スマートフォン版へ

シンザン記念とキタサンブラック引退式

  • 2018年01月10日(水) 18時00分
生産地便り

シンザン記念表彰式



シンザン記念に華を添えることができたミスシンザン



 1月6日より9日にかけて、関西に出張してきた。恒例のシンザン記念表彰式に参加するミスシンザンを伴っての旅である。今年の京都競馬場は、開幕日が6日と変則的な日程になったが、3日間開催の最終日にシンザン記念が組まれ、加えて6日にはコパノリッキー、7日にはキタサンブラックと、当代きっての人気馬が2日続けて引退式を行う豪華版であった。

 日程の関係で6日は競馬場入りを果たせなかったが、7日は朝から引退式まで終日競馬場で過ごした。この日は、最終レースが終わってもキタサンブラックを一目見ようという人々が数多く競馬場にとどまっていた。約18000人がスタンドをぎっしりと埋め尽くし、午後4時半過ぎにキタサンブラックがスタンド西側の馬道からコースに姿を現すと、一斉に歓声が湧き起った。武豊騎手を背にスタンド前を4コーナー方向に歩いて行き、くるりと向きを変えて来た道を再びキャンターで走り抜けると、場内のボルテージは最高潮に達した。

生産地便り

キタサンブラック引退式の様子

 その後、スタンド正面に設けられた特設ステージに清水久詞調教師やオーナーの北島三郎さん、武豊騎手、生産者のヤナガワ牧場・梁川正普代表などキタサンブラックの関係者が並んで、引退セレモニーが行われた。残念ながら私が現地にいたのはこのあたりまでだが、北島三郎さんが「生歌」を披露されたことを翌日の新聞で知り、何とも惜しいことをしたと残念でならなかった。

 ヤナガワ牧場・梁川正普代表は、いうまでもなくコパノリッキーの生産者でもある。これで二日続けて生産馬の引退式に立ち会ったことになるわけで、これほど名誉なことはそうあるまい。しかも、両馬ともに、ラストランを勝利で飾り、晴れて種牡馬として今春から第二の生活が始まる。来月には種牡馬展示会でお披露目されることになるが、まずは両馬の種牡馬としての健闘をお祈りしておきたい。

生産地便り

キタサンブラック関係者のみなさん

生産地便り

スタンドに残る多くのファン

 さて、シンザン記念。昨年は豪雨の中のレースとなり、撮影にも難渋するほどであったが、運悪く、今年もまた8日当日は朝から雨模様であった。西から低気圧が接近しており、京都競馬場の上空もどんよりと曇っていた。雨が降ったり止んだりの繰り返しで、つかの間、止んだかと思うとまた思い出したように降ってくるあいにくのコンディションであった。

 午後になると、風もやや出てきて、馬場状態が少しずつ悪くなってきた。依然として雨が降り続く中、午後3時45分にスタートが切られた。カシアス(浜中騎手)とツヅミモン(秋山騎手)が先行し、各馬が追いかける展開でレースが進む。カフジバンガード(藤岡康騎手)とアーモンドアイ(戸崎騎手)は後方に待機した。

 各馬が一段となって4コーナーを回る。内埒沿いを進むカシアスとツヅミモンのマッチレースになるかと思われた矢先、外側から戸崎圭太騎手のアーモンドアイが一気に両馬に迫ってくる。そして、ゴールのわずか手前で交わし、1馬身4分の3差をつけて先頭でゴール板を駆け抜けた。

 アーモンドアイは父ロードカナロア、母フサイチパンドラ、母の父サンデーサイレンスの牝3歳馬。フサイチパンドラは周知の通り、エリザベス女王杯や札幌記念などを制した名牝である。美浦・国枝栄厩舎の管理馬で、馬主は(有)シルクレーシング。生産はノーザンファーム。戸崎圭太騎手とシルクレーシングのコンビは、開幕以来、史上初の重賞3連覇となり、ともにこれ以上ない絶好の好スタートの年となった。

生産地便り

シンザン記念はアーモンドアイが差し切り勝ち

 ミスシンザンの最後のお仕事は、レース後の表彰式でプレゼンターを務めることである。昨年夏に選出された山本千夏(ちか)さんと浜田侑佳さんは、前日から競馬場入りし、ラジオ出演、また日刊スポーツ社(シンザン記念の社杯を提供している)の取材を受け、当日は開門と同時に、浦河町のゆるキャラ「うららん」「かわたん」とともに来場者を迎えるなどのハードスケジュールをこなして、表彰式本番に臨んだ。

生産地便り

ミスシンザンとうららんかわたん

生産地便り

ミスシンザンの浜田侑佳さん(写真左)と山本千夏さん(写真右)

 雨はいくぶん小降りになったものの、表彰式になっても止むことがなかった。しかし、2人は緊張の面持ちながら無事に大役を務め、シンザン記念に華を添えることができた。

生産地便り

表彰式でカップを手渡す山本千夏さん

 かつてはシンザン記念でのお役目が終わったと同時に競馬場を後にして空港まで直行し、夜の便で北海道に戻るという強行日程であったが、今は前後に予備日を設けており、日程はずいぶん余裕ができた。シンザン記念の翌日、最終日の午前中は、このところミスシンザンに「舞妓体験」をしてもらうのが定番になっている。毎年、観光客の被写体になってしまうのが悩みどころだが、今年は三連休明けの9日(火)で、清水界隈もさすがに人出が少なく、割に閑散としていたので助かった。

生産地便り

ミスシンザンの舞妓姿

 昨日の浦河帰着は午後10時半。何とか無事に帰ることができホッとしている。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング