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息の長い活躍が期待できるデイジーメーカー

  • 2018年02月14日(水) 12時00分
≪3歳≫

●スピンドクター(セン 栗東・野中賢二 父ハードスパン、母チャタラティ)
 3代母Potrinnerはアルゼンチン産で、現役時代にミルギニーズ(亜G1)、フランシスコJベアスレイ賞(亜G2)を制した。その兄弟姉妹にはポトリザリス(アルゼンチンダービー、アルゼンチンオークスを制した女傑。ディアデラノビアの母)をはじめ4頭のG1レース優勝馬がいる超良血馬。2代母Melhor AindaはサンズポイントS(米G3・芝9f)を勝ったほか、アメリカンオークス(米G1・芝10f)とビヴァリーD.S(米G1・芝9.5f)で2着となった。その半弟ダノンゴーゴーはファルコンS(GIII)の勝ち馬。母チャタラティは下級条件馬だったが、アルゼンチンの名牝系の出身で血統的な魅力は大きい。父ハードスパンはわが国で2014年に1年間供用されたあと、本国アメリカで好成績を挙げたことにより、すぐに呼び戻されて帰国した名種牡馬。成績は優秀で、全日本2歳優駿(Jpn1)で4着となったダークリパルサーをはじめ16頭の勝ち馬を出している。ダート向きのマイラーとして楽しみが大きい。

●デイジーメーカー(牝 栗東・音無秀孝 父エンパイアメーカー、母ブラボーデイジー)
 クロフネの娘は芝向きに出る傾向があり、とくにスプリンターやマイラーの強豪が目に付くが、母ブラボーデイジーは福島牝馬S(GIII)だけでなくエンプレス杯(Jpn2・ダ2100m)も制している。サンデーサイレンス、Mr.Prospector、La Troienneのトライアングル、というクロフネ産駒の成功パターン(他にフサイチリシャール、クラリティスカイ、セイコーライコウなどが出る)を持つ好配合馬だった。本馬はこれにエンパイアメーカーを掛けて誕生した。「エンパイアメーカー×クロフネ」は過去5頭が出走してすべて勝ち上がる、という相性のいい組み合わせ。3歳夏を越してから成長してくるタイプだと思われるので、POG向きではないかもしれないが、素質は高いと思われるので、芝・ダート兼用の中距離タイプとして息の長い活躍が期待できる。

●トーホウアネモス(牡 美浦・伊藤大士 父ロードカナロア、母トーホウシンバル)
 母トーホウシンバルは芝1200〜1400mを中心に準OPまで出世した。母方にStorm CatとRaise a Nativeを併せ持つステイゴールド産駒なのでクイーンC(GIII)を勝ったキャットコインに似ており、ロックディスタウン(17年札幌2歳S-GIII)とも配合構成が近い。本馬の父はロードカナロア。同馬は母の父がStorm Catなので、本馬はStorm Cat 3×4。ロードカナロア産駒のStorm Catクロスは、現時点で5頭出走して勝ち上がりは2頭と、とくに目立つとこのない成績だが、サンプルが少ないのでまだ何ともいえない。本馬は母方にRibotを持ち、父のGrautarkとHis Majestyの全兄弟クロスをサポートしている。母の父ステイゴールドは底力があるので一発の魅力を感じる配合馬だ。芝向きのマイラー。

●マハヴィル(牡 栗東・池江泰寿 父キングカメハメハ、母マトゥラー)
 母マトゥラーは現役時代2戦未勝利ながら、ドリームジャーニー(09年有馬記念-GI、09年宝塚記念-GI、06年朝日杯FS-GI)、オルフェーヴル(三冠、11、13年有馬記念-GI、12年宝塚記念-GI)の4分の3妹にあたる良血。2代母オリエンタルアートの子でGI級の大物はステイゴールドを父に持つ上記の2頭だけだが、デビューを果たした10頭中8頭が勝ち上がっているように、やはり非凡な何かを伝えていることは間違いない。「キングカメハメハ×ディープインパクト」は少ないサンプルからヴァナヘイム(16年京都2歳S-GIII・2着)、リシュブール(3戦1勝)などの素質馬が出ている。本馬の全兄アラハバードは未勝利に終わったが、当たれば大きい配合なので期待してみたい。

●ワンモアバイト(牝 栗東・矢作芳人 父ロードカナロア、母スペシャルピース)
 母スペシャルピースは現役時代、芝とダートで1勝ずつを挙げた。2代母グローリーティアラはダート短距離で5勝を挙げ、準OPまで出世した。その兄弟にはグレイスティアラ(05年全日本2歳優駿-GI、06年兵庫チャンピオンシップ-GII)、シアトルユー(07年七夕賞-GIII・6着)などの活躍馬がいる。「ロードカナロア×スペシャルウィーク」の組み合わせは、3頭出走してまだ勝ち上がった馬がいないが、いずれも稽古は動いているので片目を開けるのは時間の問題だろう。母はサンデーサイレンスとMr.Prospectorを併せ持つ繁殖牝馬なので質が高い。芝1400〜1600m向き。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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