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競馬場のATMのキャッシングを停止へ 依存症対策はどこへ行くか?

  • 2017年09月25日(月) 18時01分
教えてノモケン

▲「ATMのキャッシングを停止」「アクセス制限の虚実」依存症対策はどこへ行くか?(撮影:高橋正和)


 6月の当コラムでは、カジノ法(IR法)成立後の後続措置として浮上したギャンブル依存症対策の問題点に触れた。当時は野党の対策法案で言及された未成年者の入場制限を主に扱ったが、その後も様々な動きが続いている。7月31日には学識経験者で構成する特定複合観光施設区域整備推進会議が、「『観光先進国』の実現に向けて」と題した取りまとめ事項を政府に報告した。新設予定のカジノについて「世界最高水準の規制」をうたったのが目を引く。

 一方、既存の公営競技に絡む依存症対策では、8月29日に「ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議」が、「ギャンブル等依存症対策の強化について」と題した文書を公表した。当面、競馬業界と関連があるのはもちろん後者で、文書に示された6項目について、本稿で検討していきたい。

ATMのキャッシングを停止へ


「強化について」の冒頭では、公営競技各事業者が既に着手した取り組みと、今後の課題・検討事項を競技ごとに整理している。柱は各競技で大差はなく、(1)相談窓口の明示・相談体制の充実 (2)未成年者に関するアクセス制限 (3)本人・家族申告によるアクセス制限 (4)インターネット投票の在り方 (5)広告の在り方 (6)資金調達制限――という6点から成る。

 まず目を引くのは、(6)に絡んだキャッシングの制限である。現在、JRAでは4大競馬場と中京の計5カ所と、ウインズ後楽園(東京)、エクセル伊勢佐木(横浜市)の両施設にATMが設置されており、クレジットカードによるキャッシングが可能となっている。政府の方針では、今年度末をメドに各端末のキャッシング機能を停止するか、それが不可能な場合は端末自体を撤去するとしている。現時点では1場で2〜3台が運用されているが、端末自体を撤去する必要はなく、設定変更で対応するといい、現在は設置者である金融機関と協議中だ。地方競馬でも、競馬場2カ所、場外施設2カ所にATMがあり、JRAと同様の措置が執られることになる。

 場内のATMと言えば、筆者は2011年の4月に東京で使用したのが最後だった。東日本大震災直後で、東京開催が復活する1週前の土曜だったが、時間帯が早かった割に長い列ができていて、普段から利用者が多いことをうかがわせた。ただ、問題はキャッシングを利用する人がどの程度の比率を占めるか。データがなく、正確なところは見えないが、大半は自身の口座から資金を引き出していると思われる。そもそも、JRAの売り上げに占める現金投票の比率は年々落ちており、わずか7施設に置かれたATMの用途制限が、業績に与える影響は皆無に等しいと言える。

アクセス制限の虚実


 次に、本人や家族の申告に基づくアクセス制限について検討する。(3)との関連で、既に7月から「本人申告による競馬場及び場外馬券売場への入場制限」が実施されていると記載されている。地方でも地方競馬全国協会(NAR)が各施行者にガイドラインを提示し、4月から順次、実施されているという。また、ネット投票に関しても、本人の申告による解約や利用停止の措置が執られた後は、一定期間、本人の申請があっても利用再開を受け付けない措置を検討しているという。

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1964年1月19日、東京都出身。87年4月、毎日新聞に入社。長野支局を経て、91年から東京本社運動部に移り、競馬のほか一般スポーツ、プロ野球、サッカーなどを担当。96年から日本経済新聞東京本社運動部に移り、関東の競馬担当記者として現在に至る。ラジオNIKKEIの中央競馬実況中継(土曜日)解説。著書に「競馬よ」(日本経済新聞出版)。

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