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【ユーイチの視点】スプリンターズS回顧『勝者レッドファルクス、実績も能力も断然だった』

  • 2017年10月04日(水) 18時01分
祐言実行

▲芝ダートを自在に走りこなすレッドファルクスが勝利 (撮影:下野雄規)


ビッグアーサー6着、途中までの精神状態は不安だったが


 今年のスプリンターズSは、内目の枠に入った馬たちが上位を独占。先手を主張する馬がいたことで、戦前は「けっこう速いペースになるのではないか…」と予測していたが、実際はすぐに隊列が決まり、3コーナーで外からファインニードルが上がってくるまでは、「遅い」と感じるほどの流れだった。そうなると、ゴチャつくことも多い中山芝1200mだが、今年は団子状態にならず、各馬にとってスムーズなレースとなった。

 そんな流れのなかでのレッドファルクスのあの脚。本当に強かったし、「役者が一枚上」と思わせる勝ちっぷりだった。スタートは上手に出たが、道中はミルコのコメントにもあったように、「正直、届くかどうか」という位置取り。前にいたブリザードが、けっこう早くに手応えが悪くなっていたから、直線の進路も“ここしかない”という状況だったに違いない。迷わずあそこを抜けてきたミルコの騎乗はさすがといえるものだし、馬もまったく怯むことなく、豪快な伸び脚で応えた。

 考えてみれば、昨年の香港スプリント(12着)以外は、距離を問わずに確実に上位争いをしてきた馬。結局、今年のメンバーのなかでは、実績も能力も断然だったということだろう。

 2着のレッツゴードンキも、1枠2番という枠を生かした、岩田くんらしい完璧な競馬だった。直線も、前を走っていたフィドゥーシアが外を選択し、逃げたワンスインナムーンも内を開けて走っていたから、まったくコースロスなく抜けてくることができた。岩田くんとしても思い描いた通りの競馬だったはずで、今回ばかりは相手が悪かったとしか言いようがない。春に続いて銀メダルとなったが、人馬ともに力を出し切った競馬であり、改めて力のある牝馬だなと思った。

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祐言実行とは
2013年にJRA賞最多勝利騎手に輝き、日本競馬界を牽引する福永祐一。まだまだ戦の途中ではあるが、有言実行を体現してきた彼には語り継ぐべきことがある。ジョッキー目線のレース回顧『ユーイチの眼』や『今月の喜怒哀楽』『ユーザー質問』など、盛りだくさんの内容をお届け。

1976年12月9日、滋賀県生まれ。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。初日に2連勝を飾り、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。1999年、プリモディーネの桜花賞でGI初勝利。2005年、シーザリオで日米オークス優勝。2013年、JRA賞最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手、初代MVJを獲得。2014年のドバイDFをジャスタウェイで優勝。

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