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ダノンプレミアムが皐月賞で勝つのは、3冠馬になるより難しい!?

  • 2018年03月10日(土) 12時00分


◆今年は、過去になかったことが起きる“当たり年”かも?

 チューリップ賞のラッキーライラックと弥生賞のダノンプレミアム、どちらも強い勝ち方を見せてくれましたね。このまま順調にいけば、桜花賞も皐月賞も大本命馬による無敗制覇なるかが焦点となりそうです。

 まず桜花賞。去年、ソウルスターリングが勝てば04年のダンスインザムード以来13年ぶりに無敗の桜花賞馬が誕生するところでしたが、3着に負けてしまいました。同馬も阪神ジュベナイルフィリーズとチューリップ賞に勝って4戦4勝としていたので、ラッキーライラックが桜花賞に駒を進めれば、そういう馬が2年続けて出走することになります。

 で、もしラッキーライラックが勝ったら、史上7頭目の“無敗桜花賞馬”になるわけですが、阪神JF→チューリップ賞→桜花賞を3連勝して、となると史上初。その歴史的レースを見てみたいと思う半面、今までそれを達成した馬がいないんだから、波乱の結果になる可能性もなきにしもあらず、なんじゃないかとも思っちゃいます。

 そうそう、先週の当コラムでは、チューリップ賞でラッキーライラックが勝てば、過去の傾向からして桜花賞とオークスのどちらか、またはその両方で同馬が勝つ確率が高いと書いたばかり。それと、今回のデータを重ね合わせると、同馬が勝つのはオークス、ってことになるんですけどね。

 一方の皐月賞。無敗でこれを制した馬は、1941年の初代3冠馬セントライトから2005年のディープインパクトまで、全部で16頭います。16頭の中で、朝日杯+スプリングS+皐月賞制覇は1992年のミホノブルボン、阪神3歳S+スプリングS+皐月賞制覇は1960年のコダマと74年のキタノカチドキが記録していますが、朝日杯+弥生賞+皐月賞の制覇を果たした馬は皆無。いや、無敗でという絞り込み条件を取っ払ったとしても。その3つのレースを制覇した馬は1頭もいません。

 ということは、ダノンプレミアムが皐月賞で勝ったら、これも史上初の快挙です。逆に言えば、3冠馬になるより難しいことかもしれません。

 ちなみに、これまでに朝日杯と弥生賞を制して皐月賞に出走した馬と、その皐月賞成績は以下のとおりです。

1985〜86年 ダイシンフブキ・7着
1987〜88年 サクラチヨノオー・3着
2002〜03年 エイシンチャンプ・3着

 朝日杯と弥生賞のダブル制覇でさえ難しい(上記以外では94〜95年のフジキセキがいるだけ)ようで、それをクリアしたダノンプレミアムは確かに強いと思いますが、皐月賞では同馬の前にさらに高いハードルが待ち構えていると言えそうです。

 まぁ、「今までにないから今後もない」なんて言っていたら、いつまでたっても記録更新は起きなくなっちゃいます。今年は、競馬の歴史の中で過去になかったことが起きる“当たり年”になるんでしょうか?

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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