◆前走の内容から2000mに対する不安はない 現代の世界を代表する芦毛の種牡馬タピット(その父APインディ系プルピット)の産駒は、期待の配合であればあるほど、相手の牝馬はストームキャット系だったりするので、大変なダート巧者になる。また、最初からダート巧者を目ざしていることもある。無数に近いG1勝ち馬のほとんどが、勝ち星はダートである。
だが、優れた種牡馬は自身の長所を強力に伝えるから名種牡馬であると同時に、相手の牝馬の良さも消し去ることなく巧みに引き出してみせる深さ、余力のスペースを備えるから、チャンピオン種牡馬になることができる。
ラビットランの母アミーリア(その父ディキシーランドバンド)は、北米の芝8ハロン前後で勝ち、産駒も北米ながら芝の中距離で勝っている芝向きタイプ。
このアミーリアの半兄には、種牡馬ベルトリーニ(父ダンチヒ)がいて、快速系のこの種牡馬は輸入牝馬ドナブリーニの父である。つまり、日本の歴史的名牝ジェンティルドンナ(G1を7勝)の母の父ベルトリーニの半妹が、ラビットランの母である。
タピット産駒ながら、芝向きであって少しも不思議ではない。初芝となった2走前の中京1600mのスローを、後半33秒0でゴボウ抜き。あれは追い込みというより、ラビットランの1分34秒3の中身は「37秒2-(24秒1)-33秒0」なので、後半の加速(スパート)スピードの勝利とした方がいいだろう。
前回のローズSの1800m1分45秒5の快勝はもっと分かりやすい。レース短評は「差し切り勝ち」でかまわないが、自身の「36秒3-(35秒7)-33秒5」は、他馬がいるから差し切りであり、追い込み勝ちだが、単走と仮定するなら、しだいしだいにスピードアップの1800m走破タイム「1分45秒5」である。
まだ厳しいレースの経験がなく、コーナー4回の2000mも初めてだが、心配された馬場は、空模様は良くなくても、渋馬場には悪化しない可能性が高い。多頭数だけに位置どり、スパートのタイミングは難しいが、ラビットランの豊かなスピード能力の爆発に期待したい。1800mの内容から、距離2000mに対する不安はない。
先行するはずの
アエロリット、今度は仕上げのまるで異なる
リスグラシューが相手の本線。穴馬は、小柄でもパンチある
ミリッサか。