◆高い総合スピード能力が問われる東京2400mになる
良馬馬が望める。好カードになった。
最大のポイントは、昨年は「1分14秒2-1分11秒6」=2分25秒8(上がり34秒7-12秒1)で後続を完封したキタサンブラック(父ブラックタイド)が、今年はどんなレースを展開させるかだろう。昨年より一段とパワーアップし、まず簡単に失速などありえない。だが、まったく他は関係なしに単騎マイペースとなった昨年と異なり、ここ一番のビッグレースだと先行するCルメールのレイデオロ(父キングカメハメハ)も、この枠なら行く可能性が高い。ルメールがマークしてプレッシャーをかけるべき相手を間違えるとは考えにくい。
人気のキタサンブラックとレイデオロが先行態勢に入ると、まさか昨年のような超スローはない。さらには、後続のライバルには格好の目標ができるわけで、その後続は、昨年のようにただ無策でキタサンブラックの楽なマイペースを見ていただけのグループではない。前のキタサンブラック、レイデオロを追い詰め、交わそうとしない限り勝機はない。
ペースそのものはきつくなくとも、自分のリズムで息を入れにくい、見た目や、ラップの数字以上に厳しい流れはありえる。
レイデオロは神戸新聞杯2400mを自分から早めに動いて出て2分24秒6(上がり34秒1)。上昇一途の秋シーズンなので、さらにパワーアップがある。
キタサンブラックの不思議は、不良の天皇賞(秋)で一段と総合力を身につけたことを示し、完成の域に達したが、2400mはここまで3戦、14着の日本ダービーも、昨秋に快勝した京都大賞典も、ジャパンCも、絵に描いたように「2分25秒5〜25秒8」。ペースも、コースも異なるのに、3戦ともにみんな同じ時計である。有力馬の中では2400mの持ちタイムは著しく遅い。
距離2000mも、不良の天皇賞(秋)と、3歳の2戦目を別にすると、皐月賞も、2度の大阪杯も「1分58秒8〜59秒3」。ほとんど同タイムである。特殊な馬場で、離れた5着アルバートまでがディープインパクトの3200mの日本レコード更新となった天皇賞(春)を別扱いにすると、なぜか主要距離は決まった時計になる。有馬記念は2戦して「2分32秒6と、2分33秒1」。別に速い時計など一度もなくとも、G1をすでに6つも勝ち、約15億円も獲得して歴史的な名馬の1頭になって、衆目の一致の力量馬となった。
まさか今回のキタサンブラックが「2分25秒5〜8」でジャパンCを勝ったりしたら、それはさすがにものスゴイことであり、ペースうんぬんではなく、武豊騎手のほかの馬に楽をさせないレース運びや、全能力を発揮させない素晴らしいレース感覚が、キタサンブラックの大きな味方になっているというしかない。
しかし、今年は単調な先行馬向きの流れではなく、追っての鋭さや、より高い総合スピード能力が問われる東京2400mになるとみて、精神面でも今回は立ち直ったマカヒキ(父ディープインパクト)から、レイデオロ、そして最大の穴馬シャケトラを相手本線に、その次にキタサンブラックの順にしたい。デキの良さが光るソウルスターリングは軽視できない。