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出走牝馬が「1頭」の年は不思議な数字が残っている/新潟記念

  • 2017年09月02日(土) 18時00分


◆2.5キロ減は大きく、前走の内容を下回る危険は少ない

 史上もっともスローで展開した「新潟2歳S」の翌週であり、また、歴史的な超スローだった「五頭連峰特別」の翌週でもある。当然、両レースともに綺麗に「行ったきり」だった。

 外回りの2000mは緩い流れになりがちだが、軽量の3歳馬ウインガナドルもいれば、早めにスパートして粘り腰をフルに生かしたいマイネルフロストもいる。

 さすがに超スローはないはずである。先行馬のバテに乗じて……という虫のいい注文が付く追い込み馬はともかく、ペースによる有利不利はないと考えたい。

 1番人気の連敗がつづき、波乱の重賞が多かった今年、直前の小倉2歳Sはともかく、ここも難しい結果だろう。牝馬の活躍が多かった新潟記念には、ゾロゾロ牝馬がいると案外、快走は少ないのに、牝馬がたった1頭の場合こそ要注意という変わった歴史がある。過去約半世紀、このハンデ重賞に牝馬が「1頭」しか出走していないことが「8回」あった。このケースの牝馬は【4-2-0-2】という不思議な数字が残るのである。

 連対した6頭は、「6、1、3、14、3、9」人気なので、能力上位、人気上位だから好走したわけではない。今年、牝馬はロッカフラベイビー1頭だけ。

 格上がり、乗り替わりなど取捨の難しい馬だが、1分58秒1(今回の推定勝ちタイムはクリア)で勝ち、同じ52キロのハンデである。切る手はないだろう。

 とっかかりの着眼点でピントがズレている危険は仕方がない。死角はあっても、ロッカフラベイビーは候補の1頭と思えるので、前回の佐渡Sに注目して、2着だったロイカバード(父ディープインパクト)に期待したい。2000m【1-2-0-0】となり、改めて距離適性を示しただけでなく、自身の最高タイムを2秒2も更新して、1分58秒2で乗り切った。休み明けで、新潟2000mは初めて。勝ったロッカフラベイビーより5.5キロも重いトップハンデの57.5キロだった。

 結果、1600万下にとどまったため、勝ったロッカフラベイビーはそのまま52キロだが、負けたロイカバードは今回、2.5キロ減55キロが負担重量である。コース適性を示し、父ディープインパクト譲りの切れ味を生かしたい460キロ前後の馬にとって、2.5キロ減は大きい。流れも、馬場差もあるが、前回で示した新潟2000mの内容を下回る危険は少ないと思える。

 輸入された母アゼリ(ダート9ハロン前後で17勝。4〜6歳時に3年連続古馬牝馬チャンピオン)の産駒が、非常に高い評価でセレクトセールで取り引きされていることは知られるが、ディープインパクトを連続して配合しているのだから、母と同じようなダート巧者の誕生を願っているわけではない。

 父ディープインパクトに似ても、ああいうアメリカの牝馬の産駒は、平坦コースを好む可能性が高いはずである。横山典弘騎手は、ずっと夏は北海道だったので新潟記念はまだ4回しか騎乗していないが、【1-1-0-2】。成績はいい。

 デキは前回よりさらにいいと思えるマイネルフロスト、実力馬トーセンバジル、そして牝馬ロッカフラベイビー以下に流したい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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