◆少し時計のかかりそうなコンディションはプラス
雪の影響をうけて微妙な芝コンディションで行われる。レースキャリアは1頭だけ抜けて少ない5戦だけ。格上がり初戦、初コースなどの大きな死角があり、さらには思われていたよりはるかに人気の◎フィアーノロマーノ(父ファストネットロック)だが、少し時計のかかりそうなコンディションはプラス。快速の先行タイプが見当たらず、スローの公算大のなか、前半は自分のリズムで先行できそうでもある。かなりの出世が望める新星に注目したい。
豪州産の◎の父父は、再三豪州に渡って大きな成果をおさめたデインヒル(その父ダンチヒ)。日本での評価も決して低い種牡馬ではないが、オーストラリア地域と、ヨーロッパでの成功と比較すると、日本や、多様な種牡馬を擁する北米ではほとんどランキング上位に顔を出す種牡馬にデインヒル系はいないから不思議である。
競走時のデインヒルは欧州だけだったこと、種牡馬としての供用場所(所有者)も大きく関係するが、派手なスピード系ではなく、必ずしも鋭くなく、やや鈍重な印象を与えかねないしぶとさ、粘り強さがアメリカ型ではないからかもしれない。JRAの競走体系はヨーロッパ型であり、日本は世界中から馬を輸入するものの、近年は断然アメリカが多い。
典型的なアメリカタイプの牝系(母の父はストームキャットの孫。ボールドルーラーのクロスまで秘める)に、豪州+欧州タイプのファストネットロック(競走成績は豪のスプリンターで、種牡馬となってからダンチヒ系らしく中距離系に傾斜)という配合。
そんな◎が、日本の軽い高速の芝のマイル戦でオープン馬となって活躍を始めたら、かなり素晴らしいことであると同時に、世界の競馬をリードする国のサラブレッドが、また一段と似たもの同士(親類同士)になる流れを加速させるかもしれない。
◎の牝系はかつて日本に多くの馬が輸入された著名牝系であり、7代母になるマドモアゼルロレット(米1950)は、1974年の朝日杯3歳Sを外国産馬として勝った牝馬マツフジエース(愛産。父ソーブレスド)の3代母である。
活馬の輸入自由化と、それに関係する出走制限が変わったのは1971年であり、外国産馬の重賞勝ち第1号がマツフジエースで、そのあとにマルゼンスキーや、ギャラントダンサーが続いている。