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門別に春を告げる能力検査

  • 2018年03月27日(火) 18時00分


◆例年のことだが血統的な注目馬も多い

 全国から桜の便りが届く季節となり、東京の桜は例年よりやや早くすでに満開に近い。競馬では、冬期に休催となっていた地区で競馬が再開されると、いよいよ春だ。

 3月21日には岩手で水沢競馬の開催が始まった。その初日のメイン、3歳A級の春の錦賞には2歳シーズンの重賞線戦で活躍した馬たちが出走。昨年北海道二冠を制したベンテンコゾウの全弟で、若駒賞を制しているニッポンダエモンが2番手から直線で抜け出して勝利。22日の第6レースでは、10頭立て6頭が落馬という事故があった。そして25日のスプリント特別には、1月28日の根岸S(JRA東京)で9着だったラブバレットが58kgを背負って出走。3コーナーから後続との差を徐々に広げると、直線では流すような感じで大差の圧勝。昨年は地元のクラスターCでクビ差の2着、年末の兵庫ゴールドトロフィーでも2着と、惜しいところで手の届かなかったダートグレード制覇に今年こそはの期待がかかる。

 この冬の北陸地方は日常生活にも支障が出るほど記録的な大雪だったが、その影響は金沢競馬にも及んだ。当初予定されていた3月の開催は18、20、22、27日の4日間だったが、積雪の影響で調教の開始が遅れ、25〜27日の3日間に変更されて実施した。初日のメインとして行われた3歳馬による準重賞・若駒賞では、年明けに笠松のゴールドジュニアを制していたノブイチが2番手から直線先頭に立って快勝となった。

 そしてホッカイドウ競馬の春といえば、2歳馬の能力検査だ。初日となった3月15日には13レースが組まれ72頭が、22日には5レースが組まれ30頭がそれぞれ出走し、800mで模擬レースが行われた。

 その2日間での1番時計は、新種牡馬ヴィットリオドーロ産駒のイグナシオドーロ(牡、角川秀樹厩舎)で50秒4。同じレースにはラブミーチャンの2番仔になるラブミージュニア(牡、父ゴールドアリュール、角川秀樹厩舎)も出走して50秒5。同厩舎でもある2頭が好位から馬体を併せて直線で抜け出し、ともに軽く気合をつけられただけでイグナシオドーロがわずかに先着という走りだった。

 2歳馬で注目となるのは、やはり新種牡馬(カッコ内は主な重賞勝ち)の産駒。日本で出走経歴のある馬ではベルシャザール(JCダート)の産駒が5頭いたのをはじめ、前述のヴィットリオドーロ、レッドスパーダ(京王杯スプリングC)、サダムパテック(マイルCS)、グランプリボス(NHKマイルC)、ジャスタウェイ(天皇賞・秋)、輸入種牡馬では、ケープブランコ(愛ダービー)、ダンカークなどの産駒が合格した。

 能力検査はここまでまだ2日間ではあるものの、もっとも多かったのが、この世代が3世代目の産駒になるフリオーソで6頭。ここまで2世代の産駒から地方で6頭の重賞勝ち馬を出しているばかりでなく、ヒヤシンスS2着のタイキフェルヴールがいるなど、中央のダートでの活躍も目立ってきている効果はあるのだろう。この3世代目は初年度産駒がデビューする前年の種付ゆえ、血統登録数は56頭(種付頭数は113頭)とそれほど多くはないが、2017年の種付は147頭と初年度を上回る過去最多となっている。

 そのほか、母がプリエミネンス(浦和記念などダートグレード8勝)のイージーナウ(牝、父シニスターミニスター、角川秀樹厩舎)、昨年の兵庫ジュニアグランプリ3着だったソイカウボーイの半弟エアースピーダー(牡、父プリサイスエンド、田中淳司厩舎)、昨年JBCレディスクラシックを制したララベルのおいにあたるショコラフレーズ(牡、父エンパイアメーカー、田中淳司厩舎)、アップトゥユーやストロングハートの全妹マリーンワン(牝、父サウスヴィグラス、角川秀樹厩舎)など、例年のことだが血統的な注目馬も多い。

 ホッカイドウ競馬の開幕は4月18日。このあとそれまでに、3月29日、4月4日、16日にも能力検査が行われる。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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