◆タフなタイプが多い豪州産のスピード型 フランスの凱旋門賞は、サトノダイヤモンドに大きな不利となる「渋馬場」が避けられそうもない予報だが、スプリンターズSの中山は、良馬場に恵まれる見込み。人気馬の中では、
セイウンコウセイ、
ネロあたりは他馬が苦にするだけに、むしろ重馬場になって欲しいくらいだが、スピードと切れ味のスプリント勝負。ほかは良馬場を望んでいる。
とくにはっきり重馬場下手は、大跳びの牝馬
メラグラーナ(父ファストネットロック)。4歳秋の京阪杯では、重馬場のため1番人気で14着に失速している。セイウンコウセイの快勝した今春の高松宮記念の渋馬場(実質重馬場)でも、10着に沈んでいる。
そのメラグラーナ、前回のセントウルSは4着止まりだが、内枠で流れに乗れず4コーナーでは後方でもたつき、凡走は避けられない状況だったが、残り1ハロン手前あたりから馬群を割って猛スパート。レース上がり33秒7に対し、自身の上がり「32秒4」。勝った
ファインニードル(好位から抜けて上がり33秒4)の0秒2差に突っ込んだ。上がり32秒4だが、エンジン全開は直線の1ハロンとちょっとだった。
それまで、中山1200mでの3戦3勝を中心に、牝馬とあって直線は外に出すことがほとんどだったから、苦し紛れとはいえ、馬群を割るように突っ込んだのは、心身両面の進展と思える。
イメージだが、オーストラリア産のスピード型にはタフなタイプが多い。同オーナーのキンシャサノキセキが完成されて高松宮記念を連覇したのは、7歳、8歳時だった。7歳時というと、オーストラリアの歴史的な名牝とされるスプリンター=ブラックキャビアが、25戦25勝の記録を残して引退したのは、7歳になってからだった。ブラックキャビアには、Vain(ヴェイン)というちょっと古いコートマーシャル系種牡馬の血が「3×4」で入っているが、メラグラーナの祖母の父がそのヴェインである。
また、快速ブラックキャビアの父方祖父はロイヤルアカデミーII。安田記念を制した香港のタフガイ=ブリッシュラックなどの父として知られるこの種牡馬は、短距離型に登場することが多いが、メラグラーナの父ファストネットロックの母の父は、ロイヤルアカデミーIIである。穴馬に、この枠順なら控えて差してくると思える
シュウジ(父キンシャサノキセキ)と、オーストラリア産の
ブリザードを加えたい。