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ポテンシャルの高さを感じさせる好配合馬トーセントルネード

  • 2018年03月21日(水) 12時00分
≪2歳≫

●トーセントルネード(牡 栗東・武幸四郎 父マンハッタンカフェ、母エリーゼパレス)
 母エリーゼパレスはイギリスで10戦1勝。ラフォルス賞(仏G3・芝2000m)の勝ち馬Simon de Montfortの全姉にあたる。2代母Noble RoseはパークヒルS(英G3・芝14f132yds)を勝ったステイヤー。母方にCaerleonを持つマンハッタンカフェ産駒は大成功しており、ジョーカプチーノ(09年NHKマイルC-GI)、レッドディザイア(09年秋華賞-GI)、ガルボ(12年東京新聞杯-GIIIなど重賞4勝)、テイエムオーロラ(10年府中牝馬S-GIII)をはじめ多くの活躍馬が誕生している。父マンハッタンカフェ、母の父キングズベストはいずれもドイツ血統を含んでいる。本馬はSchwarzblaurot≒Almyra 5×5というドイツ血統の相似な血のクロスを持ち、ポテンシャルの高さを感じさせる。芝向きの中距離タイプ。

●トーセンベリーニ(牡 栗東・武幸四郎 父キングカメハメハ、母スペシャライズ)
 母スペシャライズはダート短距離で3勝。その兄弟にリザーブユアハート(98年函館3歳S-GIII)、ソーアラート(OP)、カフヴァール(準OP)、トーホウスペシャル(準OP)などがいる。馬力型のGulchが入るのでどの馬もパワーを帯びている。「キングカメハメハ×スペシャルウィーク」という本馬の組み合わせはリオンディーズ(15年朝日杯フューチュリティS-GI)、タガノグランパ(14年ファルコンS-GIII)と同じ。ただ、前述のとおりGulchが入り、その父Mr.Prospectorを3×4でクロスさせている。キングカメハメハ産駒のこのクロスはダート向きに出やすい。基本的にはダート向きのマイラーで、芝は道悪や洋芝でおもしろい。

≪3歳≫

●ゼーゲン(牡 美浦・堀宣行 父ディープインパクト、母ソベラニア)
 母ソベラニアは重賞を勝った経験こそないものの、独オークス(G1・芝2200m)2着、リディアテシオ賞(伊G1・芝2000m)3着、ヴェルメイユ賞(仏G1・芝2400m)4着などの成績がある。2代母Sasuelaは競走馬としては平凡ながら、Samum(00年独ダービー-G1)、Schiaparelli(06年独ダービー-G1)、Salve Regina(02年独オークス-G1)の半きょうだいで、なおかつSea the Moon(14年独ダービー-G1)の伯母にあたる良血。3代母SacarinaがThong=Ridan 5×2という全きょうだいクロスを持っており、これが活力の源泉ではないかと考えられる。本馬は「ディープインパクト×Monsun」という組み合わせ。母の父Monsunは独リーディングサイアーに3回輝いたスタミナ型の名種牡馬で、産駒はドイツ国内にとどまらずフランス、イタリア、アメリカなどでG1を制覇した。「ディープインパクト×Monsun」はノーブルコロネット(13年フィリーズレビュー-GII・4着)、リセエンヌ(15年サウジアラビアロイヤルC-GIII・4着)、ウムブルフ(16年京成杯-GIII・5着)などコンスタントに活躍馬を出している。芝向きの中距離タイプ。

●デルマシードル(牝 美浦・和田勇介 父ダイワメジャー、母ヘルスウォール)
 アルテミスS(格付けなしの重賞)を勝ち、阪神JF(GI)5着、オークス(GI)6着、桜花賞(GI)7着などの成績を残したマーブルカテドラルの全妹。アサクサダンディ(父フジキセキ/08年ニュージーランドT-GII・3着、08年スプリングS-GII・4着)の半妹でもある。母ヘルスウォールはエリシオが送り出した牝馬の代表産駒で、現役時代にチューリップ賞(GIII)を勝ち、桜花賞(GI)でも5着となった。2代母サラトガフラッシュはPromised Land≒Darlin Patrice 3×3というユニークな4分の3同血クロスを持つ。2代父サンデーサイレンスはPromised Landを持っているので、本馬はこの4分の3同血クロスを継続し、Promised Land≒Darlin Patrice 5×5・5。「ダイワメジャー×エリシオ」は、他にエアジェルブロワ、アンブリッジ、ヤマニンシルフなどコンスタントに走っている。姉同様の活躍を期待したい。

●ノーバザー(牝 栗東・吉村圭司 父Scat Daddy、母Hoh Buzzard)
 母Hoh Buzzardは現役時代、ミセスレヴィアS(米G2・芝8.5f)を勝ったほか、ノネット賞(仏G3・芝10f)2着、サンタバーバラH(米G2・芝10f)3着という成績がある。異系色の強い牝系に属しており、2代母Indian Expressは、Northern Dancer、Raise a Native、Turn-to、Bold Rulerといった現代の主流ラインをまったく含んでいない。母の父Alhaarthは英2歳牡馬チャンピオン、愛古牡馬チャンピオン。父Scat Daddyはアメリカを拠点に優れた実績を残したStorm Cat系の名種牡馬で、日本ではファルコンS(GIII)を勝ったミスターメロディの父として知られている。シャトル供用されたチリでは見事リーディングサイアーとなり、ヨーロッパではCaravaggio(英スプリントG1を2勝)をはじめスピード型の重賞勝ち馬が多数誕生した。惜しくも2015年に早世したが、今後まだまだサイアーラインを伸ばしそうだ。本馬は芝・ダート兼用のマイラー。初戦から注目したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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