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明暗くっきり!東西3重賞の上位人気馬を診断/最終追い切り詳報

  • 2017年09月06日(水) 18時00分


セントウルSに“メイチ”を感じる1頭


 いよいよ、今週から秋競馬が開幕。そのスタート週は紫苑S、京成杯AH、セントウルSという重賞になります。この中で最も注目して「いた」のはセントウルS。いた、と過去形にしたのは、ビッグアーサーが出走を回避したから。今のスプリント路線はあまりにも混戦すぎて、レベルが低いというのが私の見解。セントウルSでひと叩きして、スプリンターズSでは能力全開を期待しただけに残念でなりません。

 ちなみに今朝6日も調教は行っています。ただ追い切りに関しては「今週末にはやりたい」と藤岡健一調教師。気性的なことを考えても、久しぶりは問題ないような気がしますが、やっぱり重量感のある馬体をどこまでレース仕様に完成させていくかが問題。やれば動くタイプだけに、来週以降の追い切りはきっと時計も出ると思いますが、そのあたりの見極めが今秋最初のG1の馬券を左右することになりそうです。

【紫苑S/ディアドラ】

 桜花賞がメンバー最速上がり3Fを計時して6着。その後もメンバー最速上がりをマークし続けているように、その能力の高さはG1級。距離に関しても、2400mでも全く問題ないというのが個人的な見解です。あと着順を左右するのは道中の位置取り。好位でレースできれば、1着をとれるのは過去の戦歴からも明らかでしょう。

 来週のローズSと比べれば、ここは自己条件と思ってもよいメンバー。きっとメンバー最速上がりをマークするのは簡単です。問題は今回の最終追い切り。札幌帰りの中3週ということもあってか、最終追い切りは栗東坂路4F58.3秒とこれまでにないくらいの遅さ。もちろん4F目最速ラップなので、この点はよいと思いますが、ここまで全体時計を遅くしても勝てるものなのか。低い評価はできないものの、今回の最終追いで本命を打つのは少しためらいます。

ディアドラ(9月5日撮影)

ディアドラを低い評価は出来ないが、本命を打つのは少しためらう(9月5日撮影)


【京成杯AH/ブラックスピネル】

 休み明けを叩いて、きっちり走れる状態が整ったと思った安田記念。18着惨敗について「最終追い切りが軽すぎたかも」とは音無秀孝調教師。栗東坂路4F49.8秒で自己ベストを更新する最終追いだった東京新聞杯(1着)と比較すれば、4F54.1秒は確かに遅いと判断できます。それゆえに「今回はしっかり時計を出す」というのは、5日の同師のコメントでした。

 そして6日の最終追い。4F51.7秒。この数字をどう見るか。ちなみに6日の一番時計は4F51.1秒のスターリーステージ。追い切った時間帯はほぼ同じで、そこから0.6秒遅い数字をどう評価するかでしょう。個人的にはまだ太目が残っていて、そこまで動ける状態ではないと思います。もちろんこれで良くなってくることはあるでしょうが、それではさすがに勝ち負けというラインまで仕上がっているとも思えません。

ブラックスピネル(9月5日撮影)

ブラックスピネルは勝ち負けというラインまで仕上がっているとも思えない(9月5日撮影)


【京成杯AH/ガリバルディ】

 昨年の中京記念以来、勝ち星から遠ざかっていますが、好走時に決まったパターンがないタイプ。それだけに今回の調教内容を判断するにあたって、基準となるパターンがないことは非常に苦労しますが、魅力的に感じたのは8月30日のCWコース。

 後ろからトーセンバジルが追いかけてくる展開でしたが、かなり先行していたこともあり、終始楽な手応えで最後まで先頭を譲りませんでした。あの走りを見ていると、差したり追い込むよりもレースの流れに乗っていった方が好走できるというのが個人的な感想。最終追い切りはCWで4Fから忙しない流れでしたが、これくらいテンを急かすような追い切りをした方が先行できるはず。そもそも連勝していた頃は先行していたわけですし、今回は確固たる逃げ馬がいるので、その次の先行グループでレースができる前提で評価します。

【セントウルS/フィドゥーシア】

 前走アイビスSDの後は栗東に在厩したままの調整。だからといって追い切り本数が増えたわけではありませんが、普段から1周距離の長いEコースを乗ったり、運動量としては十分すぎるくらい。1週前追い切りは韋駄天Sと同じように、6Fから時計を出し、積極的な負荷をかけています。

 その分というわけではないでしょうが、最終追い切りは前走時とほぼ同じ内容。この調教内容を見ると、次走スプリンターズSに向けてというよりも、ここで必ず勝利をモノにするといった意気込みを感じる内容。

フィドゥーシア(9月5日撮影)

ここで必ず勝利をモノにするといった意気込みを感じるフィドゥーシア(9月5日撮影)


【セントウルS/ファインニードル】

 前走は古馬になって初めての重賞挑戦だったにもかかわらず1番人気の支持。過剰人気だと思って高い評価はしませんでした。5着という結果だけを見れば正解でしたが、最後の直線で全く進路があかない状況で勝ち馬と0.2秒差なら、ファンの推した1番人気はさすがと言わざるをえません。

 今回はさすがに評価したいところ。理由は実績のある中2週。そして実績のある阪神芝1200m。やはり前走のレースを見ていても、先行力は抜群ですし、時計の速い馬場はもってこい。最終追い切りは2F24.2秒と素晴らしい脚力を見せていますし、フィドゥーシアに迫ることができるのはこの馬しかいないと思います。

ファインニードル(9月5日撮影)

フィドゥーシアに迫ることができるのはファインニードルしかいない(9月5日撮影)


◆次走要注意

・9/3 小倉2歳S【ヴァイザー】(2人/4着)

 道中はいい感じで追走できましたが、いざ勝負どころで前が狭くなる不利。直線に向いてからも挟まる不利がありながら、4着まで伸びた末脚は秀逸。

 やはり能力があることは間違いなく、今回はキャリアを積んだ一戦と判断すれば、次走はあっさりと勝つことができるはず。

[メモ登録用コメント] [芝]最終追い切りCWでラスト1F最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・3歳上500万下【インテグリティー】

 前走は6ヶ月ぶりの休み明け。栗東坂路だけの追い切りでは仕上がらなかったというのが現状でしょう。今回はCWも併用しての仕上げ。最終追い切りも終い重点できっちり動けており、今回は勝ち負け必至。

【予想】井内利彰の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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