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【フェブラリーS】去年とは違う戦い方を強いられた王者、狙いを定めていた内田博幸騎手

  • 2018年02月22日(木) 18時01分
哲三の眼

▲ノンコノユメはJDD以来のGI制覇、陣営の苦労が報われた一戦となった (撮影:下野雄規)


今年最初のGIは波乱の結果に。ムーア騎手を配して挑んだゴールドドリームの連覇、テイエムジンソクと古川騎手のGI奪取を阻んだのは、内田騎手騎乗のノンコノユメでした。展開の鍵となったのはテイエムジンソクの位置取り。ことムーア騎手は「確実に意識した乗り方だった」と哲三氏。GIの舞台にふさわしい、有力各馬の絶妙な心理戦を解き明かします。(構成:赤見千尋)


内田騎手のさすがの追いっぷりと陣営のファインプレー


 今週はフェブラリーSに注目しました。ゴール前は3頭の叩き合いになりとても見ごたえがありましたが、外から伸びたノンコノユメがクビ差で勝利。内田さんもさすがの騎乗でしたね。

「運も実力のうち」とよく言いますが、レース展開を上手く味方にしていたし、逃してはいけない流れをしっかり掴んでいました。追い込みのインパクトが強いですが、そういう部分にも内田さんの上手さを感じます。

 内田さんは僕と同年代だし、大きな怪我をして大変な時期もありましたが、本当に頑張っているなといつも見ていました。かなり昔の話ですけど、若い頃にヤングジョッキーズワールドチャンピオンシップという、今のワールドオールスタージョッキーズの若手版のレースがあって、そこで初めて会ったんです。その時、内田さんと(当時名古屋所属だった)吉田稔君の騎乗を見て「上手いな」と思いました。今回、そういう昔のことも思い出しながら懐かしかったです。

哲三の眼

▲ゴール前、先に先頭に立ったゴールドドリーム(右)を捕らえ切ったノンコノユメ(左) (撮影:下野雄規)


 レースを順に振り返って行くと、流れを作ったのはテイエムジンソクだったと思います。位置取りとしてはハナ2番手ではなかったけれど、多くの馬たちがテイエムジンソクを意識していたし、特にゴールドドリームに騎乗した(ライアン)ムーア騎手は確実に意識した乗り方でした。

 ゴールドドリームはゲートを五分に切っているけれど、若干の出負けくらいでスタート。この馬にとって芝のスタートというのは多少合わないところがあるのかな、とは思いますが、そこからムーアがなるべく前目につけようと追っ付けていました。

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1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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