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今年は何かがおこる!? ルメールの逃げは天皇賞・秋を勝つための仕掛けか?

  • 2017年10月26日(木) 12時00分


天皇賞・秋はオッズ視点で見ると、簡単に整理できるオッズ鑑賞レースだ。だから、毎年ここでそのことを書いている。途絶えたら書くのを控えようと思っていたけど、去年も途絶えなかったので今年も書く。

その前に当たり前にわかっていること。

天皇賞・秋は1人気か5人気か7人気が勝つ。
この10年で1人気5勝、5人気4勝、7人気1勝。

1着した5人気の単オッズは11.0倍〜16.6倍。7人気の単オッズは33.3倍。
10年で4回単勝を仕留めることで満足するなら、単オッズ10倍台の5人気を買えばいい。

ただ5人気と7人気が頑張ってるのは1着だけではない。2着でも頑張っている。
5人気と7人気から上位人気に2連系馬券を買うと、10年で7回当たる。馬連で10点。ざっと見たところ十分プラスだ。

予想オッズだとこんな感じだ。

1人気 キタサンブラック 3.0
2人気 リアルスティール 5.9
3人気 サトノクラウン 7.0
4人気 サトノアラジン 7.6
5人気 グレーターロンドン 8.0
6人気 ソウルスターリング 8.6
7人気 ステファノス 10.7
8人気 マカヒキ 18.2
9人気 ヤマカツエース 18.6
10人気 ネオリアリズム 20.6
11人気  シャケトラ 23.6
<大きく開いて>
12人気 サクラアンプルール 61.8
13人気以後・略

5人気になりそうなのは、4人気〜6人気の馬か。
ただこのオッズ通りだと単オッズが10倍以内になりそうだ。これならば、人気を無視して、10倍台の馬の単勝を買いたくもなる。ネオリアリズム、シャケトラあたりも実オッズで10倍台に来てもおかしくない。

5人気と7人気から、上位人気の馬に馬連を10点買うか、10倍台の単勝を見繕って買うか。両方から買うか。

いや今年は別のアプローチも期待できるかもしれない。

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単オッズ4.9以内に1頭だけだったら、何かが起こる
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#1「単オッズ4.9以内に3頭いたら、その3頭の内の2頭は3着以内に走る」

#2「単オッズ4.9以内に2頭だったら、その2頭の内の1頭は3着以内に走る」

#3「単オッズ4.9以内に1頭だけだったら、何かが起こる」

つまり、天皇賞秋は3人気まで見れば、軸選びに接近遭遇できるということだ。2年前からここで記してるけれど、それでもそのとおりだったので今年も記す。

まずは、そのおさらい。とりあえず、#1、#2について。

07年
単4.9以内に2頭 だから馬券圏内に1頭は来る(以下略)。
メイショウサムソン 2.9 1着
アドマイヤムーン  3.8 馬券圏外
1頭来ている。

08年 3頭だから2頭は来る
ウオッカ      2.7 1着
ダイワスカーレット 3.6 2着
ディープスカイ   4.1 3着
(全部来ちゃったけど)

10年 2頭だから1頭は来る
ブエナビスタ    2.2 1着
アーネストリー   4.9 3着
(両方来ちゃったけど)

12年 3頭だから2頭は来る
フェノーメノ    3.4 2着
ルーラーシップ   4.5 3着
カレンブラックヒル 4.7 圏外
(ちゃんと2頭来た)

13年 3頭だから2頭は来る
ジェンティルドンナ 2.0 2着
トウケイヘイロー  4.4 圏外
エイシンフラッシュ 4.7 3着
(ちゃんと2頭来た)

14年 3頭だから2頭は来る
イスラボニータ   2.8 3着
ジェンティルドンナ 4.7 2着
フェノーメノ    4.9 圏外
(ちゃんと2頭来た)

15年 2頭だから1頭は来る
ラブリーデイ    3.4 1着
エイシンヒカリ   4.3 着外
(ちゃんと1頭来た)

16年 2頭だから1頭は来る
モーリス      3.6 1着
エイシンヒカリ   4.5 圏外

ほら、この通り。
抜けてる年は4.9以内に1頭しかいなかった年だ。そう何かが起こった年。

05年 4.9以内に1頭
ゼンノロブロイ   2.2 2着

1着 ヘヴンリーロマンス 75.8 14人気
2着 ゼンノロブロイ   2.2  1人気
3着 ダンスインザムード 53.9 13人気

1人気は圏内に走ったけれど、1着は14人気のヘヴンリーロマンス。
何かが起こった! 単勝ビッグサプライズ!!
おまけに3着も13人気!

06年 4.9以内に1頭
スイープトウショウ 3.9 圏外(5着)

1着 ダイワメジャー   7.0 4人気
2着 スウィフトカレント 16.9 7人気
3着 アドマイヤムーン  6.0 2人気

1人気は5着に負けた。

09年 4.9以内に1頭
ウオッカ      2.1 3着

1着 カンパニー     11.5 5人気
2着 スクリーンヒーロー 31.4 7人気
3着 ウオッカ      2.1 1人気

1着は8歳馬の5人気カンパニーで、単31.4倍のスクリーンヒーローが2着した。
1人気は3着に踏ん張ったけれど、馬連は万馬券(16490円)になった。馬連が万馬券になったのはヘヴンリーロマンスが1着したとき(馬連12340円)以来で、この10年でもこの1回のみ。何かがおこった。

11年 4.9以内に1頭
ブエナビスタ    2.8 4着

1着 トーセンジョーダン 33.3 7人気
2着 ダークシャドウ   5.7 2人気
3着 ペルーサ      8.2 6人気

1人気は4着惜敗し、単33.3倍のトーセンジョーダンが1着した。単勝33.3倍は、単75.8倍のヘヴンリーロマンスに次ぐ高配当。やっぱり何かが起こった。

では、今年はどうか。

今年は予想では、1頭だけになりそう。

1人気 キタサンブラック 3.0 
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2人気 リアルスティール 5.9
3人気 サトノクラウン  7.0

このままなら、何かが起こる。

では、何か起こるのか?
それはわかんない。

1人気の1着がなさそうなことはわかるけど、それ以外はよくわからない。7人気までで決まってるとは言えるけど、単33倍の馬が7人気だったりもしたから、人気だけで決めつけるわけにも行かない。

こういう場合は、起こって欲しいことを願う方がいい。

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天皇賞・秋 お願い馬
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ソウルスターリング
(ヤマカツエース)
(シャケトラ)

Mデムーロのサトノクラウンは宝塚記念の時に、
「1着か6着の馬と決定?」
「香港でハイランドリールを差し切った。今回、キタサンブラックを差したら、大物喰いと認定?」と記した。

ちゃんと勝ったから大物喰いの1着か6着馬と決定した。
今回はどうだろう? 一度喰ったキタサンブラックを再度喰っても大物喰いのインパクトは薄い。ここを使って、再度香港へ別の大物を喰らいに行く方が面白いのではないか? 1着を否定するわけではないけど、願いごとには入らない。

ルメールのソウルスターリングは気になる。前走の逃げが大いに気になる。
「瞬発力勝負では分が悪い」と承知の上で、スローで逃げていたのが気になる。

前半35.6 後半34.0 1000m60.0

は1800ではなく2000を意識したペース配分に思える。
逃げ名人のルメールだけど、毎日王冠では天皇賞・秋を意識して走らせたら、結果逃げるハメになってしまったのかもしれない。

もちろんそれは天皇賞・秋を逃げるためではなく、キタサンブラックの背後のポジションを取るためではないか? キタサンブラックが宝塚記念のブラックではなく、その前までの行きっぷりのいいブラックならば、その背後のポジションは桃源郷だ(理由は宝塚記念の週に記載)。

もちろんソウルスターリングも春のスターリングであることが前提だけど、そこも見越して、前走試したと思いたい。

というわけで、サトノクラウンとソウルスターリングでは、ソウルスターリングに何かが起こると願いたい。今は予想6人気だけど、実オッズでは4、5人気になるのではないか? それでもこの人気は美味しい。強い牡馬は時々牝馬に負けたりする。オルフェーヴルがそうだった。キタサンブラックも宝塚でマリアライトに負けたことがある。

ソウルスターリングは、おそらくキタサンブラックの一番近くで走る牝馬になるはず。そこにも興味津々。

(ヤマカツエースとシャケトラ)は勝つとは思わないけど、2着か3着してくれるといいな。

ヤマカツエースは、有馬記念でキタサンにつけられた差(0.3)を春に少しだけ埋めた(0.2)ように思う。基本的にはキタサンの作る流れは嫌いじゃないはず。

シャケトラは、角居厩舎が早くから鞍上Cデムーロと発表していた。菊花賞で非社台生産のキセキにMデムーロを確保した角居師だ。ここも外国人騎手の取り合いになる前に確保したかのようだし、Cデムーロに乗ってもらいたいかのようだ。

その答えが天皇賞・秋なのかはわからない。角居師といえば、ジャパンカップだ。ここではなくそちらかもしれない。でもここから注目しておきたい。

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おまけの注目馬
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サクラアンプルール・蛯名正義

「いつも怒りのパワーを感じる。ふつう年取ると丸くなるけど全然衰えない。尊敬してます」という柴山騎手の蛯名評が大好きだ。

蛯名騎手といえば、激怒系のキャラがあるようだけど、実際、そういう場面も多いのかもしれないけれど、柴山騎手の言う「怒り」からは、マグマや、雷(いかづち)のようにたぎった気持ちを自身に内包し、それをエネルギーに換えて、猛進する男の像が浮かぶ。うむ、実にかっこいい。

「おこる」と「いかる」はどちらも怒ると書くけど、怒りには正義感のようなものも感じられて、そこもいい。

怒りと言えば、自分の世代はブルース・リーだけど、若い人は北斗の拳のケンシロウか。もっと若い人はキングダムの桓騎か。いや桓騎を出すとややこしくなるからやめておこう。

とにかく、ブルース・リーもケンシロウも正義感いっぱいの怒りが炸裂していた。たとえば、ジャギとの…

おっと脱線してしまった。
とにかく天皇賞・秋は蛯名の怒りが結果に結びつかないかとちょっとだけ期待している。

サクラアンプルールは前走札幌記念だった。これは天皇賞・秋で1着してもおかしくないローテだ。過去10年でも2勝(トーセンジョーダンとモーリス)している。その向こうの10年でも2勝している(ヘヴンリーロマンス、エアグルーヴ)。

トーセンジョーダンは天皇賞・秋は7人気だったけれど、札幌記念含めてG2を3勝(他アルゼンチン・AJCC)していた馬だし、モーリスに至っては説明の必要もない強い馬だった。それに比べてサクラアンプルールは札幌記念を勝つまでは、中山記念2着が最高成績だった。物足りなさは残るし、札幌記念が一世一代の大駈けだったかもしれない。

でも札幌記念を9人気で勝ったヘヴンリーロマンスだってその時が一世一代の大駆けと思われた。しかし14人気で勝った次の天皇賞・秋こそが一世一代の大駆けだった。だからまだわからない。

足りないと思われる部分を鞍上の怒りでなんとかならないか?

思えば、札幌記念のあった週は、モレイラが来た週で、札幌記念の前までで7勝(土日)をあげていた。怒りの静機が動機に換わったとしても驚けない。天皇賞・秋には外国人騎手が5人いる。天から雷をふり落とし、地からマグマを噴出させるに十分な動機ではなかろうか!

サクラアンプルールが力を発揮できそうな、何かが起こらないかな。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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