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本当に力のある馬が勝つビッグレース/マイルCS南部杯

  • 2017年10月08日(日) 18時00分


今年はどんな物語が生まれるのでしょう


 10月9日(祝・月)、盛岡競馬場で行われる『第30回マイルCS南部杯』。メイセイオペラ、アグネスデジタル、トーホウエンペラー、アドマイヤドン、ユートピア、ブルーコンコルド、エスポワールシチーら多くの名馬を輩出してきたビッグレース。30回目を迎える今年はどんな物語が生まれるのでしょうか。

 マイルCS南部杯30年の歴史を振り返ると、勝ち馬の大きな特徴に気が付きます。1993年、1994年と連覇したトウケイニセイを始め、ユートピアが2004年、2005年連覇。ブルーコンコルドは2006年、2007年、2008年と3連覇。エスポワールシチーは2009年、2012年、2013年と3回制覇。ベストウォーリアは2014年、2015年連覇。ダートの王者たちが覇を競うダートグレード競走の中でも、これだけ連覇が目立つレースはありません。盛岡競馬場のダート1600m戦は、2コーナー奥の長い引き込み線からスタートし、途中は坂のアップダウンもあるタフなコース。本当に力のある馬が勝つ、まぎれの少ないチャンピオンコースだからこそこういった傾向が強く出ているのだと思われます。

キーワードは“連覇”


 “連覇”のキーワードにまず名前が挙がるのは昨年の覇者、コパノリッキー。2014年、盛岡競馬場で行われたJBCクラシックを制し、昨年のマイルCS南部杯では1分33秒5の驚異的なレコードタイムで快勝。その後はいまひとつのレースが続いていましたが、前走・かしわ記念では中団からの競馬でマクリを決め、他馬を力でねじ伏せて復活の勝利。相性の良い盛岡競馬場でのびのびと走る姿を今回も見せてくれるに違いありません。

 フェブラリーS(2014年、2015年)、かしわ記念(2014年、2016年、2017年)、JBCクラシック(2014年、2015年)と、すでに3つのGI・JpnIレースで“連覇”達成しているコパノリッキー。現在GI・JpnIで9勝を挙げており、ホッコータルマエの持つGI・JpnI最多10勝に並ぶのは目前。マイルCS南部杯の“連覇の歴史”に新たに名前を刻んで欲しいと思います。

“連覇の歴史”に名前を刻むかコパノリッキー(写真は2016年マイルCS南部杯優勝時、提供:岩手県競馬組合)


 相手筆頭に挙げたいのはゴールドドリーム。コパノリッキーと同じく父はゴールドアリュール。ゴールドアリュール産駒はエスポワールシチー、オーロマイスター、コパノリッキーの3頭が制しているように相性の良い種牡馬。1着オーロマイスター、2着エスポワールシチーでゴールドアリュール産駒ワンツーとなった年もあります(2010年)。コパノリッキーと同じく、今年4歳でフェブラリーSを制覇した若駒が世代交代を目指してGI・JpnI9勝馬に挑みます。

世代交代を目指すゴールドドリーム(写真は2017年フェブラリーS優勝時、撮影:下野雄規)


 すでにマイルCS南部杯を連覇した経験を持つベストウォーリアも忘れてはいけない存在。昨年は2着で3連覇ならずでしたが、盛岡競馬場は【2-1-0-1】で得意のコース。一昨年のマイルCS南部杯以降、勝ち星から遠ざかっていますが、今年2月のフェブラリーSではゴールドドリームのクビ差2着。2年ぶりの勝利&マイルCS南部杯3勝目を挙げることができるでしょうか。

ベストウォーリアは2年ぶりの勝利を挙げることができるか(写真は2015年マイルCS南部杯優勝時、撮影:高橋正和)


 カフジテイクは今年1月の根岸Sでベストウォーリアを破って重賞初制覇。フェブラリーSでもゴールドドリーム、ベストウォーリアに続く3着とGIタイトルも手が届くところに来ています。盛岡競馬場の直線でどこまで前を行く馬を追い詰めるか?! 光る末脚が魅力です。

光る末脚が魅力のカフジテイク(写真は2017年根岸S優勝時、撮影:下野雄規)


 前走・プロキオンSでカフジテイクを破って1着。重賞初制覇を果たしたばかりのキングズガード。今回は船橋の中野省吾騎手との初コンビで、いつもと違った走りを見せてくれるかもしれません。

中野省吾騎手との初コンビで挑むキングズガード(写真は2017年プロキオンS優勝時、(c)netkeiba.com)


 2016年のかきつばた記念、プロキオンS、カペラSを制しているノボバカラ。ここ2戦は芝を使っていましたが、ダートグレード競走3勝馬が本来の舞台・ダート戦に戻って盛岡競馬場に初登場。金沢の吉原寛人騎手との初コンビで臨みます。

盛岡競馬場に初参戦するダートグレード競走3勝のノボバカラ(写真は2016年カペラS優勝時、撮影:下野雄規)


 ウインフルブルームは2015年の京都金杯を制した芝の重賞ウイナー。3歳時には皐月賞でイスラボニータの3着がある素質馬が今回初めてのダートに挑戦。地元岩手の名手・村上忍騎手との初コンビで、歴戦の猛者たちに挑みます。

ウインフルブルームは初めてのダートに挑戦(写真は2015年京都金杯優勝時、(c)netkeiba.com)


驚異の上がり馬がどこまで通用するか


 地元岩手からはマイルCS南部杯トライアルの青藍賞1着のチェリーピッカー。JRAで未勝利から昨年10月に岩手に移籍後12連勝を挙げ、その後も1度だけ2着になったものの16戦して【15-1-0-0】。驚異の上がり馬がJRA勢相手にどこまで食い込めるか注目です。

岩手に移籍後16戦15勝と驚異の成績を残しているチェリーピッカー(写真は2017年青藍賞優勝時、提供:岩手県競馬組合)


 JRA勢7頭はすべて重賞ウイナー。コパノリッキーの連覇なるか?ゴールドドリームによる世代交代か?ベストウォーリアが3勝目を挙げるのか?それとも?見どころ満載のマイルの頂上決戦。記念すべき30回目の勝者の行方を見届けてください。

 9日(祝・月)の盛岡競馬場はイベントも盛りだくさん。見応えあるレースになること間違いなしの今年のマイルCS南部杯。可能な方はぜひ現地での観戦をお勧めします。盛岡競馬場でお会いしましょう!!

※次回の更新は10月11日(水)18時。翌日に門別競馬場で行われる「エーデルワイス賞」のコラムをお届けします。



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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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