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祝日と12月28日に見る中央競馬・地方競馬の関係

  • 2017年11月27日(月) 18時01分
教えてノモケン

▲大井競馬で開催された今年のJBCの様子(撮影:高橋正和)


 大井競馬場で11月3日(金曜)、第17回JBCが行われた。近年、同日に固定されているJBCだが、今年は難しい事情があった。3月の当コラムでも触れたが、今や地方競馬の命綱にも等しいJRAのネット投票(IPAT)が、金曜は原則として稼働停止となるのだ。過去、06年にも11月3日が金曜に重なったが、当時はIPAT地方発売の開始前。2012年の発売開始以降、11月3日が金曜と重なったのは今回が初めてだ。

 通常の金曜は、週末の開催に備えてIPATの加入者の多くの口座がロック(凍結)されるため、ここに置くとIPAT発売抜きのJBCとなる。そこでJRAは、年4日の祝日開催の1日に11月3日を充て、JBCに合わせた。似た例としては、11月3日が月曜だった03年の大井JBC当日、福島を開催し、一部の現金発売所を開放した例がある。当時は福島が記録的な売り上げだった半面、大井の業績はさえず、「ネット発売付き」の今回が注目された。

 結果は、1日売り上げが昨年を約4.8%下回る46億4068万5830円。一方で、「クラシック」は18億1236万8300円で前年を約12%上回り、「スプリント」も10億7904万900円で前年比6.3%増といずれもレコード。1日売り上げが落ちたのは、早い時間帯のレース(1レースは午後0時)が、中央との競合で伸び悩んだためだ。昨年は第3レースで1億円を超えていたが、今回は6000万円前後が続き、中央のファンタジーS(京都・GIII)の10分後に行われた「レディスクラシック」も、7億6386万5300円で前年比10.3%の大幅減。昨年12月の香港国際競走でも、中央と時間帯の重なった「ヴァーズ」「スプリント」は、売り上げが低調だった。

 現状を考えれば、IPAT発売抜きのJBC開催は考えられない。現在の中央と地方は、10年前なら考えられないほどの協力関係が定着したが、「競合」が避けられない場面もある。競合によるダメージを最小化することが双方にとっての課題であり、今回は悪くない結果と言えそうだ。

すみ分けから協力へ


 今回のJBCと中央の併催は、「協力」の象徴だったが、かつての祝日は中央と地方の「すみ分け」の焦点だった。07年まで、中央の祝日開催は年間2日に限られていたのだ。中央が集客に有利な週末に開催される中で、祝日と盆休み、年末年始などは地方の収益確保の場と規定され、農水省と旧自治省は91年の競馬法改正に際して、12月28日から1月4日を「中央が開催しない日」とし、祝日も年2日に限定する局長通達を出したのである。ところが、98年から始まった中央の売り上げ低下局面で状況は一変した。JRAは今世紀に入ると、売り上げ回復策として年末年始と祝日への「進入」を試みるようになった。

 まず、焦点化したのは有馬記念の28日開催で、03年に実現。冒頭で紹介した03年JBC当日の福島併催は、年末年始の地方の稼ぎ時に“進入”したことへの補償措置だった。その後、規制緩和の観点から06年11月の農水省生産局長通達で、「地方側と十分な調整が図られた場合」、祝日使用は4日以内まで可能となった。ただ、実際に4日に拡大したのは12年。ここに至るには、2つの重要な契機があった。

 1つは10年に発表された相互発売の大幅拡大。IPATの地方発売とともに、地方側も競馬場や場外でJRAの馬券発売に動き出した。もう一つが、11年3月の東日本大震災後の復興支援である。大きな被害を受けた岩手競馬を支援するため、JRAは巨額の義援金拠出に加え、看板レースの南部杯を東京で開催する異例の措置を執った。発売協力に岩手への支援も重なり、祝日使用拡大に対する地方側の抵抗感も影を潜めていった。

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1964年1月19日、東京都出身。87年4月、毎日新聞に入社。長野支局を経て、91年から東京本社運動部に移り、競馬のほか一般スポーツ、プロ野球、サッカーなどを担当。96年から日本経済新聞東京本社運動部に移り、関東の競馬担当記者として現在に至る。ラジオNIKKEIの中央競馬実況中継(土曜日)解説。著書に「競馬よ」(日本経済新聞出版)。

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