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今後のオルフェーヴル産駒にとって重要な阪神JF(村本浩平)

  • 2017年12月06日(水) 12時00分


◆オルフェーヴルの種付け料が下がったのは何故?

 今週(阪神ジュベナイルF)、そして来週(朝日杯フューチュリティS)と、2週続けて2歳のGIレースが行われる。

 阪神ジュベナイルFで注目を集めているのは、ラッキーライラック(アルテミスS)、ロックディスタウン(札幌2歳S)と共に重賞を制した2頭のオルフェーヴル産駒。そこにファンタジーSを制したキンシャサノキセキ産駒となるベルーガ、また2戦2勝でこの舞台に臨んできた桜花賞馬アユサンの全妹となる、ディープインパクト産駒のマウレアも要注目の1頭と言えよう。

 また、抽選対象馬の中にもブエナビスタの2番仔となるキングカメハメハ産駒のソシアルクラブや、ディープインパクト産駒の良血馬もおり、抽選の結果次第ではあるが台風の目となる可能性を秘めている。

 その矢先といっては何だが、先ほど名前をあげた有力馬たちの父(種牡馬)を繋養する、安平・社台スタリオンステーションの2018年シーズンの種付け料が発表された。

 驚愕と言えるのはディープインパクトの4000万円という種付け料だろう。勿論、この評価はディープインパクトにとってキャリアハイの種付け料であるだけでなく、昨年、自身が更新した種付け料(3000万円)を上回り、日本で繋養された種牡馬では史上最高額の評価ともなった。

 キングカメハメハも昨年の1000万円から1200万円にアップ。今年の2歳ファーストシーズンサイアーの首位をひた走るロードカナロアが500万円から800万円と評価を上げた一方で、オルフェーヴルは前年までの600万からやや評価を下げ、500万円の設定となった。

 初年度産駒から重賞級の大物を輩出しているオルフェーヴルが何故? とお思いになった方もおられるかもしれないが、これには様々な要因があっての評価とも言えそうだ。

 一つはオルフェーヴル自身の産駒成績である。12月3日終了時点でファーストシーズンサイアーの3位にランクされているオルフェーヴルであるが、中央における勝ち馬の頭数は6頭、そして勝ち鞍の数は8勝と、この位置にしては物足りなさもある。ちなみに4位のエイシンフラッシュ(12頭の産駒で13勝)、5位のノヴェリスト(9頭の産駒で9勝)、6位のハードスパン(10頭の産駒で11勝)よりも勝ち馬、勝ち鞍の数は少ない。

 オルフェーヴルの父であるステイゴールド自身、サンデーサイレンス系種牡馬の中ではアベレージヒッターというより、ホームラン級の大物を送り出す種牡馬と言えたが、その特性をオルフェーヴルも受け継いだとの見方もできる。

 もう一つはオルフェーヴルがサンデーサイレンス系種牡馬であるということだろう。今やサンデーサイレンス系種牡馬はディープインパクト系、そしてオルフェーヴルの父でもあるステイゴールド系と、孫の代となってもその枝葉を広げつつある中、必然的にサンデーサイレンスの血を持つ繁殖牝馬も増えている。

 クロスを受け入れてサンデーサイレンス系種牡馬を配合する生産者もいるだろうが、血統を残していくことを考えた場合、近いクロスを作りたくないという生産者の方が圧倒的に多い。サンデーサイレンスを全く持たない繁殖牝馬となると、今や海外に目を向けなくてはならず、こうして導入してきた優れたブラックタイプや競走成績を持つ繁殖牝馬はディープインパクトに代表される、より評価の高いサンデーサイレンス系種牡馬に配合される傾向にある。

 こうした流れの中で大物の魅力はあるとは言えども、アベレージという意味では他のサンデーサイレンス系種牡馬より劣って見えるオルフェーヴルに、高額な種付け料を設定するよりも、付けやすい条件とすることで、より裾野を広げた繁殖牝馬を集めたいという狙いもあるのだろう。

 とは言えども、これが功を奏するのかもしれない。何せステイゴールド自身が黄金配合と言われたように、これまでブルードメアサイアーでは決して目立った存在では無かったメジロマックイーンとの相性の良さが証明されたり、その他にも配合された繁殖牝馬の血統、競走実績を問わずに活躍馬を送り出してきたからだ。しかも、現在育成中の2年目世代だけでなく、今後、次々と産駒がデビューを重ねていく中で配合や育成方針など、よりオルフェーヴルにあった方法論が導き出されていくに違いない。

 しかも今週の阪神ジュベナイルFでラッキーライラックとロックディスタウンの2頭が優秀な成績を残した暁には、種付け料が下がったことは生産者にとって朗報ともなる。しかも、一般的には売りにくいとされる牝馬が活躍しているので、牡馬は勿論のこと、牝馬が産まれても安心して配合できるという流れにも繋がっていく。

 今後の生産界を占う意味でも重要なレースとなった阪神ジュベナイルF。勿論、POGファンにとっても、来年のオルフェーヴル産駒の指名を含めた戦略にとって、要注目のレースとなりそうだ。

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