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グランシルクと4分の3同血のウィナーズブレイク

  • 2018年03月07日(水) 12時00分
≪3歳≫

●アイリッシュビート(牝 栗東・斉藤崇史 父ハーツクライ、母ヒラボクビジン)
 母ヒラボクビジンはダート中距離を得意とし、準OPの上位勢力として活躍した。「ハーツクライ×ブライアンズタイム」の組み合わせは、タイムフライヤー(17年ホープフルS-GI)、マジックタイム(16年ダービー卿CT-GIII)などが出ている。連対率25.7%、1走あたりの賞金額228万円は、ハーツクライ産駒全体の18.2%、193万円を上回っている。また、母方にMachiavellianを持つハーツクライ産駒も、わずかなサンプルからシュヴァルグラン(17年ジャパンC-GI、16年アルゼンチン共和国杯-GII、16年阪神大賞典-GII)、ロジクライ(16年シンザン記念-GIII)などが出ている。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

●ウィナーズブレイク(牡 美浦・戸田博文 父ステイゴールド、母キュー)
 共同通信杯(GIII)を勝ったブレイクランアウト、東京スポーツ杯2歳S(GIII)で5着となったエネアドの半弟。母キューは芝12ハロンのロングアイランドH(米G2)の勝ち馬で、Mitterand≒Peroxide Princess 2×2という相似な血のクロスを持っている。娘のルシルクはグランシルク(17年京成杯オータムH-GIII)をはじめ中央で5頭の勝ち馬を産んでおり、子だけでなく孫の代からも優れた競走馬が誕生している。本馬の父はステイゴールド。したがってグランシルクとは4分の3同血の関係となる。「ステイゴールド×フレンチデピュティ」の組み合わせは、レインボーライン(16年アーリントンC-GIII)、コウエイタケル(OP)、セイカプリコーン(OP)、オールザゴー(17年NHKマイルC-GI・5着)などコンスタントに勝ち馬が出ている。芝向きの中距離タイプ。

●グリュック(牡 栗東・奥村豊 父クロフネ、母ヘヴンリーヴォイス)
 母ヘヴンリーヴォイスは「Haloのクロス+Machiavellian」という配合パターンで、これはハルーワスウィート(ヴィルシーナ、ヴィブロス、シュヴァルグランの母)、プチノーワル(ローブティサージュの母)、ルミナスポイント(ジューヌエコールの母)、ライツェント(ディアドラ、オデュッセウスの母)などと同じ。優れた繁殖牝馬によく見られる配合パターンだ。本馬は「クロフネ×アグネスタキオン×Machiavellian」なのでジューヌエコール(16年デイリー杯2歳S-GII、17年函館スプリントS-GIII)と同じ組み合わせ。芝・ダート兼用のマイラー。

●ダンスメーカー(牡 美浦・戸田博文 父エンパイアメーカー、母ラバヤデール)
 ソロル(14年マーチS-GIII)の半弟。母ラバヤデールはダートの名種牡馬ゴールドアリュール、秋華賞(GI)4着馬オリエントチャームの全きょうだいで、根岸S(GIII)を勝ったゴールスキーの4分の3姉。オリエントチャームは繁殖牝馬としてペルシアンナイト(17年マイルCS-GI、17年アーリントンC-GIII)を産んでおり、ニキーヤを牝祖とするこのファミリーは活発に枝葉を広げている。本馬の父はエンパイアメーカー。「エンパイアメーカー×サンデーサイレンス」の組み合わせからは、フェデラリスト(12年中山記念-GII)、ナムラアン(16年クイーンS-GIII・6着)、カイザーバル(16年秋華賞-GI・3着)などの芝馬が出ているが、本馬は前述のとおりソロルの半弟なので、ダート向きの適性が高いと思われる。兄と同じく中山ダ1800mが良さそうなタイプだ。

●ミュゼット(牝 美浦・久保田貴士 父ハードスパン、母サンデーミューズ)
 母の父アルカセットは、現役時代にジャパンC(GI)をレコード勝ちしたものの、種牡馬としてはスピード不足がたたり苦戦しており、産駒は芝よりもダートで良績を残している。本馬の母サンデーミューズ(芝で3勝)をはじめスピークソフトリー(12年チューリップ賞-GIII・5着)、ヒラボクビクトリー(12年京都大賞典-GII・7着)など、芝で活躍したトップクラスの子はいずれも母の父がサンデーサイレンスで、ここから芝向きの素軽さを獲得している。本馬の父ハードスパンは基本的にはダート向きだが、シャトルで渡ったオーストラリアで芝のG1馬を出し、アメリカでもアーリントンミリオン(G1・芝10f)の勝ち馬を出しているので、配合次第で芝向きの産駒を出す能力も備えている。本馬はシンコウラブリイ(93年マイルCS-GI)の全妹を3代母に持つ名牝系に属しており、芝でもやれそうな配合構成。母はアルカセット産駒にしてはきわめて珍しく芝で切れるタイプだったので、そのあたりがうまく遺伝して欲しいところ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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