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フレッシュな欧州血統が走るエリザベス女王杯

  • 2017年11月10日(金) 19時00分


◆400mで「割れない」距離の適性が問われるレース

 エリザベス女王杯は

・キャリア16戦以下の馬
・G1未勝利馬

 が馬券になりやすいレース。2、3歳時にはG1レースを勝てなかった馬、出走できなかった馬のために作られたレースだから…という意図があったかはわかりませんが、結果的にはそういう構造になっています。

 過去5年の当レースで馬券になったのべ15頭のうち14頭はキャリア16戦以下の馬。また、3年連続で勝ち馬はG1未勝利だった馬。G1未勝利馬が走りやすいのは、牝馬限定G1では唯一、400mを整数で「割れない」レースである影響も大きいでしょう。

 当レース以外の牝馬限定G1レースは1600m、2000m、2400mと400で割れます。JRAの芝G1競争には芝1400mと芝1800mのG1レースがありません。この2レースも400mで割れないように、日本の芝G1は400mで割れない距離の適性が高い馬はG1レースでは不利なのです。

 逆にいえば、当レースは400mで「割れる」重賞で不遇だった馬が走りやすいレース。たとえば、昨年当レースを勝ったクイーンズリングは重賞レースを4勝していますが、勝利距離は1400mで2勝。1800mで1勝。そして昨年の当レースを優勝。すべて400を整数で「割れない」距離。

 血統面でも、クイーンズリングは「欧州」の主流血統を強く持ちます。同馬は母系に欧州型ノーザンダンサー系とネヴァーベンド系の血を持つ馬。

 この2系統は欧州では主流血脈。欧州の中長距離G1勝ち馬は、たいていどちらかの血を持ちますし、両方の血を持つ馬も多いのです。

 ところが、日本のクラシックレースの頂点である日本ダービーは、過去5年両方の血を持つ馬は勝利したことがありません。

 つまり「欧州の主流血脈」を持ち「フレッシュ」でいて、さらに「400の倍数で割れる距離」では一歩足りない馬にスイッチが入るレースなのです。

 と、似たような表現を20年近く書き続けていますが、万人には受け入れがたい現象であることに加えて、結果は出てしまうので今年も書き続けることができます(笑)

 今年の新顔(初出走の馬)ではリスグラシューが母系に欧州の主流血脈であるノーザンダンサー系のサドラーズウェルズとネヴァーベンド系の血を持つ馬。

 当レースの勝ち馬マリアライトとレインボーダリアも、ノーザンダンサーとネヴァーベンドを両方持つ馬。ともに当レースがG1初優勝。なおかつ京都にしては時計のかかる馬場の年に優勝。今年の馬場は、時計がかかる馬場になりそうなことも有利。

 ただ、ヴィブロスはフレッシュな上に400mで割れない世界のG1レース、ドバイターフを勝ってしまう馬。人気馬が走りやすいレースは、いわゆる「万人ウケ」しない「裏ワザ馬券術」の的中率も期待値も下がります。ここまで書いといて、なんですが(笑)、裏ワザを熱心に書くレースでもないような気もします。

 G1レースだけではなく、裏ワザを使うことが楽しい方々にオススメなのは福島。先週の福島芝は、ディープインパクト、ハーツクライ、ダイワメジャーの産駒はすべて連対できず。「主流血統」が走りづらいタフな馬場です。

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血統馬券予想理論『血統ビーム』の提唱者で、『ブラッドバイアス』『大系統』『小系統』などの血統予想用語、概念の作者。血統ビームの革新性は20世紀末の競馬予想界に衝撃を与え、現在は競馬ファン、競馬評論家に多大な影響を与え続けている。また『競馬予想TV!』『競馬血統研究所』(ともにCS放送フジテレビONE)に出演するなど活躍中。Twitterはコチラ。
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