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オークス馬ダイワエルシエーロの息子カーサデルシエロ

  • 2017年11月22日(水) 12時00分
●アンジェロッティ(牡 栗東・須貝尚介 父キングカメハメハ、母シュプリームギフト)

 母シュプリームギフトはディープインパクト産駒ながら芝短距離で活躍し、函館スプリントS(GIII)2着、京阪杯(GIII)とキーンランドC(GIII)で3着という成績を残した。その兄弟にはベステゲシェンク(15年オーシャンS-GIII・3着)、ロワアブソリュー(16年アーリントンC-GIII・3着)などがいる。2代母スーヴェニアギフトはランダルースS(米G3・ダ6f)を勝ち、デルマーデビュターントS(米G1・ダ7f)2着。スピード色の強いファミリーだ。これにキングカメハメハを付けて誕生した本馬は、Kingmambo≒Souvenir Copy 2×3という組み合わせのクロスを持っている。母の父にディープインパクトを持つとはいえ、このクロスはパワフルなスピードを伝えるので、母に似たスピードタイプに出るのではないかと思われる。得意レンジは1200〜1600mで、場合によってはダートに適性を見せるかもしれない。

●カーサデルシエロ(牝 栗東・藤原英昭 父ロードカナロア、母ダイワエルシエーロ)

 下河辺牧場のオールフォーロンドン牝系は、ここ何年か鳴りを潜めてきたが、キセキ(17年菊花賞-GI)やグレーターロンドン(17年毎日王冠-GII・3着)の活躍でにわかに活況を帯びてきた。ファミリーの出世頭ともいえるダイワエルシエーロはオークス(GI)など4つの重賞を制した名牝。母としては、07年生まれの初子ダイワエルモーサ(父ブライアンズタイム/JRA3戦未勝利)以降、不受胎や流産が続き、子が出来ても出走できないなど、現時点で初子しか出走を果たしていない。本馬が年内にデビューすれば7年ぶりの産駒出走となる。父がキングカメハメハの息子、母の父がサンデー系、2代母がロンドンブリッジ、という配合はキセキと同じ。キセキの父はスタミナ色の強いルーラーシップで、本馬の父はスピード色の強いロードカナロアなので、配合構成は似ていても産駒のタイプはかなり異なる。芝向きのマイラーだろう。

●キタノコマンドール(牡 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母ベネンシアドール)

 セレクトセール1歳で落札価格1億9000万円(税抜)。デニムアンドルビー(13年フローラS-GII、13年ローズS-GII、13年ジャパンC-GI・2着、15年宝塚記念-GI・2着)の全弟にあたる良血。本馬はトゥザヴィクトリー(01年エリザベス女王杯-GIなど重賞4勝)などを出したフェアリードール牝系に属しており、近い世代にキングカメハメハ、サンデーサイレンスを併せ持っているのでトゥザグローリー(重賞5勝)、トゥザワールド(14年弥生賞-GII)、トーセンビクトリー(17年中山牝馬S-GIII)のきょうだいと配合構成がよく似ている。「ディープインパクト×キングカメハメハ」の組み合わせは東京スポーツ杯2歳S(GIII)を勝って3戦全勝としたワグネリアンと同じで、連対率35.8%、1走あたりの賞金額523万円という抜群の成績(ディープインパクト産駒全体は24.0%、329万円)。全姉デニムアンドルビーと同じく芝中距離で大仕事を期待したい。

●ダノンマジェスティ(牡 栗東・音無秀孝 父ディープインパクト、母ドバイマジェスティ)

 セレクトセール1歳で落札価格2億2000万円(税抜)。皐月賞馬アルアインの全弟にあたる良血。母ドバイマジェスティはブリーダーズCフィリー&メアスプリント(米G1・ダ6ハロン)を制し、アメリカのチャンピオンスプリンター牝馬に選出された。母の父Essence of DubaiはA.P.Indy系で、スーパーダービー(米G2・ダ9f)、ノーフォークS(米G2・ダ8f)、UAEダービー(首G2・ダ2000m)の勝ち馬。種牡馬としてはあまり成功したとはいえず、ドバイマジェスティの他にこれといった大物は出ていない。母方にA.P.Indyを持つディープインパクト産駒は、連対率21.6%、1走あたり244万円。ディープインパクト産駒全体の24.0%、329万円を下回っている。ただし、アルアインのほかにハートレー、ファンディーナと、最近になって重賞勝ち馬が増えてきているので、今後成績は上がってきそうだ。レースレコードを更新して皐月賞馬となった全兄アルアインがそうであるように、スピードの持続力が持ち味であると思われる。マイルから2000mがベストだろう。

●レッドレオン(牡 栗東・角居勝彦 父ディープインパクト、母レッドエルザ)

 母レッドエルザは現役時代にJRAで走り2着が最高着順。しかし、血統的価値はきわめて高い。その全兄English Channelは、ブリーダーズCターフ(米G1)など6つのG1を制し、米芝牡馬チャンピオンに輝いた名馬。ガルフストリームパークの芝9ハロンで1分44秒51というレコードを樹立している。2代母Belvaの全兄には米重賞を6勝したHap、同全姉にはサンタアナH(米G1)を勝ったPharmaがいる。「ディープインパクト×Smart Strike」はレッドオーヴァル(13年桜花賞-GI・2着、14年スプリンターズS-GI・3着)が出た実績ある組み合わせ。母方にMr.ProspectorとNureyevを併せ持つディープインパクト産駒は成功パターンで、ヴィルシーナとヴィブロスの姉妹、ディープブリランテ、デニムアンドルビー、ミッキークイーン、ショウナンアデラなど活躍馬が多数出ている。母にとってこの馬が初子で、まだ繁殖牝馬としての実績はないが、血統通りならおもしろい。芝中距離でいい仕事をしそうだ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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