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北米最高峰の2歳セール開催、好素材5頭が日本でどんな走りを見せるか

  • 2018年04月04日(水) 12時00分


◆近未来のG1勝ち馬を巡り、高額馬はヒートアップ

 北米で開催される2歳トレーニングセールでは最も品揃えが良いと言われる「ファシグティプトン・ガルフストリーム2歳トレーニングセール」が、3月28日にフロリダ州のガルフストリームパーク競馬場で行われた。

 2週前に同じフロリダ州のオカラで行われた、2018年の北米2歳セールサーキットの幕明けとなったOBSマーチセールが、総売り上げが前年比で約25%ダウン、平均価格が前年比で約10%ダウンという、想定外のスランプに終わった後を受け、どのようなマーケットが展開されるか大いに注目される中での開催となったが、ここも総売り上げが前年比で6.5%ダウンという縮小傾向となった。

 ただし、平均価格は前年比で13.5%アップの38万5164ドル、中間価格は前年比で9.3%アップの29万5000ドルで、いずれもこのセールとしては歴代2位となる高い指標をマークした。

 平均価格も中間価格も上がったのに、総売り上げが落ち込んだ理由は、バイバックレートが急上昇したからだ。このセールは前年、2歳市場としては極めて優秀な14.9%というバイバックレートを記録したが、今年は上場された91頭のうち売却されたのは61頭で、30頭が主取りに。結果としてバイバックレートは前年の2倍以上となる33.0%に急上昇してしまった。

 マーケットの構造をさらに分析すると、50万ギニーという高値で売れた馬の数が、前年の16頭から今年は19頭に増加した。OBSマーチセールでは、前年は30頭いた50万ドル以上での購買が、今年は17頭に減少し、つまりは高い方の価格帯が静かだったことが市況全体の足を引っ張ったのとは対照的に、ファシグティプトン・ガルフストリームセールは高い方の価格帯が好調だったのである。

 昨年のこのセールで購買されたオーディブル(牡3、父イントゥミスチフ)が、デビュー2戦目から4連勝で3月31日にガルフストリームパークで行なわれたG1フロリダダービー(d9F)を制し、ケンタッキーダービーへ向けた東海岸の代表格に浮上したのをはじめ、「大物を輩出するセール」というのがこの市場の定評で、つまりは、近未来のG1勝ち馬を巡って高い方の価格帯はヒートアップしたということなのであろう。

 そんな中、120万ドルで購買された2頭が最高価格馬となった。

 1頭は、上場番号9番の父メダグリアドーロの牝馬。本邦輸入種牡馬マジェスティックウォリアーの近親にあたり、公開調教では1Fで最速タイとなる10秒フラットをマーク。購入したのはバーバラ・バンク氏のストーンストリート・ステーブルスだった。

 120万ドルで購買されたもう1頭は、上場番号77番の父イントゥミスチフの牡馬。勝ち馬アセッツオヴウォーの2番仔となる同馬も、公開調教で1Fでは最速タイとなる10秒フラットをマーク。購入したのはラリー・ベスト氏のオクソ・エクワイン社で、ジェリー・ホレンドルファー厩舎に入厩予定と発表されている。

 確認された、日本人によると見られる購買は、前年より1頭多い5頭だった。

 65万ドルで購買された、上場番号40番の父スクエアエディーの牝馬は、サラトガの2歳G1ホープフルS(d7F)勝ち馬ラリスの全妹という良血馬で、なおかつ、公開調教で1Fでは最速タイとなる10秒フラットをマーク。すなわち、血統もフィジカルも最上級という、おいそれとは巡りあうことがない逸材である。

 20万ドルで購買された、上場番号97番の父シャンハイボビーの牝馬は、母コンウェイトゥーステップがコールダーの特別ブレイヴラジS(d8F70y)勝ち馬で、近親にG1シャドウェルターフマイル(芝8F)やG1メイカーズ46マイル(芝8F)を制したミステンプルシティがいる牝系の出身。公開調教では2Fから追われて22秒フラットを計時した。

 40万ドルで購買された上場番号101番の牡馬は、カイロプリンス(父パイオニアオヴザナイル)の初年度産駒の1頭。現役時代はG1勝ちの実績がなかったカイロプリンスだが、昨年の1歳市場に上場された産駒が平均価格13万8279ドルで購買され、初年度は1万ドルだった種付料が今年は2万5千ドルに上昇した、期待の若手種牡馬である。

 50万ドルで購買された上場番号122番の牝馬は、今年の3歳世代からもマグナムムーンというケンタッキーダービー候補が出るなど、既にトップサイヤーとして確固たる実績を築いているマリブムーンの産駒。3代母が、G1BCジュヴェナイルフィリーズなど4つのG1を制したマイフラッグという牝系の出身。公開調教で1F=10秒2をマークした際の動きも非常に良かった馬だ。

 32万5千ドルで購買された上場番号163番の牝馬も、101番と同様にカイロプリンスの産駒だ。母スパニッシュポストはカナダで3勝、祖母スパニッシュプレイもウッドバインの特別を3勝しているのを含めてカナダで10勝を挙げた活躍馬だった。

 いずれも好素材である5頭が日本でどんなパフォーマンスを見せるか、追いかけて行きたいと思う。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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