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サマーセール大盛況中(須田鷹雄)

  • 2017年08月22日(火) 18時00分


◆資金力のない馬主が道を見つけるとしたら…

 HBAサマーセールの初日が終了したところでこの原稿を書いている。

 初日のはじまりは意外と大人しかったのだが、終わってみたら売却率は牡馬86.48%・牝馬74.75%。セリで馬を買う機会がない人には分からないかもしれないが、これは体感だと「馬らしい馬は全部売れている」に近いと言っても過言ではない。中には明らかに小さすぎる馬や、とことんブラックタイプの価値が薄い馬もいるからである。

 ちなみに5年前・2012年のサマーセール初日における売却率は牡馬57.94%・牝馬43.15%だった。10年前の2007年は馬産地冬の時代でも底に近い時期だったが、初日売却率は牡馬30.76%・牝馬22.42%。取引平均額も今年の3分の2程度だった。

 ここまで来ると、資金力のない馬主はタクティクスでどうこうできるものではない。いまは地方競馬の賞金水準も回復し、特に新馬戦は賞金+付加金だとそこそこの金額になるのだが、そもそも南関以外の馬主は馬を買うというステップで躓きそうだ。

 そんな中でもなんとか道を見つけるとしたら、他のプレイヤーと違う物差しを用いることだろう。

 たとえば生産者のブランド。大手牧場の生産馬は売れやすいが、日高大手と中小の成績差は意外と小さい。血統価値に差があることを考えると、五分に近いとも言える。一方で中小牧場は牧場ごとの偏差がかなり大きい。「中小だけど良い牧場」を見つけることは重要だ。

 牝馬が走る種牡馬を活用することも重要だろう。中央競馬の場合牡牝の1頭あたり賞金はおおむね3:2で、セール価格もこれに近いものになる。ただ種牡馬によっては牝馬がもう少し走っているケースもある。ファルブラヴのように逆転する種牡馬はそうそういないが、「牝馬が走る種牡馬」は安く良い馬を買うひとつのポイントだ。

 3つめに、測尺の先を読むことだ。分かりやすいところでは1・2月生まれと3・4月生まれの比較で、現時点では前者のほうが当然大きく、それゆえに評価されやすい。逆に4月・5月生まれで将来十分走れるサイズになる馬が、この時期に過小評価されていることも多い。詳しくは企業秘密的な内容もあるので書けないが、混んでいるときほど他のプレイヤーと違う視点は必要だ。

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

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