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好調教馬と覇気に乏しい馬の比較がしやすかった今週の追い切り評価は?

  • 2018年01月17日(水) 18時00分


あまり高い評価はできないダンビュライト


 先週末は雪も降った栗東ですが、今朝17日の調教開始前は雨。気温が低くない分、苦労させられたのは霧。調教が見えないほど濃いわけではありませんが、トラック馬場の向正面はどこの厩舎の馬か判別しにくいくらいの視界。つまり坂路馬場付近の霧が濃いという感じです。

 かなり見えにくい状況でしたが、そんな中でも素晴らしい動きを見せた馬はちらほら。冬場、しかも冷たい雨が降る中ですから、好調でなければこんな動きはできないでしょう、といった感じ。逆に重めが残っていたり、覇気に乏しい馬はゴールまででもがくような走りを見せていますから、その比較がしやすい一日だったと解釈しています。

【AJCC/ダンビュライト】

 坂路馬場でのキャンターの様子を撮影したのは1月16日。逞しい馬体を見ていると、いかにも4歳馬の充実といったオーラが出ています。菊花賞の疲れはなく、むしろ今年はもっと飛躍するといった雰囲気すら出ています。主観的には魅力たっぷりですが、客観的には気になるところも。

 まずは1週前追い切り。4F53.8秒はM.デムーロ騎手が跨っての数字ですが、これが音無秀孝調教師が意図した時計より遅いもの。音無厩舎の中3週は4本追い切りが普通ですが、いつもより1本少ない上、時計が遅いとなれば気になります。ただ、先週のミッキーロケットのように傷腫れといったアクシデント系ではないだけに、遅くなったことがむしろプラスというケースもあるかも知れません。最終追い切りが4F51.3秒と速かったとはいえ、ラスト1F13.0秒は少し失速しすぎの印象もあります。これらを総合すると、あまり高い評価というわけにはいきません。

ダンビュライト(1月17日撮影) style=

ラスト1F13.0秒は少し失速しすぎに感じたダンビュライト(1月17日撮影)


【AJCC/トーセンビクトリー】

 有馬記念の最終追い切りは坂路で追い切り本数も普通。好走がイメージできる調教内容ではありませんでしたが、田辺裕信騎手の積極的な騎乗もあり、4コーナーまでは見せ場十分のレース内容。さすがに最後は失速しましたが、やはり中山競馬場への適性は十分といった走りでした。

 そこから中3週。最終追い切りはCWでスマートモノリスに先着したものの、シャドウダンサーには見劣る動き。この内容自体はあまり評価できませんが、3歳時のCWでは併せ馬に遅れることは多々あったので、この馬自身のパターンとしては気にする必要はありません。それよりも今回は追い切り本数が多く、最終追い切り場所が坂路からトラックに変化した点は高く評価できます。

トーセンビクトリー(1月17日撮影) style=

坂路からトラックに最終追い切り場所を変化した点は高く評価できるトーセンビクトリー(1月17日撮影)


【東海S/テイエムジンソク】

 前走チャンピオンズCは初めてのG1ながら、1番人気に支持されて、あわやの2着。その後はリフレッシュ放牧でひと息入れて、年末に栗東へ帰厩。そこからここへ向けて順調に追い切りを重ねています。

 写真は1月16日に坂路で撮影したものですが、その時点で安定した走り、落ち着きのある雰囲気が目立っています。前走後にひと息入れたことが、ここまで高いレベルでの状態維持に繋がっているようにすら思えます。最終追い切りは力みなく、終い重点でしっかりした動き。さすがにここは勝たなければいけない戦いとなりそうです。

テイエムジンソク(1月16日撮影) style=

力みなく、終い重点でしっかりした動きだったテイエムジンソク(1月16日撮影)


【東海S/ドラゴンバローズ】

 前走は休み明けながら追い切り本数が少ない状態。凡走を予想していましたが、やっぱり、そんなレース結果でした。今回はひと叩きして、得意の左回り。やはり注目を集めて当然だと思います。

 しかし最終追い切りの動きだけを見ると、まだ良化の余地を残している印象。もともと追い切りで動くタイプではありませんが、坂路での4F目ラップが13秒台で失速。3走前1着時、2走前2着時はともに4F目が最速ラップで、前走が失速ラップでした。追い切り本数が増えた分、前走以上であることは間違いありませんが、好走時と比較するとまだ物足りない印象です。

ドラゴンバローズ(1月16日撮影) style=

好走時と比較するとまだ物足りない印象のドラゴンバローズ(ゼッケン:1523、1月16日撮影)


【東海S/アスカノロマン】

 ここ2走は二桁着順の2016年同レースの覇者。もともと大きな着順になりやすい馬ですが、ここのところは調教パターンを変化させて、復活を試みている段階。しかし、個人的には坂路での追い切りよりもトラック、CWでの追い切りがベストだと考えています。

 今回はCW中心の追い切り。中間は時計の遅い内容になっていますが、それが功を奏したのか、最終追い切りは久しぶりに力強さがあって、安定感も感じるフットワーク。昨年の東海S凡走時とはその動きが違っていますから、この馬本来の走りができる状態といってもよいかも知れません。

アスカノロマン(1月16日撮影) style=

この馬本来の走りができる状態といってもよいアスカノロマン(1月17日撮影)


◆次走要注意

・1/13 新春S【ヒーズインラブ】(2人3着)

 逃げた馬が勝ったレース展開からも9頭立ての7番手は明らかに展開不利。それでも最後の直線での進路次第では十分に差し切れていました。走るたびに強くなっている印象もあるだけに、この負けを糧にしてくれれば、重賞でも通用します。

[メモ登録用コメント] [芝マイル]最終追い切りでラスト1F最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・3歳新馬【アルマーズ】
 初めてのCWでの追い切りでしたが、その動きはさすが良血といったスピードと反応の良さ。ダートデビューの予定ですが、スタート地点が芝の京都ダート1400mですから、そこでの先行力であっさりと押し切ってしまう可能性も十分です。
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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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