◆日本で人気のあるUSAの名牝系 台風の接近が予測された時刻より少し遅れ、予定通りにローズSが発走できる可能性がかなり強くなった。さすがに強行発走はないと思えるが、ローズS,セントライト記念は、1日ずらして行うことはできても、1週間の順延はできない。根幹の「秋華賞、菊花賞」に日程変更が影響してしまうからである。
雨の中、風も強まる中でのローズSは3歳牝馬にはかわいそうだが、このシーズンなので、最近10年間に「重馬場」で行われたことが3回ある。馬券に関係したのは「7、9、1」「1、9、10」「1、11、6」番人気馬。1番人気は好走しているが、本番の秋華賞を考えると(中3週)、あまりムリはしたくない有力馬が出てしまうためだろう。5番人気以下の伏兵が9頭中の6頭を占めている。
重巧者というわけではないが、穴馬の1頭に注目は出走権のかかっている2勝馬
ラビットラン(父タピット)。ダート1400mの新馬を7馬身差で独走のあと、のど鳴りの手術で約半年も休んだが、前回は初芝の1600mを、上がり33秒0で直線一気を決めている。
ふつうはダート向きだろうが、さすが世界の種牡馬タピット産駒。単なるダート巧者ではなかった。ラビットランは、9月3日の「小倉2歳S」を快勝したアサクサゲンキの半姉でもある。
外国産馬ラビットラン、アサクサゲンキが連続して輸入されたのは、もともと日本で人気のあるUSAの名牝系だからであり、阪神3歳牝馬S(旧)のヤマニンパラダイス、皐月賞のノーリーズン、種牡馬トワイニングなどがこの牝系の代表馬。
少し古いところでは、種牡馬アイアンリージ(有馬記念のストロングエイトの父)や、サクラサニーオーが代表するサニースワップスの一族も同じである。
だが、この姉弟がいま連続して輸入された本当の理由は、その母アミーリア(父ディキシーランドバンド)の2歳上の半兄に、種牡馬ベルトリーニ(父ダンチヒ)がいるからだろう。名スプリンターとして活躍したベルトリーニの産駒として、快速を伝えるドナブリーニが輸入されると、この牝馬はまず、京都牝馬S,関屋記念などのドナウブルー(父ディープインパクト)を送り出した。
さらに、ダンチヒの最大の長所(距離万能に近い発展性)を受け継いでいたドナブリーニが次に送ったのは、G1を7勝(ジャパンC2連勝、有馬記念、オークスなど3歳牝馬3冠制覇、ドバイシーマクラシック)もした歴史的な名牝ジェンティルドンナだったのである。
アミーリアを通し、ラビットランの母の父となったディキシーランドバンド(父ノーザンダンサー)は、もともと日本では母の父としての活躍で知られる。デルタブルース、レッドリヴェール、輸入種牡馬ストリートセンス(ケンタッキーダービー馬)の母の父がそうであり、有馬記念で快走したアメリカンボスの母の父も、タフな血を伝えるディキシーランドバンドである。