スマートフォン版へ

ルメール&デムーロに丸投げか、角居&石坂厩舎におまかせか、典さんにおまかせか。

  • 2017年09月14日(木) 12時00分


「フランス人はヴァカンスのために生きている国民だかんね」と、フランスには詳しいけれど、競馬には詳しくない知人に言われた。そのくらいのことは言われなくても知ってるよ! と思ったけれど、続けて言われたことまでは知らなかった。

「なんせ企業は、社員に1年で5週間の休みを与えなければいけないという法律があるくらいだかんね」

「通常の休みは週休2日であるんだよ。それとは別に5週間だかんね」

金持ちだけの話ではなく、国民全体の話だそうだ。お金のない人もお金のないなりにヴァカンスを満喫するそうだ。噂には聞いていたけれど、本当に、心の底からヴァカンスが好きなようだ。

そう思うと、ルメールは、本当は夏全休したいくらいなんじゃないかと思えてくる。でも日本でたっぷりヴァカンスを取るジョッキーの話を聞いたことがない。
中央競馬は週2日の騎乗だから、そこを考慮するとしても、ルメールは、DNAに逆らって、日本に寄せているのかなと思うのだった(ルメールは毎夏1週消えるときがあるけど、それがヴァカンスなのかもしれない)。

イタリアはどうなの? と聞くと、「イタリアは詳しくないけれど、ヨーロッパは比較的夏休みをたっぷり取る国が多いから、同じようなものじゃないか? 少なくとも日本よりは断然ヴァカンスが好きだかんね」と言われた。

夏の重賞ではパッとしなかったルメールとMデムーロだけど、夏の終わり頃からまた調子をあげてきた。

ルメール キーンランドC1着
     札幌2歳S1着

Mデムーロ 新潟記念2着
     セントウルS1着

春と秋に活躍する有力馬は基本的には夏は英気を養うから、その手の有力馬にたくさん乗るルメールとMデムーロの騎乗馬の質が夏の重賞では下がって、パッとしない成績になっても不思議ではない。でも、夏には夏の有力馬もいて、サマーシリーズ2000を制したタツゴウゲキも負傷しなければ小倉記念ではMデムーロが騎乗する予定だった。この夏、あまり目立たなかったのは、巡り合わせが悪かっただけかもしれない。

この答えは、来年の夏まで取っておくことにしよう。
とにかく、秋競馬になって、再びルメールとMデムーロが有力馬に騎乗する機会が増えるということは、二人がいっしょに重賞に騎乗する機会も増えるということだ。

今週はローズSとセントライト記念が曜日を替えて行われる。で、案の定、二人は両レースの有力馬に騎乗する。

ローズS
アドマイヤミヤビ ルメール  予想4人気(回避・後述)
モズカッチャン  Mデムーロ  予想3人気

セントライト記念 
アルアイン    ルメール  予想1人気
サトノクロニクル Mデムーロ  予想3人気

簡単だ!

(今年25回重賞に同時騎乗して、21回どちらかが、もしくはいっしょに馬券圏内に入っている。

その確率.840。

この夏甲子園を沸かせた広陵の中村選手の打率は.679だった。諸説あるようだけど、明訓高校の山田選手の打率は7割とも言われているから、それ以上ということだ)

二人が同時に飛ぶ1割6分を狙うという考え方もあるだろうけど、的中率を考えるなら、3連系の馬券ではナイガシロにできない。

たとえば、
3連複なら2列目はこの二人に任せて大丈夫ということだ。

1列目 自分の◎馬
2列目 ルメール&Mデムーロ
3列目 いろいろ

うむ、どう見ても簡単だ! でも、こんな簡単なことを怠って、この春も何度か馬券が抜けていった。

え!? 自分を消して、ルメール&Mデムーロを1列目で任せたほうがいい!?
自分の◎を過信しすぎじゃないか!?

1列目 ルメール&Mデムーロ
2列目 いろいろ
3列目 いろいろ 

まったくその通りであります。ぐうの音も出ません。もはやお任せというより、丸投げ。
でも、自分を消すのがまた難しいんであります。困ったもんだ。

--------------
ローズにおまかせ。
--------------

今年のローズSは例年以上に実績のヒエラルキーがきれいに出来上がってる感じだ。通年は飛び抜けた馬が1頭、もしくは2、3頭いて、あとは横並び。そんな印象だけど、今年はヒエラルキーの三角形がきれいな気がする。

総合的に見れば、オークス1着、桜花賞3着のソウルスターリングが春の実績からはてっぺんだろう。そのソウルスターリングはいないものの、桜花賞1、2、4着、オークス2、3、5着がいて、そこに桜花賞、オークスで6着以下に負けた馬や桜花賞・オークスに出走できなかったものの話題を集めた馬や、夏に使われた馬たちがいる。

桜花賞1着 レーヌミノル (オークス13着)
桜花賞2着 リスグラシュー (オークス5着)
オークス2着 モズカッチャン
オークス3着 アドマイヤミヤビ (桜花賞12着)

桜花賞4着 カラクレナイ (NHKマイル17着)
桜花賞7着 カワキタエンカ
桜花賞14着 アロンザモナ
桜花賞16着 ミスパンテール
桜花賞17着 ベルカプリ

オークス9着 ブラックスビーチ
オークス10着 ミスパンテール
オークス14着 ハローユニコーン
オークス15着 レッドコルディス
オークス18着 ヤマカツグレース

皐月賞7着     ファンディーナ
古馬混合1000万1着 ミリッサ
古馬混合1000万1着 メイショウオワラ
古馬混合1600万3着 サトノアリシア
関東オークス 1着 クイーンマンボ

てっぺんのトンガリに君臨する馬はいないものの、けっこうな三角形のヒエラルキーだと思う。実際、てっぺんのソウルスターリングは秋華賞には出走しなさそうだから、暫定のてっぺんにどの馬が君臨するか、そんな闘いか?

そして、その暫定てっぺんの奪い合いを遠くからアエロリットが眺めている。そんな構図だ。

面白いのは予想1人気がファンディーナってところだ。
皐月賞では1人気に支持されたファンディーナが、牝馬三冠路線ならば強いのか?

もし強いのなら、てんぺんのトンガリにひょいっと登って、君臨することになる。ファンディーナにはぜひとも頑張って欲しいけど、1人気だし、とりあえず観察でいいように思える。

やはりここは人気のない伏兵陣から気になる馬を拾ってみたい。今週は雨で重馬場になる可能性もある。重馬場のときは伏兵陣も絡んでいる。検討する価値はあると思う。

----------------------------

#1 ここ5年、角居厩舎か石坂厩舎の馬を絡めておけば当たっているけど、今年もおまかせしていいのか?

#2 ちなみに角居厩舎は3頭(クイーンマンボ、ブラックスビーチ、ラビットラン)、石坂厩舎は1頭(ミリッサ)登録している。

#3 アエロリットの横山の典さんがカワキタエンカに騎乗する。

---------------------------

#1&#2
12年 1着ジェンティルドンナ 1人気 石坂厩舎 実績馬
13年 1着デニムアンドルビー 1人気 角居厩舎 実績馬
14年 3着リラヴァティ    9人気 石坂厩舎 上がり馬
15年 1着タッチングスピーチ 7人気 石坂厩舎 上がり馬
   3着トーセンビクトリー 2人気 角居厩舎 上がり馬
16年 1着シンハライト    1人気 石坂厩舎 実績馬
   3着カイザーバル    6人気 角居厩舎 上がり馬

人気馬でも、伏兵馬でも馬券になっている。実績馬でも上がり馬(夏出走)でも馬券になっている。

今年出走予定の馬
ミリッサ     5人気 石坂厩舎 夏出走
ブラックスビーチ 9人気 角居厩舎 休み明け
ラビットラン   12人気 角居厩舎 夏出走
クイーンマンボ  14人気 角居厩舎 夏出走

ミリッサは阪神のチューリップ賞を4着に負けているけど、ミリッサの一族(アダムスピーク・リラヴァティ・シンハライトなど)はみな阪神が得意な一族だ。

ブラックスビーチの春の実績は未勝利1着、スイートピーS1着、オークス9着で、未勝利1着、フローラS1着、オークス3着だった同じ角居厩舎のデニムアンドルビーよりひとまわり小さい実績だ。そのデニムは休み明けでローズSを1着した。ひとまわり小さいブラックスビーチは3着でどうだろう。京都(0-1-0-1)より阪神(1-1-0-0)が得意そうだし、頑張れば食い込めるか。

ラビットランは現状抽選待ちだけど、初芝の前走で鋭い末脚を発揮した。芝ではまだ底を見せておらず、そこが魅力的だ。

クイーンマンボは現状はダート馬で、今回は会員様(ヒダカBU)向けの出走かもしれないけれど、道悪になるなら少しは目があるか? 8月の古馬牝馬に混ざってのダート重賞(ブリーダーズゴールド)2着からも力があるのはわかる。

この4頭ならミリッサに一番チャンスがありそうに思えるけれど、伏兵としては人気になりそうだ(予想5人気)。角居厩舎の3頭は逆にいつもの角居厩舎の馬より、小粒に思える。ただその分人気はない。3着狙いなら希望はまだ残されているか。

この4頭にはルメール&Mデムーロは騎乗しない。
ならばあれこれ考えずにこの4頭とルメ&デムを絡めれば落着にも思える。

ただ#3のカワキタエンカも気になる。

カワキタエンカは前走古馬混合1000万の三面川特別を2着した。2着より1着の方がいいけれど、このときの1着馬は1600万でも好勝負していた馬の降級(レッドアヴァンセ)だったから、2着でもそれなりに価値があったように思う。

道悪(1-0-1-0)、稍重(0-1-0-1)と得意だから(稍重の着外は桜花賞7着)、仮に道悪になるなら面白いのではないか? アエロリットというお手馬がいるのに、今回わざわざ横山の典さんを招聘するのだから、ぜがひでも、そしてどんな奇天烈な作戦でも構わないから出走権が欲しい! そんな執念も感じる(横山の典さんがこの馬のために西下すると仮定して)。

カワキタエンカは桜花賞では逃げて、1分35秒1で7着に踏ん張った。1400通過は1分21秒7だった。
馬場差はあっても、前日の阪神牝馬Sを逃げたクロコスミアは1400を1分22秒3で逃げて、4着した。時計は1分35秒1でカワキタエンカと同じだった。

もう少し上手に逃げたら、もうちょっと善戦できたのではないか? と陣営が考えても不思議ではない。で、横山の典さんに依頼したのだとしたら、ちょっと想像は膨らむ。典さんにアエロリットのNHKマイルみたいな騎乗を依頼していたら、それはそれで面白い。もっともこの馬も900万だから抽選待ちだ。

----------------
ローズS・おまかせ馬
----------------

カワキタエンカ
ラビットラン

どちらも賞金900万で抽選待ち。
想定通りなら5分の4で出走できる。仮にどちらも出走できなかったら、角居厩舎のブラックスビーチ、石坂厩舎のメリッサをあげる。

ルメールのアドマイヤミヤビとMデムーロのモズカッチャンはもちろんシードだ。

※追記
アドマイヤミヤビが故障で回避してしまった。他の馬にルメールが騎乗してきたら、モズカッチャンとルメール騎乗馬を一応シードとしておく。

----------------
セントライト記念・おまかせ馬
----------------

ミッキースワロー
セダブリランテス(回避)

どちらも父の父ディープインパクト。
去年はディープインパクト産駒が1・2・3だった。今年は父の父ディープインパクト産駒が来ないかな。

ミッキースワローは、アエロリットの菊沢厩舎の馬だけど、典さんは騎乗せずにずっと減量騎手の菊沢▲が騎乗していた。でも今回ついに横山の典さんが騎乗してくる。

京都新聞杯は5着で賞金の上乗せができずダービーには出走できなかった。京都コースは関東所属の若い菊沢▲には少し難しかったかもしれない。前走のいわき特別も1人気で3着に負けたが、レースぶりは脚を余した負け方だった。ここでも賞金を上乗せできなかった。もはや待ったなし。乗り替りも致し方ないだろう。

ただ菊沢▲でも2勝して、掲示板を外したことはない。それだけ馬に力があるとも取れる。

アルアイン    松山→ルメール
サトノクロニクル 川田→Mデムーロ
ミッキースワロー 菊沢▲→横山典

騎手の上昇度ではミッキースワローが一番だ。
これで京都新聞杯でサトノクロニクルにつけられた着差0.1秒を詰められれば、馬券圏内も見えて来る。

結局、ローズSもセントライトも「典さんにおまかせ!」になりそうだ。典さんに任せるということは、行きつけの小料理屋で………いや任せる以上は口をつぐもう。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング