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西の横綱ワグネリアンVS東の大器ルーカス 圧倒的な存在感の激突/吉田竜作マル秘週報

  • 2017年11月15日(水) 18時00分


◆ワグネリアンとはまた好対照な逸材・ルーカス

 今年で第22回を数えるGIII東京スポーツ杯2歳S。歴代の覇者の華麗なる経歴は何度となく紹介されているので、もはや改めて触れる必要もないだろう。それよりも大事なのは今。今年もまた新たに歴史を継承するにふさわしいハイレベルな2頭が激突する。

 ワグネリアンにはすでに当コラムでも何度か登場してもらった。新馬戦のパドックでは、お盆のきゅうりのお供え物のように見えたヒョロッと頼りなさげな馬体は今や別物に。「数字自体は変わってないけどね」とは友道調教師だが、入厩当初から目にしていれば、その違いはすぐにわかる。成長力にも手応えを感じているからこそ、この出世レースにエントリーしてきたのだろう。

「1か月前に厩舎に戻して調整してきた。カイバをしっかりと食べるようになって、体にも幅が出てきた感じ。数字はそう変わらないにしても、そのあたりは成長と言えるんじゃないかな」とトレーナーも満足顔。関西の記者としては「無傷のV3で世代の主役に躍り出る」と書きたいところだが…。今年に限ってはこの「西の横綱」とて安穏とはしていられない。「東の大器」と誉れ高い馬がいるからだ。

 テレビ観戦ながら、記者もルーカスのデビュー時はパドックからチェックした。その印象はワグネリアンとは逆の意味で良くは見えなかった。見るからに腹回りに余裕があったし、周回ものんびり。全兄モーリスもおとなしい馬だったとはいえ、もう少しピリッとしても…。

 対して人気を分け合ったリシュブールは均整の取れた馬体で、いかにも動けそうな雰囲気。一緒にパドックを見ていた北海道帰りの某記者の「藤原英厩舎のスタッフも“まず負けない”と言ってたぞ」との解説もあり、正直、勝つのはリシュブールの方だと思っていたのだが…。レースでは勝負どころでエンジンがかかると、まさに兄の走りをほうふつとさせるスピードの乗り。難なくライバルを捕まえ、1馬身半退けた。

「あんな体であれだけ走るんだもんな。これは相当な器だわ」とつぶやいたのは前出の某記者。当時の馬体のつくりからすれば、兄同様に完成するのはまだまだ先なのだろうが、それでいてあの破壊力。ワグネリアンとはまた好対照な逸材と言っていいだろう。

 記者は圧倒的な存在感を放つこの2頭の激突をライブでは楽しめないが、東京競馬場に駆けつけられる方はぜひ足を運んでほしい。

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