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清里高原で“第三の馬生”を過ごすアルゼンチンタンゴ 愛してやまない二人の存在(1)

  • 2018年01月30日(火) 18時00分
第二のストーリー

▲馬房から顔を覗かせるアルゼンチンタンゴ


競走馬としての素質もさることながら、乗馬としての適性も高かったタンゴ


 アルゼンチンタンゴ、明け29歳。美しい響きのその馬は、現在山梨県北杜市の清里高原に位置する牧場で第三の馬生を過ごしている。清里駅から徒歩で20分ほど、牧場通りに面しており、遠く富士山も眺望できる素晴らしいロケーションの谷口牧場が、アルゼンチンタンゴの終の棲家だ。訪ねたのは1月半ば過ぎ。標高1200mの凛とした澄んだ空気に包まれて、アルゼンチンタンゴは穏やかな毎日を送っている。

 実はアルゼンチンタンゴは、長年乗馬として過ごしてきたにもかかわらず、去勢をされていない。もちろん現在も牡のままだ。谷口牧場代表の谷口信さんは、基本的に去勢されていない馬は預かってはいなかったのだが、長年繋がりのあったAさんという女性からの依頼ということもあり、アルゼンチンタンゴを受け入れることになったと話した。

 1956年にこの地に開拓入植をして、当初は酪農の牧場を営んでいたが、清里が観光地として人気が出始めたのを契機に観光牧場に移行している。道産子を観光用として導入したのが1970年。以来約48年、谷口牧場は馬とともに歩を進めてきた。やがて観光ブームは去り、現在は預託馬専門の牧場に姿を変えている。馬たちは、およそ1万8千坪の総敷地面積の中に2か所ある広々とした牧草放牧地で放牧中心の生活をしている

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北海道旭川市出身。少女マンガ「ロリィの青春」で乗馬に憧れ、テンポイント骨折のニュースを偶然目にして競馬の世界に引き込まれる。大学卒業後、流転の末に1998年優駿エッセイ賞で次席に入賞。これを機にライター業に転身。以来スポーツ紙、競馬雑誌、クラブ法人会報誌等で執筆。netkeiba.comでは、美浦トレセンニュース等を担当。念願叶って以前から関心があった引退馬の余生について、当コラムで連載中。

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