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池江師の新しい地図とスプリンターズのいつもの地図

  • 2017年09月28日(木) 12時00分


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オブライエン厩舎への委任状
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今年の凱旋門賞はいったいどんな馬場になるのだろう。

馬場がこうなれば、この馬が勝つ! 

なんてぜんぜんわかんないのに、ついついどんな馬場になるんだろうとか自問自答しちゃっている。でも「bon(良馬場)です」、「souple(重)です」と言われても正直よくわからない。

去年の主催者発表は「bon」だった。しかも高速な馬場になっているとも言われていた。だからマカヒキには有利のはずだったけど、結果的にはオブライエン厩舎にとってブラボーな馬場だった。マカヒキの状態が今ひとつだったのかもしれないけれど、日本の高速馬場とフランスの高速馬場は違うようにも感じた。

今年のフォワ賞の馬場は主催者発表では「souple(重)」だったけれど、日本では考えられないほど重い馬場だったとも言われた。10段階ある馬場状態の6番目でだ。不良馬場に相当する9番目、10番目の馬場はどんな馬場なんだって話だ。

それゆえにサトノダイヤモンドは4着に敗れたと言われているけど、本当に良馬場になればサトノダイヤモンドの加速装置にスイッチは入るのだろうか? 

--良--
tres leger
leger
bon lever
bon     ←去年の凱旋門賞
--稍重-- 
bon souple 
--重-- 
souple    ←今年のフォワ賞
tres souple
collant
--不良--
lourd
tres lourd

これを見ると、bonとsouple中間のbon souple(稍重)がいいようにも思える。もし、稍重になって、サトノダイヤモンドの人気(netkeiba予想オッズで現在3人気)がさらに下がるようなら、単勝を買いたくなる。

とはいえ、それだって未知だ。だからこれ以上考えるのはやめて、委ねることにした。委任先はもちろんオブライエン厩舎だ。

オブライエン厩舎は今年もいっぱい登録している。ムーアの乗る馬もまだ発表されていない。今年もオブライエン厩舎名物の集団での人間馬場チェックで馬場を判断して、天候や馬の状態をチェックをして、出走馬を確定させ、鞍上を決めるのではないか。

もしムーアがハイランドリールに騎乗するようなら去年と同じような馬場という見立だと推測でき、オーダーオブセントジョージやカプリやウィンターにムーアが騎乗するようなら、去年とは違う馬場という見立てはできる。

凱旋門賞は招待レースじゃないから登録料とキャンセル料が用意できれば、複数頭出走も直前の回避も自由自在だ。それゆえにオブライエン厩舎のスケールのデカさとキメ細かさが目立つ。

そのオブライエン厩舎とムーアの出した結論を参考にさせていただき、どんなタイプの馬にチャンスがあるのかを探ったほうがよくわからない馬場を読むより楽なはず。ムーア、ヘファーナンの騎乗馬の過去の出走レースを見て、横の比較(対戦相手との比較)をする方が自分には現実的だ。

ちなみに今(水曜日)はsoupleらしい。
ちなみにフランス競馬はジャンジャンバリバリに水を撒くから、晴れたからといって、すぐに良馬場とは思わないほうがいいらしい。

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凱旋門賞・ちょい注目馬
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自分はデットーリ優先主義だ。去年もデットーリのオーダーオブセントジョージの複勝でなんとか救われた。だから黙ってエネイブルを買えばいいとも言えるし、それでいいような気もしている。

ただ同時に穴も買いたい派でもある。去年はオーダーオブセントジョージの人気がなかったから(8人気)、それでよかった。でも今年のエネイブルは間違いなく1人気。となると、デットーリから買うにしても、相手には穴を拾いたくなる。

予想オッズを見ると、アイルランドやイギリスの馬の人気が高くて、地元フランスの馬の人気がない。この10年でフランスの馬が馬券に1頭も絡まなかったことは去年の1回しかない。それでも15人気のシルジャンズサガは4着していた。

ならば今年はフランスの馬を絡めたくなる。

予想では、
8人気  ザラック
9人気  ブラムト
13人気 クロスオブスターズ
14人気 ワンフットインヘヴン
18人気 ドーハドリーム
19人気 シルバーウェーヴ
20人気 プリュマティック

この中から何頭が出走するのか、もしくは追加で出走する馬がいるのかわからないけど、いずれにせよフランスの馬の人気が急上昇するとは考えにくい。

というわけで、今年の凱旋門賞は、デットーリに最大の敬意を払いつつ、ムーアの騎乗する馬の方向性を見て、その馬に先着できそうな、もしくは接近遭遇できそうな馬、特にフランスの馬を穴で拾うことにした。

印にすると、こうなる。
◎エネイブル 軸
◯ムーア騎乗馬
▲ユリシーズ
☆フランスの馬
&サトノダイヤモンド

ユリシーズは勝算なき海外遠征はしないと言われているスタウト厩舎の馬。それだけでそそられる。

サトノダイヤモンドが勝ったら、それこそ「新しい地図」の完成だ。SもNもEもひっくり返った話題の「新しい地図」の池江版だ。
サトノノブレスがどのような関わり方をするのかよくわからないけど、そのNAKAMAとして、上手く機能するといいな。
サトノダイヤモンドの加速装置が発動するといいな。

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スプリンターズSはいつもの地図を広げて、勝ちそうな馬と穴をあけそうな馬を見つけてみたい。
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「スプリンターズSは地方出身騎手か外国人騎手を軸にすれば、だいたい当たる」


ここ数年、ずっとスポットを当てているのが地方出身騎手と外国人騎手。彼らを軸にすればだいたい当たる。以下はここ12年の成績だ。ずっと連対しているのがわかる。

16年 1着 Mデムーロ(レッドファルクス)
15年 1着 戸崎(ストレイトガール)
14年 2着 岩田(ストレイトガール)
13年 1着 岩田(ロードカナロア)
12年 1着 岩田(ロードカナロア)
11年 2着 安藤勝(パドトロワ) 
10年 1着 ライ(ウルトラファンタジー)
09年 2着 安藤勝(ビービーガルダン)  3着 小牧太(カノヤザクラ)
08年 2着 岩田(キンシャサノキセキ)  3着 安藤勝(ビービーガルダン)
07年 該当騎手なし
06年 1着フォード(テイクオーバーターゲット)
05年 1着コーツィー(サイレントウィットネス)

人気馬に騎乗しているのは事実だけど、自分はこの理由を地方出身騎手や外国人騎手のビッグレースでの前向きさにあるのではと見立てている。

結局、スプリンターズSは、道中10番手より後ろにいては、好走は出来ても、1着はしにくい(この10年で1着は新潟で開催されたときのスノードラゴンのみ)。その馬の得意な競馬が10番手より後方の差し・追い込みでは脚質的に勝負にならない場合が多々あるわけだ。

地方出身騎手や外国人騎手は勝負の騎乗ができているのではないか。それはスプリンターズSに限ったことではないだろうけど、その攻めの姿勢がスプリンターズSでは功を奏しやすいのかもしれない。

今年の該当馬は
レッドファルクス Mデムーロ 予想1人気
メラグラーナ   戸崎      2人気
レッツゴードンキ 岩田      7人気
ファインニードル 内田博     8人気
ブリザード    モッセ     16人気

予想1人気のレッドファルクスは右回りが心配だ。
去年は、右回りを心配されていて、それが理由で人気が下がるなら買いたいと記した。でも今年は1人気。ならば心配に回りたい。

左回り 8-2-3-6
右回り 1-0-0-3

去年、スプリンターズSでは勝ったけれど、それは7枠13番もよかったからで、まだ右回りを克服できたとは言えないのではないか?

スプリンターズS以後の成績
スプリンターズS 1着右
香港スプリント 12着右
高松宮      3着左
京王杯SC     1着左
安田記念     3着左

今は心配ないとしても、ずっと左回りばかり使われていたのも事実で、なんかしらの心配事を抱えていたようにも思う。心配するなら1人気のここではないか。

メラグラーナは買いたい。
この馬は逆に右回りのほうが良さそうに思える。

左回り 2-0-0-5
右回り 5-1-0-5

中山1200も3-0-0-0で頼もしい。
しかもこの馬は1着か4着以下のタイプで、頭から買いやすいのもいい。
前走のセントウルSも前哨戦仕様に見えた(532キロ。ベストは522前後か)。それで上がり1位で4着ならば、上々に思える。

レッツゴードンキはパス。
ファインニードルは、そのクラスへの体験入学が必要なタイプで、狙うならこの次の重賞ではないか? 

ブリザードはぜんぜん人気がない。実オッズでも16人気になるとは思えないけど、それでも10人気くらいではないか? 

香港国内のレーティングでは全体の13位の評価で、スプリント部門だけなら6、7番手の評価だ。スプリントでは香港の方が上位の平均点は高い。そういう馬が10人気以下なら、ふつうに馬券を買ってみたくなる。

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魔界系なら単150〜169倍
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スプリンターズSの魔界の入口は単150〜169倍だと思っている。過去11年で、4頭該当して、3着、4着、3着、18着。このキワドさ、拾うのに値する。

06年
16人気3着 単168.7 1枠2番タガノバスティーユ 3歳 勝浦 
待望の内枠に入って、最後方から最内を抜けてきた。逃げた馬は1着(テイクオーバーターゲット)。

09年 
16人気4着 単154.1 4枠8番アイルラヴァゲイン 7歳 津村 
先行して、中から抜けてきた。逃げた馬は1着(ローレルゲレイロ)。

13年
15人気3着 単159.8 3枠5番マヤノリュウジン 6歳 池添
最内を先行して、内から抜けてきた。逃げた馬は2着(ハクサンムーン)。

14年
18人気18着 単164.9 4枠7番ダッシャーゴーゴー 7歳 勝浦
逃げて18着。1着は差したスノードラゴン(新潟開催)。

3着した2頭と4着の1頭は、逃げた馬が勝ち負けするような流れを内枠から粘り込んで、もしくは内枠から差し込んでいる。内枠が有利な馬場で、逃げた馬が1着できるようなペースで進んだ時には、単150〜169倍という人気薄でも、紛れ込めてしまうということだ。

今年は、逃げ切っても驚けない有力馬がけっこういる。内枠の人気薄を押さえておいて良いということだ。

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スプリンターズS・注目馬
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メラグラーナ
ブリザード

内枠で先行しそうなド人気薄馬

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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