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ロンドンブリッジ産駒の新たな重賞勝ち馬となるかロンドンシーズン

  • 2017年11月29日(水) 12時00分
●キングアンドアイ(牡 栗東・西村真幸 父キングカメハメハ、母ダンスファンタジア)

 母ダンスファンタジアはフェアリーS(GIII)の勝ち馬で、2代母ダンスインザムードは桜花賞(GI)、ヴィクトリアマイル(GI)を勝ったほか、天皇賞・秋(GI)、マイルCS(GI)、アメリカンオークス(G1)で2着となった名牝。その全きょうだいにはダンスパートナー(95年オークス-GI、96年エリザベス女王杯-GI)、ダンスインザダーク(96年菊花賞-GI)がいる日本屈指の名牝系に属している。本馬は母の初子で、父はキングカメハメハ。「キンカメ×ファルブラヴ」はサンプルが少ないものの、JRAで出走した4頭中3頭が勝ち上がっている。Nureyev≒Fairy King 4×3はパワフルだが、スピードを支える重石となればおもしろく、この牝系がナチュラルに伝えるスピードをもってすればそれも可能だろう。芝・ダート兼用のマイラー。

●グレースジョワ(牝 美浦・石毛善彦 父カネヒキリ、母クールグレース)

 母クールグレースは現役時代未勝利に終わったものの、クーリンガー(05年マーチS-GIIIなど重賞6勝)、クールネージュ(99年葵S-OP)の全妹にあたる良血。2代母クールアライヴァルはラスヴァージネスS(米G1・ダ8f)、ランチョバーナードH(米GIII・ダ6.5f)の勝ち馬で、高いダート適性を伝えている。クールグレースはこれまで7頭の子をデビューさせ、勝ち上がったのは2頭だが、カネヒキリとの間に誕生した本馬は、代表産駒ロンドンタウンと同じく母方にRelaunchを持ち、オーソドックスな父の成功パターンであるMr.Prospectorのクロスを持っているので配合的に評価できる。ダート向きのマイラーだろう。

●セルゲイ(牡 美浦・戸田博文 父ディープインパクト、母マイジェン)

 母マイジェンは北米で9戦4勝、ギャラントブルームS(米G2・ダ6.5f)を勝った。その半弟にフィニークスS(愛G1・芝6f)、コモンウェルスC(英G1・芝6f)を勝ったCaravaggioがいる。この2頭の母Mekko HokteはHoly Bull≒Relaunch 1×2。この異様な配合が活力を生み出すことに成功しているのではないかと思われる。ただ単に、強度の相似な血のクロスを持っているだけでなく、現代血統のひとつの軸であるIn Realityが核となっているのが強みだ。本馬の父はディープインパクト。決して父の成功パターンに当てはまっているわけではないが、母方の活力は注目に値する。芝・ダート兼用のマイラーだろう。

●モズダディー(牡 栗東・藤岡健一 父Scat Daddy、母Batalha)

 母Batalhaはアメリカで走り5戦1勝。2歳時に芝8ハロンのステークスで2着となっている。このときの勝ち馬Lady of Shamrockはのちにアメリカンオークス(G1・芝10f)やデルマーオークス(G1・芝9f)を勝つ大物なので価値がある。これにScat Daddyを交配して誕生したのが本馬。父はクールモアスタッドのアメリカ支場であるアシュフォードスタッドに繋養され、初年度から素晴らしい実績を残したものの、2015年12月に11歳で急逝した。芝・ダートを問わないスピードの持ち主で、本馬の場合、Mr.Prospector 3×3としてさらにスピードを強化している。それでいて2代母には重厚なスタミナが詰め込まれているので、マイル前後で活躍する芝馬となりそうだ。いかにも仕上がりが早そうな血統なので新馬戦から狙える。

●ロンドンシーズン(牝 栗東・安田隆行 父ロードカナロア、母ロンドンブリッジ)

 下河辺牧場が誇るオールフォーロンドンの牝系に属している。母ロンドンブリッジはファンタジーS(GIII)を勝ち、桜花賞(GI)でも2着に逃げ粘った快速馬。繁殖成績は優秀で、これまでにダイワエルシエーロ(父サンデーサイレンス/04年オークス-GIなど重賞4勝)、ビッグプラネット(父ブライアンズタイム/05年アーリントンC-GIII、06年京都金杯-GIII)、ダイワディライト(父アフリート/09年カペラS-GIII・2着)、グレーターロンドン(父ディープインパクト/17年毎日王冠-GII・3着)などの活躍馬を送り出し、孫の代からも菊花賞馬キセキを出している。本馬の父ロードカナロアはキセキの父ルーラーシップと同じくキングカメハメハの子。父母ともにスピードが武器なのでサンデーサイレンスが入らない配合でも不安はなく、母が20歳時の産駒という以外に懸念材料はない。芝向きのスプリンター〜マイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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