満載の一日になりそうです。

※次回の更新は8月15日(火)18時。翌日に佐賀競馬場で行われる「サマーチャンピオン」のコラムをお届けします。



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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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