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アンビシャスが豪デビュー いきなりメルボルンC勝ち馬と対決

  • 2018年03月08日(木) 18時00分
ビクトリア競馬便り

▲今週土曜日に現地デビューを果たすアンビシャス


(3月8日号 文=ポール・シムズ)

 オーストラリアのビクトリア州から、競馬にまつわる話題をお届けするコラムが先週からスタートした。ビクトリアの競馬と言えば、世界的にもよく知られているのが、メルボルンのスプリング・カーニヴァルだが、秋のこの時期も毎週のように興味深い競馬が行われている。今回のコラムは、今週末にいよいよ豪州初戦を迎える日本のスーパースターの話題をお伝えする。

アンビシャスを管理するのは名調教師


 今週土曜日にフレミントン競馬場で行われる、秋の「フェスティヴァル・オヴ・レーシング」における馬齢戦のプレミアムレース・GIオーストラリアンC(2000m)に、日本産馬として初めて出走するのは、音無秀孝師の管理馬だったアンビシャスである。ディープインパクト産駒のアンビシャスは、チャンピオンホース・キタサンブラックを破り、2016年のGII大阪杯を制している。

 アンビシャスは昨年、ビクトリアのリーディングトレーナーであるアンソニー・フリードマン厩舎へ移籍した。最近になって、オーストラリアのシンジケートが破格の高値でアンビシャスを購買したことが発表された。フリードマン調教師といえば、有名な4人のフリードマン兄弟の1人で、フリードマン・レーシングのバナーを掲げ、これまでにメルボルンCを5度制している名調教師である。

 総賞金150万豪ドルのオーストラリアンCに出走するアンビシャスは12番ゲートから発走。2016年のメルボルンC勝ち馬アルマンディンも出走する予定だが、アンビシャスは、豪州の地で初めてのレースで、トップクラスを誇る地元オーストラリア産馬や外国産馬のライバルたちに対して強烈なインパクトを与えることは間違いないだろう。

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▲アンビシャスは12番ゲートから発走、強烈なインパクトを与えることは間違いないだろう


 今年のオーストラリアンCの出走予定馬の生産地を見るとその数は8か国。これがビクトリア州の秋の「フェスティヴァル・オヴ・レーシング」が国際色豊かなショーケースと呼ばれる所以なのだ。

ブレイブスマッシュ、2勝目なるか


 今週末の「スーパーサタデー」では、フレミントン競馬場でもう1つのGIレースが行われる。ブレイブスマッシュがGI・2連勝をかけて出走するのが、レクサス・ニューマーケットH(1200m)である。

 レクサス・ニューマーケットHが1874年に設立されて以降、同じ年にGIフューチュリティS(1400m)とレクサス・ニューマーケットHを制した馬は6頭しかおらず、1946年以降その偉業を達成した馬は1頭もいないのである。

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▲前走はC.ウィリアムズ騎手とのコンビでフューチュリティSを快勝(提供:Racingfotos Ltd)


 ブレイブブスマッシュのオーナーであるオーストラリアン・ブラッドストックとダレン・ウィーア調教師は、前走GIフューチュリティSを優勝した後に、この国で最も早いスプリントレースの1つとされているレクサス・ニューマーケットHに向かうか否かの議論を続けていたようだが、最終的に、チャンピオンジョッキーであるクレイグ・ウィリアムズの助言を受けてレースに出走させることを決定した。

「クレイグが非常に自信を持って、ブレイブスマッシュをニューマーケットHに出走するべきだと勧めてくれたので、私たちは彼の助言通り出走させることを決めたのです」オーストラリアン・ブラッドストックの取締役ジャーミー・ロヴェット氏はそう語る。

 さらに、ロヴェット氏は「前走のフューチュリティSで、ブレイブスマッシュは本当に素晴らしい走りを見せてくれました。ニューマーケットHでは56.5kgという斤量を背負いますし、距離も1200mに短縮されますが、このレースは1400mを得意としている馬が好走すると言われているので、それが証明されることを楽しみに待ちたいと思います」と語った。

イッテツ、オーストラリアに到着


 ジャーミー・ロヴェット氏は、日本から豪州に移籍したばかりの期待のスプリンター、イッテツについても言及し、馬はオーストラリアに到着してから、新しい環境に徐々に慣れてきているようだと話した。

「イッテツは日本のトップクラスの短距離戦線で活躍してきた馬です。彼のこれまでのレースにおける時計や走り方を見て、オーストラリアのトップクラスのスプリントレースでも、確実に活躍する能力があると、私たちは大変期待しています」

 ロヴェット氏は続けて、「イッテツがオーストラリアの気候に慣れて、日本にいた時のような良い状態や走りを見せれば、オーストラリアで必ず強いスプリンターとして活躍するでしょう。素晴らしい引き出しを持っている馬だと思っています」と話した。

 さらにもう1頭日本から豪州へ移籍が決まったのが、ダノンリバティである。今月末にオーストラリアに到着予定のダノンリバティは、今年のスプリング・レーシング・カーニヴァルが最大目標となるようだ。スプリング・レーシング・カーニヴァルと言えば、日本から豪州へ移籍し、種牡馬入りすることが発表されたトーセンスターダムが、GIを制したオーストラリア最大の春の競馬の祭典である。

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▲豪移籍が決定したダノンリバティ(撮影:下野雄規)

1864年に創設された、オーストラリアのビクトリア州における競馬主催団体。メルボルンCなどの大競走が行われるフレミントン競馬場をはじめとした、ビクトリア州各地の競馬場で開催される競馬の運営・統括をしている。近年では日本調教馬の移籍も多数実現しており、日豪の関係に重要な役割を担っている。

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