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アロゲートやタピットなど、北米でも来季の種付け料が発表

  • 2017年11月29日(水) 12時00分


◆新種牡馬たちによる出世争いも楽しみの一つ

 先週お届けした欧州編に引き続き、今週は北米供用種牡馬について、2018年の種付け料を巡る動きを御紹介したい。

 ゲインズウェイファームで繋養されているタピット(父プルピット)が、来年も今年と同じ30万ドル(約3375万円)で供用されることが発表され、北米で種付け料が最も高い種牡馬の地位を維持することになった。

 11月24日現在、全米リーディングサイヤーランキングで5位に甘んじているタピット。アロゲート1頭が1333万ドルも稼いだアンブライドルズソングや、ガンランナーが700万ドル近く稼いだキャンディライドらに大きく水をあけられており、2014年から3年連続で守って来たリーディングの座から陥落するのは確実な情勢となっている、しかし、G1ベルモントS勝ち馬タップリット、G1デルマーオークス勝ち馬ドリームダンシング、G1ゴールドC@サンタアニタ勝ち馬キューピッドなど、今年もコンスタントに活躍馬を出し、十二分にトップサイヤーとしての役目を果たしている。

 その存在感が際立っていたのが1歳馬市場で、例えばキーンランド・セプテンバーセールにおけるトップロット3頭は全てタピット産駒だったし、今年北米のイヤリングマーケットで購買された24頭のタピット産駒の平均価格は、79万1458ドル(約8904万円)に達している。

 同じゲインズウェイ繋養馬ではエンパイアメーカー(父アンブライドルド)も、前年同様の8万5千ドル(約956万円)での供用が決まっている。

 クレイボーンファームで繋養されているウォーフロントの2018年の種付け料も、2017年と変わらぬ25万ドル(約2813万円)と発表され、種付け料第2位の座を守ることになった。ウォーフロントは2017年も、北米でG1フラワーボウルS(芝10F)勝ち馬ウォーフラッグ、前年に続いてG1ロデオドライヴS(芝10F)を連覇したアヴェンジ、G1メイカーズ46マイル(芝8F)を制したアメリカンペイトリオットらを。欧州で、G1デューハーストSなど2つのG1を制しカルティエ賞最優秀2歳牡馬に選出されたユーエスネイヴィーフラッグ、G1サンチャリオットS(芝8F)など3つのG1を制したローリーポーリーらを輩出。相変わらず欧米両大陸で大物を出し続けている。

 アシュフォードスタンドで繋養されている2015年の3冠馬アメリカンフェイロー(父パイオニアオヴザナイル)は、昨年に続いて2018年も発表は Private だが、種牡馬入り初年度の20万ドル(約2250万円)を維持していると見られている。今年生まれた初年度産駒の1頭が、ファシグテイプトン・ノヴェンバーセールにて100万ドルで購買されるなど、マーケットにおける産駒の評判も上々だ。

 アシュフォード繋養馬では、2016年に3歳を迎えた初年度産駒から、いきなりG1ケンタッキーダービー馬ナイクィストが出現したアンクルモー(父インディアンチャーリー)が、2017年の15万ドルから2018年は12万5千ドル(約1406万円)に値下げされることになった。

 また、アシュフォードで2018年に種牡馬入りする、2016年の全米2歳牡馬チャンピオンのクラシックエンパイア(父パイオニアオヴザナイル)は、3万5千ドル(約394万円)の種付け料が設定されている。

 ダーレーの北米における拠点であるジョナベルファームで繋養されているメダグリアドロー(父エルブラド)が、15万ドルだった2017年から2018年は20万ドル(約2250万円)に値上がりすることになった。来春には19歳を迎えるメダグリアドローだが、これまでで最高のシーズンとなったのが2017年で、女王ソングバードがG1デラウェアHなど今季も2つのG1を制した他、G1BCターフを制したタリスマニーク、G1BCフィリー&メアスプリントを制したバーオヴゴールドなど、実に7頭の産駒がG1制覇を果している。

 2018年は繋養牧場が変わるのが、2013年の全米リーディングサイヤー・キトゥンズジョイ(父エルプラド)だ。ダートが主体の北米で、ほとんどの産駒が父同様に芝を主戦場としながら、リーディングを獲得するという離れ業を演じたキトゥンズジョイ。2014年以降もトップ5から落ちることなく、2017年も11月24日現在で3位につけるという、極めて安定した成績を残している。

 同馬を現役時代から所有し、種牡馬としても自身のラムジー・ファームで繋養してきたケン・ラムジー氏は、2017年の種付けシーズンが終わった後、キトゥンズジョイを芝が主戦場のヨーロッパへ移籍させることを画策したが、最終的には、ケンタッキーでヒルンデール・ファームを営むジョン・シクラ氏が同馬の権利の50%を取得。2018年はヒルンデールで繋養されることになった。その上で、より多くの牝馬を集めるべく、種付け料は2017年の10万ドルから、2018年は6万ドルに値下げされることになった。

 ヒルンデール繋養馬では、今季も、産駒のグッドマジックがG1BCジュヴェナイルを、同じく産駒のステラーウィンドがG1ビホールダーマイルなど3つのG1を制したカーリン(父スマートストライク)が、前年同様の15万ドルで供用されることが発表されている。

 注目の新種牡馬では、レキシントンのジャドモントファームで種牡馬入りするアロゲート(父アンブライドルズソング)の種付け料が、7万5千ドル(約844万円)と発表された。

 2016年夏から2017年春にかけて、異次元の強さを発揮したのがアロゲートだ。サラトガのG1トラヴァーズSが、サラトガの10Fで史上初めて2分の壁を破る1分59秒36のトラックレコードを樹立し、後続に13.1/2馬身差をつける圧勝。続くG1BCクラシックでカリフォルニアクロームら歴戦の古馬を完封し、レイティング134を得て世界ランキングの首位へ。

 年明けのG1ペガサスワールドCも勝つと、続くG1ドバイワールドCでも出遅れながら大捲くりを決めて快勝。ここで再びレイティング134を得て、今季も世界ランキング首位の座に立っている。その後は、いわゆる燃え尽き症候群に見舞われたか3連敗を喫したが、絶頂期に与えた印象は依然として強烈で、例えば、来春に繁殖入りする女王ソングバードの初年度の交配相手は、既にアロゲートと発表されている。

 今年6月以降の北米で、楽勝続きのG1・4連勝を達成したガンランナー(父キャンデイライド)も、1月27日のG1ペガサスワールドCを走った後、来春からスリーチムニーズファームにて種牡馬入りすることが決まっている。同馬の種付け料は、アロゲートよりわずかに安い7万ドル(約788万円)と発表された。

 新種牡馬たちによる出世争いも、競馬を見る上での楽しみの1つである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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