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ダノンプラチナと8分の7同血のルナステラ

  • 2017年10月11日(水) 12時00分
アルマーズ(牝 栗東・藤岡健一 父エンパイアメーカー、母バルドウィナ)
 桜花賞馬ジュエラー、ワンカラット(09年フィリーズレビュー-GIIなど短距離重賞を4勝)の半妹。母バルドウィナはペネロープ賞(仏G3・芝2100m)の勝ち馬で、Northern DancerはもちろんNasrullahさえ持たない純ヨーロッパ風のアウトサイダー血統。それでいて産駒に重さが感じられないのは素晴らしい。父エンパイアメーカーは現役時代、ベルモントS(米G1・ダ12f)などG1を3勝した名馬で、種牡馬としても大成功。12年の米サイアーランキングで2位となった。日本で供用されて誕生した産駒はやはりダート向きが多いものの、重賞で掲示板に入った回数は芝8回、ダート1回。トップクラスは案外芝向きの傾向を示している。本馬はサンデーサイレンスを持っていないものの、母方は芝適性が高いので、芝向きに出てくる可能性もあるだろう。距離はマイル前後が良さそうだ。

サンラモンバレー(牡 栗東・池江泰寿 父ロードカナロア、母モンローブロンド)
 母モンローブロンドは、ランフォルセ(重賞4勝)、ノーザンリバー(重賞6勝)、ノットアローン(08年ラジオNIKKEI賞-GIII・2着)、アコースティクス(ダービー馬ロジユニヴァースの母)を兄弟に持つ良血で、現役時代にファンタジーS(GIII)2着という成績がある。「Haloのクロス+Mr.Prospector」という配合パターンの繁殖牝馬は成功するものが目立ち、ハルーワスウィート(ヴィルシーナとヴィブロスの母)、プチノワール(ローブティサージュの母)、ルミナスポイント(ジューヌエコールの母)、マリーンウィナー(ホワイトフーガの母)、ライツェント(ディアドラ、オデュッセウスの母)などが良駒を出している。モンローブロンドもこれまでにビキニブロンド(父キングカメハメハ/4勝)、プラチナブロンド(父ジャングルポケット/3勝)、サーブルオール(父ハービンジャー/3勝)などを出している。本馬は母方にサンデーサインレスとNureyevを併せ持っているが、このパターンは現時点でロードカナロア産駒の最も信頼性の高い配合パターンなので、高確率で走ってきそうだ。芝向きのスプリンター〜マイラー。

テネイシャス(牝 栗東・池江泰寿 父キングカメハメハ、母ヒカルアマランサス)
 母ヒカルアマランサスはカレンミロティック(13年金鯱賞-GII)の4分の3姉で、現役時代に京都牝馬S(GIII)を勝ち、ヴィクトリアマイル(GI)でも2着と健闘した実力馬。初子のギモーヴ(父ハービンジャー)はフラワーC(GIII)4着、本馬の全姉にあたる2番子クインアマランサスは4戦1勝と、繁殖牝馬としてまずまずのスタートを切った。本馬の父キングカメハメハは、母方にA.P.Indyを持つ17頭の産駒中12頭が勝ち上がるという好成績。そのなかにはケイアイエレガント(15年京都牝馬S-GIII、14年福島牝馬S-GIII)、ツクバコガネオー(13年エルムS-GIII・4着)、プティプランセス(11年新潟記念-GIII・5着)などが含まれている。全姉よりも馬体はひと回り大きいので期待できる。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

ルナステラ(牝 栗東・石坂正 父ディープインパクト、母ピラミマ)
 共同通信杯(GIII)を勝ったスワーヴリチャード(父ハーツクライ)の4分の3妹、きさらぎ賞(GIII)2着馬バンドワゴン(父ホワイトマズル)の半妹にあたる。母ピラミマは現役時代2戦未勝利ながら繁殖牝馬として大成功。 Lucky Spell≒Star Fortune 3×3が配合上の鍵だと思われる。本馬は「ディープインパクト×Unbridled's Song×General Meeting」という組み合わせなので、ダノンプラチナ(14年朝日杯フューチュリティS-GI、15年富士S-GIII)と8分の7同血。母の父Unbridled's Songはノースヒルズが輸入した繁殖牝馬アジアンミーティアの全兄だが、「父ディープインパクト、母アジアンミーティア」からダコール(15年新潟大賞典-GIII)が、「父ディープインパクト、2代母アジアンミーティア」からブランボヌール(15年函館2歳S-GIII、16年キーンランドC-GIII)が誕生しており、Unbridled-Unbridled's Song のラインとディープインパクトはニックスの関係にある。桜花賞向き。

レッドサクヤ(牝 栗東・藤原英昭 父ディープインパクト、母サクラサクII)
 オークス(GI)2着馬エバーブロッサムの全妹で、ヴィクトリアマイル(GI)を勝ったエイジアンウインズ(父フジキセキ)の4分の3妹にあたる。競馬場で走った8頭の兄姉がすべて勝ち上がる、という確実性は大きなセールスポイント。母サクラサクIIは社台ファームが誇る名繁殖牝馬の1頭で、Sadler's WellsやNureyevを出したSpecial牝系に属し、Ribot 4×5という底力と成長力にあふれるクロスを持っている。「Mr.Prospector+Special牝系」という血を抱えたディープインパクト産駒は、ミッキークイーン、ヴィルシーナ、ヴィブロス、ディープブリランテ、トーセンラー、スピルバーグ、デニムアンドルビー、ショウナンアデラ、リアルスティール、パッションダンス、ファンディーナなど活躍馬が続出しているニックス。この馬を出産したとき母が18歳と高齢であった点は懸念材料だが、ひとつ上のボーダーオブライフ(父キンシャサノキセキ)は7戦3勝と好調なので杞憂に終わりそうだ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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