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4歳時よりひとまわりパワーアップしての再出発/根岸ステークス

  • 2018年01月29日(月) 18時00分


◆GIの最有力候補に加わったノンコノユメとサンライズノヴァ

 レース前に暴れてしまう気性難をなんとか軽減しようと去勢された4歳夏以降、どうも元気がなく【0-0-0-6】の不振。長いスランプに陥っていた6歳ノンコノユメ(父トワイニング)が、16年の帝王賞でコパノリッキーの2着して以来、約1年半ぶりに復活なった。勝ち星を挙げたのは3歳11月の「武蔵野S」以来、2年2カ月ぶりのことだった。

重賞レース回顧

約1年半ぶりの復活を果たしたノンコノユメ(撮影:下野雄規)


 初の1400mを、58キロを背負いながら1分21秒5(重馬場)のコースレコードで差し切り勝ち。ダート1400mのJRAレコードタイ記録でもある。雌伏を経ての復活は、東京1600mを1分34秒2(上がり34秒7)で小差2着した4歳時の「フェブラリーS」当時より、ひとまわりパワーアップしての再出発かもしれない。レース前の気合を表に出すうるさい仕草が戻ってきた。でもそれは消耗につながるほどではなく、ノンコノユメの闘志の表現にとどまった。

 去勢されセン馬となってビッグレースを制した馬は、日本では去勢を歓迎しない歴史があり各国より少ないが、マーベラスクラウン(ジャパンC)、レガシーワールド(ジャパンC)、トウカイポイント(マイルCS)、サウンドトゥルー(チャンピオンズC)、マグナーテン、エリモハリアー、カレンミロティック…などが並んでいる。すぐに結果に結びつく馬もいれば、ノンコノユメのように復活に長い時間のかかる馬も、期待の成果を出せない馬もいるが、この去勢は長い目で見るとき正解だった、となることを期待したい。

 少しふっくら映った馬体重456キロはデビューして最高体重だが、500キロ超えの大型馬が並ぶダートのビッグレースでは、小型馬にも近い。本番のフェブラリーの57キロ(1キロ減)は、530キロの馬には関係なくてもノンコノユメには大きい。

 2連覇を狙うゴールドドリーム(17年のJRAダートチャンピオン)を筆頭に、テイエムジンソク、ロンドンタウン、インカンテーション、31日の川崎記念組などのフェブラリーSの最有力候補に加わったのは、根岸S組ではノンコノユメともう1頭。

 ハナ差2着惜敗のサンライズノヴァ(父ゴールドアリュール)は、4歳馬。芝と同じようにチャンピオンの世代交代が早まった現在、GIになって以降21回のフェブラリーSで4歳馬は「8勝」もしている。ダート界の層は厚いので、今年の賞金ボーダーをクリアできるかの心配は残るが、ハナ差で1分21秒5ならサンライズノヴァの評価は上がりこそすれ、下がることはない。これで東京ダート【3-1-0-1】となった。

 1600mの武蔵野Sで負けていること。今回、ベストと思える1400mでハナ差とはいえ寸前で差され、1600mはあまり歓迎ではないのではないか。そういう見方も生じるが、530キロの馬体は寸詰まりではなくバランス抜群。父ゴールドアリュールは2003年のフェブラリーS勝ち馬。全妹の産駒ペルシアンナイトはマイルCS勝ち馬。半弟ゴールスキーは根岸Sを勝ったほか、芝のマイルCSを1分31秒8で微差3着もあるマイル中心のスピードが一族の特徴で、ダート界のチャンピオンサイアーとして君臨するゴールドアリュールは、その産駒がフェブラリーSを4回も勝っている。ましてサンライズノヴァは、母の弟サンライズバッカスも07年の勝ち馬である。

 3着カフジテイク(父プリサイスエンド)は、これでダート1400m以下【7-3-3-8】となった。高速のダートコンディションだったとはいえ、6歳にして自己最高時計だから内容は悪くなく、当然、昨年3着のフェブラリーSに登録するはずだが、ここまで1600m以上【0-0-2-6】なので、賞金ボーダーをクリアしても、ちょっと評価は下がる。

 4番人気アキトクレッセント(父ウォーエンブレム)、あるいは直線の中ほどで先頭に立ちかけた5番人気ブルドッグボス(父ダイワメジャー)は、結果として前者は自身のレースバランス「46秒4-38秒1」=1分24秒5。ブルドッグボスは「46秒3-36秒1」=1分22秒4。

 サイタスリーレッドがぐんぐん飛ばし、ラブバレットが2番手を追走した流れは、前半「33秒9-45秒7-57秒8→」の超ハイペース。これをめがけて早めに動かざるを得ない立場は苦しかった。先頭馬の1200m通過は「1分09秒5」であり、残った最後の1ハロンで伏兵はみんな止まっている。高速馬場を考え、また、挑戦者とあってみんないつも以上に強気に乗ったが、上位を占めた「ノンコノユメ、サンライズノヴァ、カフジテイク」は、もともと差し=追い込み馬でもあるが、超ハイペースを察知し、後方でかなり離れたが動かずに自分のリズム(ペース)を守ったグループだったのである。

 キングズガード(父シニスターミニスター)は、なかでは前半の我慢が利いた。巧みに力を出し切っての6着だろう。早めに動きながら4着に粘ったマッチレスヒーロー(父オレハマッテルゼ)は、自己最高タイの1分22秒0「46秒5-35秒5」。ずっと善戦をつづける7歳のベテランの大健闘は印象的だった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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