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人生2度目のガッツポーズ 桜花賞馬チアズグレイスと園田の騎手との物語

  • 2018年03月13日(火) 18時01分
馬ニアックな世界

▲2000年の桜花賞馬チアズグレイス、時を越えてつながった物語とは (撮影:下野雄規)


今回は、ある日の園田6Rに秘められた桜花賞馬チアズグレイスと園田の騎手との物語。のちのオークス馬シルクプリマドンナや1番人気サイコーキララを抑え、好位から抜け出したチアズグレイスが桜花賞を制覇したのは2000年のこと。一方、今年2月23日(金)園田6R、平日の昼下がりの下級条件レースで中田貴士騎手(31歳、兵庫)は1着でゴールの瞬間、人生2度目のガッツポーズをしました。右手のこぶしに込められた思いは18年前の桜花賞馬に通じます。


闘病中の父のために


 中田騎手が生まれ育ったのは栗東トレーニングセンターのすぐ近く。お父様が厩務員で、同級生たちの多くは現在栗東トレセンで調教助手として働くなど馬の世界にいます。友人たちと同じく中田騎手も中学生になると乗馬を習い始めました。

「小学生の時に所属していた少年野球の監督から『これからは馬の世界でがんばれ』ってメッセージカードを卒団の時にもらったり(笑)、なんだかもう馬の世界に進むのが義務みたいな雰囲気でしたね」

 トレセンで生まれ育ったいわゆる“トレ子”にありがちな話なのだといいます。当然のようにJRA競馬学校騎手課程を受験しましたが不合格。高校卒業後は北海道のケイアイファームと滋賀県のグリーンウッドで調教騎乗員になりました。転機はグリーンウッドにいた頃です。

「地方競馬に騎手の一発試験があることを知ったんです」

馬ニアックな世界

▲中田貴士騎手(31歳、兵庫)、牧場での調教騎乗員を経て地方の騎手を目指すことに


 一発試験とは、地方競馬教養センター(JRAで言うところの競馬学校)に入学せず、筆記試験と実技試験を受けて直接騎手を目指す方法。難易度は上がりますが、中田騎手は兵庫(園田・姫路)で1年間厩務員として働いたのち、一発試験を文字通り「一発」で合格。2008年11月に騎手デビューしました。

 2011年には年間20勝を挙げましたが、その後、「気持ち的に底辺で何もできひん時間が続きました」といいます。きっかけは厩務員だったお父様が病に倒れたこと。

 1人でお見舞いに行くと、普段は強がりなお父様が「お前がレースでがんばってるから、俺もがんばれるねん」と言う姿に奮起しました。

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競馬リポーター。競馬番組のほか、UMAJOセミナー講師やイベントMCも務める。『優駿』『週刊競馬ブック』『Club JRA-Net CAFEブログ』などを執筆。小学5年生からJRAと地方競馬の二刀流。神戸市出身、ホームグラウンドは阪神・園田・栗東。特技は寝ることと馬名しりとり。

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