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経験値の高いソイカウボーイVS勢いあるハヤブサマカオー/兵庫ジュニアグランプリ

  • 2017年11月20日(月) 18時00分


未来に繋がる重要な一戦


 11月21日(火)、園田競馬場で行われる2歳重賞『第19回兵庫ジュニアグランプリ(JpnII)』。12月のJpnI・全日本2歳優駿に向けての前哨戦であると同時に、歴代の優勝馬にはスーニ、ラブミーチャン、ケイアイレオーネ、ニシケンモノノフなど古馬になっても活躍する馬たちが並ぶ、未来に繋がる重要な一戦です。

 過去5年の成績を見るとJRA勢が1、2、3着を独占(1番人気3番人気2番人気の順)した一昨年2015年以外は1番人気馬が【1-0-0-4】と不振。地方勢は2012年3着のハニーパイ(4番人気)、2013年3着のリーダーズボード(3番人気)、2014年1着のジャジャウマナラシ(7番人気)と2着のオヤコダカ(6番人気)、昨年2016年1着のローズジュレップ(6番人気)と3着のバリスコア(7番人気)。以上6頭が3着以内に活躍。馬券的にも2014年は3連単60万3300円、昨年は30万6650円と地方勢が波乱を演出しています。

 例年JRA勢が上位人気になりますが経験の少ない2歳戦ゆえ未知の部分が多く、結果として人気馬不振の成績。なかでも今年はJRA勢5頭中2勝を挙げているのはただ1頭で、4頭が1勝馬。加えて初めての地方競馬場への参戦。ならば今年もレース経験を重ねている地方勢を上位にしてもいいのでは?と考えます。

園田の名手・川原騎手騎乗のソイカウボーイに注目


 そこで筆頭に挙げるのがホッカイドウ競馬所属で4戦3勝【3-0-0-1】の成績を挙げているソイカウボーイ。唯一の負けはJRA札幌競馬場で出走したすずらん賞(12着)。この敗戦は芝に挑戦したもので度外視して大丈夫。前走・サッポロクラシックCは直線勝負で前を一気に差し切り4馬身差の圧勝。過去を見ても重賞で連対経験のある地方馬が活躍しているのは心強い材料。門別では3戦3勝と負けていない事に加え、さらに今回は鞍上に川原正一騎手を配し万全の態勢。2014年のオヤコダカで2着、昨年ローズジュレップを勝利に導いた地元園田の名手・川原騎手の手綱さばきにも注目です。ソイカウボーイが勝てば、川原正一騎手と田中淳司調教師はともに昨年のローズジュレップに続いての連覇達成となります。

園田の名手・川原騎手の手綱さばきにも注目のソイカウボーイ(写真は2017年サッポロクラシックC優勝時、撮影:田中哲実)


対するJRA勢は2戦ともに圧勝のハヤブサマカオー


 対するJRA勢からは人気も集めそうなハヤブサマカオー。2戦2勝、JRA勢で唯一の無敗の2勝馬。札幌のデビュー戦は馬なりで逃げて大差勝ち。2戦目の前走・なでしこ賞(京都・500万下・ダート1400m)でもマイペースの逃げで持ったまま4馬身差の圧勝。タイムは1分23秒4の2歳コースレコード。菊花賞当日の不良馬場だったとはいえ速いタイムで大物感十分。2戦とも逃げて上がりも最速。鞍上・ルメール騎手とのコンビであっさり重賞制覇を達成する可能性大です。

JRA勢で唯一の無敗の2勝馬ハヤブサマカオー(写真は2017年なでしこ賞優勝時、(c)netkeiba.com)


 タガノアムは2戦1勝【1-0-1-0】の牝馬。デビュー戦は先行して3着でしたが、2戦目の前走・2歳未勝利戦(京都・ダート1200m)ではスタートで躓いて6番手からの競馬に。手応え十分でコーナーを回り、直線で最内を突こうとするも狭くなると最後は外に切り替え、そこからグイグイと伸びて差し切り3/4馬身の1着。道中スムーズではありませんでしたが結果として差す競馬ができたことは収穫で、その勝負根性にも期待。

タガノアムの勝負根性に期待(写真は2017年未勝利戦優勝時、(c)netkeiba.com)


 未知の魅力といえば1戦1勝の牝馬・レナータ。11月4日の新馬戦(福島・ダート1700m)を勝ったばかり。兵庫ジュニアグランプリの出走登録にギリギリ間に合ったその幸運も味方につけたいところ。鞍上は引き続き園田出身の岩田康誠騎手というのも心強い材料です。

 3戦1勝【1-0-2-0】のアスターソード。デビュー戦は芝のレースで3着。2戦目は出遅れて後方からの競馬となり3着。前走・2歳未勝利戦(京都・ダート1200m)はすんなりスタートを切り6番手からの競馬。直線ではエンジンのかかりが遅かったものの追われて差を詰め、ゴール直前で差し切り1/2馬身差。着実に伸びる末脚が怖い存在。

着実に伸びる末脚が武器のアスターソード(写真は2017年未勝利戦優勝時、(c)netkeiba.com)


 3戦1勝【1-0-0-2】のクラウンエンジニア。デビューから2戦は出遅れてともに4着。前走・2歳未勝利戦(中山・ダート1200m)はスムーズにゲートを出ることができて2番手からの競馬で直線先頭に立ち1着。デビュー3戦目で良化を示しましたが、今回もスタートがカギとなります。

 再び地方勢からホッカイドウ競馬のモリノラスボス。ダート王者エスポワールシチーの初年度産駒。7戦3勝【3-2-0-2】と経験豊富な1頭。盛岡の芝の重賞・ジュニアグランプリを制している異色の経歴。その後は川崎・鎌倉記念5着、前走はJRAの芝の重賞・京王杯2歳Sに挑戦して10着。遠征慣れしている強みでどこまで力を発揮できるでしょうか。

遠征慣れしている強みを活かしたいモリノラスボス(写真右・2017年ジュニアグランプリ優勝時・写真提供:岩手県競馬組合)


 地元兵庫勢ではホッカイドウ競馬からの移籍初戦となる牝馬のショコラパフェ。ここまで7戦3勝【3-2-1-1】と実に堅実な走り。前走・オープンのクロフネプレミアムでは見事1番人気に応えました。新子雅司調教師と下原理騎手、兵庫のリーディングトレーナーとリーディングジョッキーの手腕からも目が離せません。

 10月後半は台風の影響もあって、ここに向かう臨戦過程で不良馬場や重馬場など今年は道悪競馬で勝ち上がってきたメンバーが多いという特徴がありますが、当日の天候や馬場状態にも注目して最終結論を出したい一戦。暮れの全日本2歳優駿に向けてはもちろん、来年各地で行われるダートクラシック戦線へも繋がっていく若駒たちの戦い。昨年のような波乱の結果になるのか、一昨年のような上位人気での決着になるのか。難しいレースこそ競馬ファンの腕が試される、魅力的な戦いです。

※次回の更新は11月22日(水)18時。翌日に浦和競馬場で行われる「浦和記念」のコラムをお届けします。



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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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