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今年も外国人騎手が要チェック!/天皇賞・秋

  • 2017年10月25日(水) 18時00分

■天皇賞・秋(G1・東京芝2000m)フルゲート18頭/登録20頭


【特注データ】〜レースデータより〜


 天皇賞・秋というG1の大きな特徴が、鞍上の「乗り替わり」がマイナスとならないこと。通常のG1では大幅マイナス材料となりがちだが、このレースでは継続騎乗が[3-6-7-83]で乗り替わりが[7-4-3-60]と、なんと後者のほうが好成績なのだ。鞍上のスイッチが必ずしもマイナスとは言えなくなった、現在の日本競馬を象徴するようなデータである。

 乗り替わり組の成績を押し上げている原動力は、やはり外国人騎手。[4-2-3-13]で複勝率40.9%、複勝回収率116%という圧倒的な好成績で、昨年もモーリス、リアルスティールと2頭が馬券に絡んでいる。また、関西所属騎手に乗り替わった馬も、[3-0-0-13]と期間内に3勝をあげているように、侮れないパターンといえるだろう。

 逆に継続騎乗組は、関東所属騎手が騎乗の場合がもっとも好成績。関西所属騎手×継続騎乗のパターンでは9頭が馬券に絡んでいるが、そのほとんどが人気サイドであるため、回収率は単勝4%、複勝34%と非常に低くなっている。信頼度もそう高くはなく、過信は禁物のパターンといえそうだ。

 以上のデータから、今回はシャケトラ(C.デムーロ騎手に乗り替わり予定)、ネオリアリズム(A.シュタルケ騎手に乗り替わり予定)、リアルスティール(V.シュミノー騎手に乗り替わり予定)の3頭を「特注」としたい。今年のG1らしく、今週も外国人ジョッキー旋風が吹き荒れそうだ。

【コース総論】東京芝2000m Bコース使用

・コースの要所!

★1番人気の勝率が50.0%と猛烈に高いコース。超人気薄の激走率も高め。
★やはり外枠は信頼度が低くマイナス。内枠と中枠ではそれほど差がない。
★完全に差し優勢のコース。中団から速い上がりを使える馬を重視すべき。





 東京芝2000mは、スタート直後に左へと急カーブしてバックストレッチに進入するという、特殊なコース形態。中山芝1600mと同じく、「外枠不利」の代名詞的存在である。それだけに展開的な紛れが生じるケースが多く、時にはとんでもない穴馬が激走することも。馬券を買う側としても一筋縄ではいかないコースといえる。

 しかし意外にも、1番人気の強さはかなりのもの。フルゲートで行われたレース自体が少なく、精度が低いデータではあるのだが、1番人気は[12-2-1-9]で勝率50.0%と、なんと半数が勝利している。2着や3着に取りこぼすケースは少なく、キッチリ勝ちきっているのも特徴的。2番人気も連対率45.8%と高信頼度だが、こちらは[2-9-3-10]と2〜3着に惜敗する場合が多いようだ。

 あとは、ふたケタ人気の超人気薄が侮れないのもポイント。18頭立てのデータで、10番人気以下のトータル複勝率が4.7%もあるというのは、かなり珍しい。最低人気で3着に激走した例が2回もあるというのも、注目に値する。つまり、1番人気とふたケタ人気が強いという、両極端な面があるコースといえそうだ。

 次に枠番データだが、こちらは予想通りに外枠不利。複勝率には意外に差がないのだが、勝率や連対率は内枠や中枠よりも格段に落ちる。また、あくまで「外枠不利」であって「内枠有利」ではないというのも、覚えておきたい特徴。内枠である馬番1〜6番と中枠である馬番7〜12番では、平均人気の差を考えると中枠のほうが優秀なのである。

 最後に脚質面だが、こちらはハッキリと差し優勢だ。信頼度も回収率も中団待機組がトップで、先行策から最後まで粘り切るのはかなり難しいコース。同様に、後方から一気の脚で突き抜けるのも至難の業である。最速上がり馬が素晴らしい成績を残しているのも目立つポイントで、勝ち負けには末脚のキレ味が必須。「差し→先行」や「差し→差し」決着を想定しての予想が望ましい。

【レース総論】天皇賞・秋(G1) 過去10年

・レースの要所!

★1番人気は「超」高信頼度。近年は大きく荒れたケースが非常に少ない。
★枠番は「中>内>外」で差し優勢であるのもコースデータと同様の傾向。
★5歳以下[9-10-8-74]で高齢馬は大不振。牝馬は出走例こそ少ないが強い。
★サンデー系の血はイメージほど強くはない。人気薄は消すのが正解かも。








 天皇賞・秋の平均配当は、単勝1027円、馬連4740円、3連複1万1240円。もっと高くなりそうなイメージだったのだが、近年は大きく荒れるケースが少なく、1番人気は[5-2-2-1]で連対率70.0%、複勝率90.0%という鉄板級の信頼度を誇っている。4〜6番人気も[4-1-4-21]と好調で、ここは積極的に狙っていきたいところ。対照的に10番人気以下はトータル[0-1-0-82]と絶不調。基本的には、人気サイドが強いレースとなっている。

 枠番データでもっとも好成績だったのは、中枠である馬番7〜12番。信頼度から枠番値に至るまで優秀で、内枠である馬番1〜6番よりも明らかに好内容である。そして外枠である馬番13〜18番は、コースデータ以上に不振。枠番値も大幅マイナスで、ここはやはり割り引いて考えるべきだ。単純に内外を比較したデータでも完全に「内>外」で、ひとケタ馬番に入るか否かで信頼度は大幅に変わると考えたほうがいい。

 脚質データでは、コースデータ以上に「差し優勢」との結論が出た。先行勢もそれなりに馬券絡みしているが、勝率、連対率、複勝率のいずれも中団待機組のほうが高く、回収率では単複ともに圧倒的な差が出ている。また、上がり上位馬が好成績であるのもコースデータと同じ。中団からキレる脚を使える馬を中心に、馬券を組み立てるべきだ。

 大きな差が出たのが年齢別データで、5歳以下馬と6歳以上馬で明暗ハッキリ。5歳以下馬が上位を独占しているといっても過言ではなく、6歳以上で連対したのは2009年のカンパニーが最後である。さすがに6歳以上馬をすべて「消し」で扱うのは危険だが、人気薄に関しては手出し無用という印象を受ける。

 前哨戦については、京都大賞典組やオールカマー組が不振で、毎日王冠や札幌記念を叩かれてきた組のほうが高信頼度。あとは、宝塚記念からの「ぶっつけ」で出走する馬も侮れない。あとは、「意外にサンデー系の血が強くない」というのも、天皇賞・秋の特徴のひとつ。とくに不振なのが母父にサンデー系種牡馬を持つ馬で、なんと[1-1-0-44]で複勝率4.3%、複勝回収率18%という酷い成績なのだ。これなら、サンデーの血を嫌って勝負してみるのも面白そうである。

【馬場&血統総論】


・現在の馬場
 A→Bコース替わり。先週の馬場ダメージを土曜日にしっかり確認すべき。

・天候予測
 週末にまたしても台風到来の可能性アリ。再び泥んこ馬場となるか。

・注目血統
 ディープインパクト産駒◎、キングカメハメハ産駒○、ハーツクライ産駒▲

 台風の影響で全国的に大雨となり、競馬開催自体が危ぶまれるほどだった先週末。なかなかお目にかかれないレベルの不良馬場でのレース開催だったので、そのダメージは今週も確実に残ると思われる。さらに、今週末には台風22号が上陸する見込みで、再び重〜不良でのレースとなりそうだ。

 血統面はディープインパクト産駒など3種牡馬をプラスに評価したが、先週のような極度の泥んこ馬場になると、持ち味であるキレ味が削がれるのは確実。その場合は、菊花賞におけるディープスカイ産駒のクリンチャーのように、ダート適性やパワーのある血統を重視したほうがいい。

 その場合の注目はやはりサトノクラウンで、血統だけでなく重馬場実績もあるのは大きな強み。血統だけならソウルスターリングも向きそうだが、過去のレース内容から、道悪がいい方向に出るタイプではないのは確実だ。

★出走登録馬・総論×各論

 何よりも気になるのが週末の天候だが、こればっかりは現時点で案じていても仕方なし。さらに、枠番も重視すべきレースであるため、現時点での評価が非常に難しい──と愚痴っていても仕方がないので、ある程度は割り切った上で各論へと入ろう。

 トップ評価は、毎日王冠を制したリアルスティール。鞍上はM.デムーロ騎手からV.シュミノー騎手へと乗り替わる予定だが、「特注データ」でも解説したように、これを懸念する必要はまったくない。乗り替わりを理由に人気を落とすならばしめたもので、ここで昨年以上の結果を出しても何の不思議もない実績馬である。

 二番手評価にキタサンブラック。宝塚記念でついに崩れたが、これは天皇賞・春のダメージが大きかったものだと思われる。立て直されれば力は明らかに上で、東京コースの適性もジャパンカップで証明済み。馬格とパワーのある馬なので、道悪となった場合の適性も他馬より上だろう。

 三番手評価にサトノクラウン。宝塚記念を快勝したように、少し時計のかかる馬場になったほうが持ち味が出るタイプである。サンデーの血を持たないことや年齢、臨戦過程など、プラス評価となった項目の多さはかなりのもの。絶好調のM.デムーロ騎手が、引き続き手綱を取るのも心強い。

 四番手評価にネオリアリズム。こちらも冒頭の「特注データ」該当馬で、今回はA.シュタルケ騎手が騎乗する予定だ。過去に5勝をあげている芝2000m戦で、東京芝の適性もバッチリ。6歳馬であるのが大きな割引材料ではあるのだが、それを補ってあまりあるプラス評価を得て、この評価となった。

 以下は、ヤマカツエース、シャケトラ、グレーターロンドン、マカヒキ、ミッキーロケット、サトノアラジン、レインボーラインという評価の序列。とはいえ、馬番13〜18番に入った馬は評価を大幅に割り引く必要がある。どのような馬場になるかも現時点では読みづらく、最終的な評価はここから大きく変わる可能性アリ。難解かつ面白い、歯ごたえのあるレースとなりそうである。


■総論×各論・先週の馬券回顧



京都11レース 菊花賞(G1)
1着 13キセキ
2着 04クリンチャー
3着 14ポポカテペトル

この1着3着は激痛(#^ω^)ビキビキ

レース当日の内枠が壊滅状態だったのもあって、トップ評価だった13キセキから「前走で人気より上の着順に来ていた馬」に流す馬連を購入。3着に激走した14ポポカテペトルや、4着だった06マイネルヴンシュもしっかり押さえているというのに、04クリンチャーがヌケたよママン! さすがに泣きそうだったよ!

※コース&血統データは2012年以降、レースデータは2007年以降が集計対象です。
※枠番値は、当該枠番における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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