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【廣崎利洋オーナー(後編)】『ブションのようにファンに愛される存在に』/ネヴァブションのドラマ・第二章――3世代6頭に託された夢

  • 2018年03月09日(金) 18時01分
ノンフィクションファイル

▲横山典弘騎手との丸秘エピソードも (左から廣崎オーナー、横山騎手、青木厩務員(現調教師)、撮影:下野雄規)


多くのファンに愛されたネヴァブションが、一昨年の冬、突然天国へと旅立った。残された産駒は3世代6頭。奇跡ともいえるめぐり合わせで再び動き始めたネヴァブションのドラマは、2018年、産駒のデビューという大きな局面を迎えようとしています。先週の青木孝文調教師のインタビューに続き、今週は廣崎オーナーのインタビュー(3/8前編、3/9後編)をお届けします。ストレイトガールやレッツゴードンキを所有し、いまや数々のGIタイトルを手にしている廣崎オーナー。その馬主人生の礎となった存在こそが、ネヴァブションでした。(取材・文=不破由妃子)


(前回の続き)

「まったく典ちゃんというジョッキーはねぇ(笑)」


──2歳の6月に伊藤正徳厩舎に入厩したわけですが、そこでスタッフとして働いていたのが青木先生だったんですね。

廣崎 そう、持ち乗り厩務員でね。それから8歳まで担当してくれたんだけど、途中で替わってしまって。一度、伊藤正徳厩舎の方たちと宴会をしたことがあるんですけど、そのときに青木さんが僕のところにこっそりやってきて、「僕、今度(伊藤正徳厩舎を)辞めるんです。調教師試験の勉強をするんです」と報告してくれたのを覚えていますよ。そのときの表情がね、あんまり納得していないような感じだったから、心残りがあるんだろうなと察してはいたんですけどね。

──そうだったんですね。結局、ネヴァブションは10歳の秋まで54戦したわけですが、オーナーのなかで一番印象に残っているのはどのレースですか?

廣崎 2008年のジャパンCですね。ネヴァブションは、どちらかというと追い込みタイプで、3コーナー過ぎからマクっていって4コーナーでいい位置に付けて…という競馬が多かったんですけど、そのときは典ちゃん(横山典弘騎手)がね、「廣崎さん、今日はずーっとテレビに映るからね」って言ってね。

──覚えています。ネヴァブションにとって、最初で最後の逃げでしたね。

廣崎 そうです、そうです。僕は最初、典ちゃんの言葉の意味がわからなかったんですけどね。なるほど、たしかにずーっとカメラに映ってた(笑)。しかも、けっこうギリギリまで粘りましたからね(コンマ5秒差7着)。まったく典ちゃんというジョッキーはねぇ(笑)。あのレースは忘れられないですね。もうひとつは、香港のクイーンエリザベス2世カップかな(4着)。あのときはゴッティ(後藤浩輝騎手)でね。4コーナーを先頭で回ってきたから、すごく興奮したのを覚えてます。

──たしか、オーナーにとって、初めての海外挑戦でしたよね。

廣崎 そう、海外はあのレースが初めてでした。その時点で、馬主になってから20年以上経っていましたから、僕ほどキャリアのないオーナーはいない(苦笑)。それ以前に、古馬の王道路線に乗った牡馬は、いまだにネヴァブションしかいませんからね。

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