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種牡馬展示会・後篇 コパノリッキーやワンアンドオンリーなどお披露目

  • 2018年02月15日(木) 18時00分
生産地だより

今週は静内・日高で開催された


日高からも頭角を現す種牡馬が確実に出てきている


 先週に引き続き、今週も各地で種牡馬展示会が開催された。13日(火)には、静内地区の3種馬場が合同で時間をずらしての開催である。午前9時より、まずJBBA日本軽種馬協会静内種馬場からのスタートとなった。

 JBBAの今年の新種牡馬はザファクター。父ウォーフロントの芦毛の米国産で、13戦6勝2着2回、マリブS(GI)などを制した快速馬で、2歳時にはサンタアニタでトラックレコードを樹立している。ただ2018年のみの繋養となっており、すでに満口である。種付け料は200万円で不受胎、もしくは流死産時に返還特約が付されている。

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18年のみの繋養となるザファクター、すでに満口である

 その他、マクフィ、ヨハネスブルグ、クリエイターII、ケープブランコ、エスケンデレヤ、バゴなど計9頭の陣容でシーズンを迎える。

 JBBAの種牡馬は、従来、初年度に人気が集中し、2年目、3年目と経過するにしたがって配合頭数が減少する傾向が顕著であった。そのあたりが悩みで、いかに頭数を確保して行くかが今後の大きな課題となる。

 次にアロースタッドへと場所を移しての展示会となった。古い歴史を持つアロースタッドは、長らく静内地区の中核的な種馬場として数多くの種牡馬を繋養してきており、今年も計38頭の大所帯となっている。

 新種牡馬も数多く、今回はゴドリー(父ヘニーヒューズ)、ディーマジェスティ(父ディープインパクト)、ドリームバレンチノ(父ロージズインメイ)、ビッグアーサー(父サクラバクシンオー)、ポアゾンブラック(父マイネルラヴ)、マスクゾロ(父Roman Ruler)、ラニ(父Tapit)、ワンアンドオンリー(父ハーツクライ)の8頭が新たに種牡馬デビューするべくお披露目された。

 ゴドリーは半兄にJBBAで種牡馬として2016年より繋養されているエスケンデレヤがいる良血馬で10戦2勝(両津湾特別など)の成績がある。種付け料は産駒出生後20万円。

 ディーマジェスティは一昨年の皐月賞馬。その他セントライト記念や共同通信杯など4勝を挙げた実績馬だ。今年度より種牡馬としてデビューすることになった。受胎確認後100万円の種付け料。

 ドリームバレンチノは、2歳から10歳まで55戦を消化し12勝2着11回の成績を残したタフな馬で、収得賞金も約5億円に迫る。芝ダート問わずのスプリンターとして走り続けた馬だ。種付け料は受胎確認後30万円。

 ビッグアーサーは、5歳時に高松宮記念をレコードで制した快速馬で、15戦8勝。受胎確認後100万円。

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5歳時に高松宮記念をレコードで制したビッグアーサー

 ポアゾンブラックは、中央〜地方と転戦し33戦12勝を挙げた実績のあるタフさが売り物。受胎確認後20万円、産駒出生後30万円。

 マスクゾロは、5歳時にシリウスSを制し16戦7勝の成績を残す中距離ダート馬。2011年米国産馬だ。受胎確認後30万円。

 ラニは父Tapit、母ヘヴンリーロマンスという名血馬で、3歳時にUAEダービーを勝ち、ベルモントS3着の実績馬。種付け料は受胎確認後50万円。

 そしてワンアンドオンリー。周知の通り2014年の日本ダービー馬である。こちらも同じく受胎確認後50万円。

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14年のダービー馬ワンアンドオンリー

 アロースタッドはサウスヴィグラスとシニスターミニスターがさしずめ人気の双壁だが、こうして次々に新たな実績馬が種牡馬入りしており、ひじょうにバラエティに飛んだ顔ぶれが揃った。

 天候は、朝から曇りで経過していたが、アロースタッド展示会の半ばを過ぎたあたりから雪が降り出し、やがて一面真っ白になってしまった。

 この日の最後はレックススタッド。今年は新種牡馬こそいなかったが、新たにスマートファルコンが移動してきて、お披露目となった。ただ、展示会開始の頃には、雪の勢いが最も強く、視界不良になってしまった。

 レックススタッドの大将格はスクリーンヒーロー(受胎確認後600万円)で、種付け料順に紹介すると、エイシンヒカリ(受胎確認後250万円)、ネオユニヴァース(受胎確認後100万円)といった序列になるが、他にもマツリダゴッホやタニノギムレットなどもいてここもバラエティに富んだ陣容である。

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レックススタッドの大将格はスクリーンヒーロー

 さて、日が変わって14日は日高町のブリーダーズスタリオンの展示会が行われた。今年の新種牡馬は年末の東京大賞典を制し引退したコパノリッキー。受胎確認後80万円、産駒出生後120万円と価格もリーズナブルであり、すでに満口となる人気ぶりである。33戦16勝、G1およびJpn1を11勝したダート界のチャンピオンで、生産地の期待も大きい。また、新たに社台スタリオンからヴィクトワールピサが入厩し、お披露目された。

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価格もリーズナブルであり、すでに満口となる人気ぶりのコパノリッキー

 前日の後半と同様に、ここでも展示会開始時には降雪に見舞われ、しばしばカメラのピントが合わなくなるほどのひどい降り方であった。

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こちらはレックス展示会前の雪景色

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カメラのピントが合わなくなるほどの降り方だった

 とはいえ、ブリーダーズスタリオンは、日高でもひじょうに人気の高い種馬場で、昨年は同所が開設して以来最多の1400頭の配合頭数を記録した。リオンディーズ191頭、ラブリーデイ138頭、ストロングリターン123頭、ベルシャザール113頭、トーセンジョーダン100頭というように、軒並み100頭を超える種牡馬が揃っている。

 中でも最も注目されるのは言うまでもなくブラックタイドで、昨年は149頭と交配し、日高の代表的な種牡馬として存在感を示した。

 ブリーダーズスタリオンは、コパノリッキー、ヴィクトワールピサを加えて、今年は全20頭の陣容でシーズンを迎える。

 昨年の数字だが、日本で繋養されている種牡馬は全部で245頭。うち日高管内に192頭が集中している。交配頭数の多さや繁殖牝馬の質の高さからも、社台スタリオンで繋養される種牡馬群が圧倒的な存在感を示しているが、日高にも有名無名含めてひじょうに多くの種牡馬が繋養されており、この中からも頭角を現す種牡馬が、数は少ないが確実に出てきている。それが競馬の多様性であり、奥の深さになる。それぞれ置かれた環境は千差万別だが、健闘して欲しいと思う。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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