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雪に見舞われた東京新聞杯の歴史

  • 2018年02月03日(土) 12時00分


◆“異常事態”のレースを制したのはあの名馬

 寒いわ雪は降るわで、今年は記憶に残る冬になりました。天気予報によれば来週にも次なる寒波が襲来するとのことですから、とうぶんの間、耐寒生活が続きそうです。

 今週は東京新聞杯。この時期に行われるレースなので、雪の影響を受けたことも多々あるだろうな、と思って調べてみました。

 同レースが1月末または2月に行われるようになったのは1966年から。最近では、4年前の2014年(優勝=ホエールキャプチャ)に雪の影響を受けています。当初の予定では2月9日(日)に行われるはずでしたが、8、9、15、16日の東京競馬がいずれも雪で中止になり、17日(月)にようやく実施されました。先月22日に東京都心で観測された23cmの積雪は、1月としては64年ぶりの記録でしたが、14年2月7日の積雪はこれを上回る27cmに達しています。雪の量としては4年前のほうが多かったんですね。

 ちなみにこの年は、中止になった計4日分の東京競馬がすべて平日に代替開催されたため、2月の28日間のうち、中央競馬のレースが行われた日が12日もありました。これもおそらく珍しい記録だと思います。

 続いては2001年。1月27、28日に予定されていた第1回東京競馬開幕週の開催が中止となり、東京新聞杯は1月30日(火)に行われました。この時は東京都心で8cmの積雪を記録しています(27日のデータ)。

 それ以前は、“中止→後日開催”ではなく、ダート戦に変更して開催されたことが何度かあります。まず1995年2月5日。前夜から当日朝にかけて雪が降ったため、東京競馬の全レースがダートで行われました。勝ったのはゴールデンアイ。それまでの6勝のうち2勝がダート戦で挙げたもの、という馬でした。

 さらにさかのぼると、1969、70年の東京新聞杯は2年続けてダートで行われていました。このうち69年は、雪ではなく、降り続いた雨による馬場悪化が影響していたと思われます。当時の東京都心の観測記録を見ると、1月14日から同レースが行われた2月2日(日)までの13日間のうち、天気概況に雨または雪と記載された日がなんと9日間もありました。しかも、2月1日(土)の東京競馬が行われる前日には23mmの降雨が観測されています。ダート変更はやむを得なかったようです。

 そんな“異常事態”の中で行われた東京新聞杯は、タケシバオーが優勝しました。年配のファンなら覚えていらっしゃるでしょうが、芝でもダートでも、短距離でも長距離でも強かった名馬です。同馬は、全部で7つの重賞を制しましたが、よく調べてみると、なんとそのうちの3つが“ダートに変更されて行われた重賞”だったのです。3歳時に勝った東京4歳S(今の共同通信杯)と前述の東京新聞杯、それに69年の毎日王冠がそうでした。同馬の話をする時は、その当時の天気を詳しく調べておかないといけませんね。

 今年、東京新聞杯は予定通りに行われるはず。これは何よりのことだと思いませんか?

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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