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ドナウブルー、ジェンティルドンナの全妹ヴィルトゥース

  • 2018年01月10日(水) 12時00分
●アルチスタ(牝 美浦・畠山吉宏 父エイシンフラッシュ、母アカンサス)
 母アカンサスは重賞こそ勝てなかったものの、福島牝馬S(GIII)3着、秋華賞(GI)4着などの成績を残した芝中距離タイプ。これが初子となる。父エイシンフラッシュは現役時代に日本ダービー(GI)、天皇賞・秋(GI)などを勝った名馬で、昨年のファーストシーズンサイアーランキングではロードカナロア、ヘニーヒューズ、オルフェーヴルに次ぐ第4位。重厚なドイツ血統で構成されているため芝1800m以上で本領を発揮し、おそらく古馬になってからが勝負だと思われる。母アカンサスはサンデーサイレンスとUnbridled's Songという、近年の活躍馬によく見られる組み合わせを持っているので繁殖牝馬として期待できる。さらにいえばミルレーサー≒Gana Facil 2×4という組み合わせのクロスも持つので血統構成もおもしろい。芝中距離向きの好配合馬だ。

●ヴィルトゥース(牝 栗東・石坂正 父ディープインパクト、母ドナブリーニ)
 ドナウブルー(12年京都牝馬S-GIII、12年関屋記念-GIII)、ジェンティルドンナ(12、13年ジャパンC-GI、14年ドバイシーマクラシック-G1、牝馬三冠)の全妹。母はDanzigを経たNorthern Dancer 3×4という好パターン。Alydar、My Bupersを併せ持つのでミッキーアイルに似ており、「Danzig×Alydar」の母の父Bertoliniはサトノダイヤモンドが持つLureと同じ組み合わせ。配合的には申し分ない。上記の姉妹以降、トパーズ(父ネオユニヴァース)とグレンシーラ(父ゼンノロブロイ)は中央不出走、レゲンデ(父ディープインパクト)は1勝、ベルダム(父ディープインパクト)は未勝利と、ドナブリーニの子は期待ほどの成績は挙げていないが、馬のデキさえ良ければGIを狙える配合だけに期待したい。

●エコモマイ(牝 栗東・中内田充正 父キングカメハメハ、母リトルダーリン)
 2代母エリモエクセルはオークス(GI)、中京記念(GIII)など4つの重賞を制した名牝。繁殖牝馬としては10頭の産駒をJRAでデビューさせ、ユニバーサル(父ブライアンズタイム)が3勝、ダノンエクスプレス(父アグネスタキオン)が4勝、本馬の母であるリトルダーリン(父ディープインパクト)が3勝を挙げた。ただ、重賞クラスの大物は出ていない。本馬は母の初子。「キングカメハメハ×ディープインパクト」の組み合わせは、現時点で8頭中3頭が勝ち上がり、ヴァナヘイム(16年京都2歳S-GIII・2着)、リシュブールなどの素質馬が出ている。2代母エリモエクセルの父はEl Gran Senorの息子ロドリゴデトリアーノなので、本馬はトライマイベスト=El Gran Senor 4×4。エリモエクセルの牝系から新たな活力を引き出す可能性を秘めた配合だ。芝向きの中距離タイプ。

●グッドトゥヒアー(牝 美浦・畠山吉宏 父スズカマンボ、母メイショウアヤメ)
 父スズカマンボは現役時代に天皇賞・春(GI)を制覇したサンデーサイレンス系種牡馬。ややスピードが足りずスタミナに特長があるため、基本的にはダートの中長距離に適性がある。しかし、3年目の産駒メイショウマンボは平均的な産駒とは異なり、オークス(GI)、秋華賞(GI)、エリザベス女王杯(GI)を制覇、最優秀3歳牝馬に選出された。同馬は2代母の父がジェイドロバリーで、スプリングマンボ≒ジェイドロバリー2×3が配合的な核心だった。本馬の母メイショウアヤメはメイショウマンボの2代母。つまり、メイショウマンボとは4分の3同血の関係になる。メイショウマンボは母の父にグラスワンダーを挟むが、本馬にはそれがない。したがってスプリングマンボ≒ジェイドロバリー2×2とクロスがきつくなる。そのあたりがどう出るか興味深い。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

●サンマルジョイ(牝 栗東・大根田裕之 父ハービンジャー、母シルバージョイ)
 菊花賞(GI)と京都大賞典(GII)を勝ち、ジャパンC(GI)でもウオッカのハナ差2着と健闘したオウケンブルースリの半妹にあたる。母の父Silver Deputyはディバインシルバー(ダート重賞4勝)、アタゴタイショウ(02年函館2歳S-GIII)、ビコーミニスター(99年東京盃-GII・2着)などの父で、ダート王カネヒキリの母ライフアウトゼアの全兄でもある。父ハービンジャーは母方にDeputy Ministerを抱えた配合が成功しており、連対率20.1%、1走あたりの賞金額157万円という数字。これはハービンジャー産駒全体の15.7%、148万円を上回る。母シルバージョイが22歳時の産駒だが期待してみたい。芝向きの中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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