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覚醒したキタサンミカヅキ、地方馬2頭目のJBC制覇へ!

  • 2017年10月31日(火) 18時00分
佐藤賢二

東京盃を制覇したキタサンミカヅキを管理する佐藤賢二調教師へインタビュー




相手は強いけれどなんとか勝ちたいです


赤見 キタサンミカヅキでの東京盃制覇、おめでとうございます!強かったですね。

佐藤 ありがとうございます。ツボにハマってくれましたね。あれだけのメンバー相手に勝ってくれて、すごく嬉しいです。テンに行かせたら行くんだけど、前半に脚を使ってしまうと最後甘くなってしまうから、あんまりムリして行かせずにという形で、繁田(健一)くんには3コーナーくらいまで溜めて行ってくれと伝えていたんですが、本当に上手く乗ってくれました。

キタサンミカヅキ

強力な中央勢がいる中、東京盃を制したキタサンミカヅキ(撮影:武田明彦)


赤見 レース前はどんなお気持ちだったんですか?

佐藤 JRAからの移籍初戦だったアフター5スター賞は、そこまでいい状態ではない中で勝ってくれたんですよ。あれだけ走れるなら、状態が良くなった今回はさらにいいんじゃないかとは思っていました。ただ、相手はダートグレードですでに活躍している馬たちですから、どれくらいやれるかなという感じではいましたね。


赤見 東京盃当日はオーナーである北島三郎さんのお誕生日だったそうで、最高のプレゼントになりましたね。

佐藤 そうなんですよ。本当は当日競馬場にいらっしゃる予定だったんですけど、風邪気味だということで大事を取っていらっしゃらなかったんです。生でレースを見られなかったことは残念ですが、いいレースができてわたしとしても嬉しかったです。

キタサンミカヅキ

移籍初戦だったアフター5スター賞を制したキタサンミカヅキ(撮影:武田明彦)


赤見 これで移籍2連勝です。実は初戦のアフター5スター賞の時、軽く見てしまいました。素晴らしい末脚で差し切って、ちょっと驚いたというか。

佐藤 わたしもびっくりしました(笑)。美浦の古賀(史生)先生からは、「調教でけっこう引っ掛かるから気を付けて」と言われていたんですよ。でもこちらに来てから全然引っかからないから、「どうしちゃったんだろ?すくんじゃったのかな」って思って一回笹針したんです。アフター5スター賞は笹針明けで良化途上だったし、こちらも初めてで手探りの面があって、1度使ってみないとわからないというのが正直な気持ちでした。でもレースに行ったら思っていた以上に走ってくれて、本当に嬉しい驚きでしたね。

赤見 普段はどんな性格なんですか?

佐藤 基本的には馬房でも大人しいし、運動場で他の馬が暴れても気にしないんですよ。ただ、装鞍所に行くとグーンと気合が入って、スイッチが入ったみたいに競馬モードに変わるんです。レースが終わった後もまだ気持ちが入っているから、口取写真を撮るのが大変で。JRAにいた時は気性的に荒くて、調教で乗れる人も限られていたみたいですけど、こちらではそういうところは大人しくなりました。まさかここまで変身するとは思わなかったですけど、水が合うのかもしれないですね。

赤見 東京盃後はどんな様子ですか?

佐藤 レース後も食欲が細くなることはないし、いい状態でJBCに行けるんじゃないかと。プレッシャーは感じますが、今の状態をキープしていければそんなに引けは取らないと思っています。

赤見 現状課題を上げるとしたら何かありますか?

佐藤 競馬が上手な馬で、道中溜めて行けば最後はすごい脚を使ってくれるので、課題という課題はないですね。前がやり合うような展開になってくれればありがたいというくらいです。今のところとても順調に行っていて、ハードな調教に耐えてくれていますから。

赤見 佐藤賢二厩舎といえば、ハード調教だと言われていますね。

佐藤 ははは(笑)。みんなもやっているだろうけどね、そう言われます。やっぱりJRAから来た馬は坂路でもしっかりやっているし、それに負けないくらいの調教をしないといけないと思っているんです。そのハード調教に馬が耐えてくれているからこそ結果に繋がっているので。

赤見 今年はキタサンミカヅキの他にも、ヒガシウィルウィンが東京ダービーとジャパンダートダービーを制覇。厩舎としても大活躍ですね。

佐藤 ありがたいことです。ヒガシウィルウィンも本当にがんばってくれましたね。東京ダービーでもしっかり仕上げましたが、その後のJDDでも攻めの調教をしました。JRA勢相手になまじっかな仕上げでは通用しないですから。それに耐えてがんばってくれたお馬さんに感謝です。

赤見 今後の予定というのはお決まりですか?

佐藤 レース後は針をしてオーバーホールして、その後はゆっくり過ごしました。今は帰厩して調整しています。緩んだ分、腰が少し甘かったけれど、乗り込みを重ねてここのところだいぶしっかりしました。水沢のダービーグランプリ(11/19)か、浦和記念(11/23)を目標にと考えています。あれだけの馬ですから、中途半端な状態では使えないので、休み明けでもきちんと仕上げていかないと。地方勢だけではなく中央勢とも戦わなくてはいけないですから、もちろんプレッシャーもありますけど楽しみです。

ヒガシウィルウィン

次走は水沢のダービーグランプリか、浦和記念を目標にしているヒガシウィルウィン(撮影:高橋正和)


赤見 では、いよいよ迫って来たJBCスプリントに向けて、意気込みをよろしくお願いします。

佐藤 いつも応援していただき、ありがとうございます。キタサンミカヅキはいい状態で挑めそうなので、応援していただけたら嬉しいです。地方馬でJBCを勝ったのはフジノウェーブ1頭だけなので、相手は強いけれどなんとか勝ちたいです。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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