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アンビシャス、24連勝中のウィンクスと激突

  • 2018年04月05日(木) 18時00分
ビクトリア競馬便り

▲アンビシャスが世界一へ挑む(写真:Racingfotos Ltd)


(3月29日号 文=ポール・シムズ)

 オーストラリア・ビクトリア州から競馬にまつわる話題をお届けする「ビクトリア競馬便り」。今週のコラムは、日本から豪州へ移籍したスーパースターと、レーティング世界No.1ホースの対決についての最新情報をお届けしたいと思う。

アンビシャスが世界一へ挑む


 3月31日にローズヒルガーデンズで開催されたG1タンクレッドS(芝2400m)で豪州移籍2戦目を迎えたアンビシャスは、9着と大敗した移籍初戦から大きく巻き返して実力の片鱗を見せた。次走は14日(土)にランドウィックで行われるG1クイーンエリザベスS(芝2000m、賞金400万豪ドル)で、25連勝がかかるウィンクスと対戦する予定だ。

 そのタンクレッドSで、中団にポジションを取っていたアンビシャスは、4コーナーで、余力がなくなった先行馬が下がってきた際に進路が狭くなったが、その後鋭く伸びて2着に健闘。勝ったのは、2016年G1メルボルンC勝ち馬アルマンディンであった。

 管理するアンソニー・フリードマン調教師によると、今後の予定は、G1クイーンエリザベスSの後、メルボルン最大の春の競馬の祭典「スプリング・レーシング・カーニヴァル」期間中に開催される10月のG1コックスプレート(芝2040m)に向かう予定で、ここでもウィンクスと対戦する可能性があるとのことだ。

「次走(クイーンエリザベスS)後は休養に入り、コックスプレートに向けてしっかりと調整をしてきたいと考えています。アンビシャスがウィンクスに勝ったとしても驚くことではありません。競馬は何が起こるかわかりませんから。アンビシャスにとってクイーンエリザベスSは勝ちを狙えるレースです」

「今や非の打ちどころがないウィンクスを負かすというのは少々難しいことかもしれませんが、もしウィンクスが調子が悪いということになれば、他のどの馬にも彼女に勝つチャンスはあると思います。しかし、今のアンビシャスなら、絶好調のウィンクスと対等のレースができると思っています」とフリードマン調教師は意欲を見せている。

 アンビシャスは日本に拠点を置いていた頃、モーリス、エイシンヒカリ、ネオリアリズムといった超一線級の馬たちと勝ち負けするほどの実績があり、2000mのレースではキタサンブラックを負かしている。中距離路線で活躍を見せていたアンビシャスだからこそ、間違いなくウィンクスの連勝を止める存在になるであろう。

 豪州では、アンビシャスが2400mで見せた高いパフォーマンスを誰もが認めるところだが、フリードマン調教師によると、距離はもう少し短いほうがベストだと言う。

「彼のこれまでのレース内容や日本の関係者からの話によると、2400mはアンビシャスにとって少し長いと思います。クレイグ・ウィリアムズ騎手も同じことを考えているようです。前走は2400mを経験させるという意味合いもありました。アンビシャスもとても頑張りました。ウィリアムズ騎手は、2000mに戻ることは大歓迎だと言っていました」

さらに、フリードマン調教師は「私はまだ彼の全てを理解しているわけではありません。調教もさほどハードなことを行っていませんが、アンビシャスはレースに行くと普段とまったく違った野獣のようになるのです。これぞ真の競走馬であると期待しています」

クレイグ・ウィリアムズ騎手、ブレイブスマッシュとトーセンスターダムに騎乗予定


 ウィリアムズ騎手といえば、日本の競馬と非常にゆかりのある騎手であるが、今週土曜日、ウィリアムズ騎手は日本から移籍したブレイブスマッシュとトーセンスターダムに騎乗する予定である。

 ブレイブスマッシュのオーナー、オーストラリアン・ブラッドストック・シンジケートのジャミー・ロヴェット氏によると、登録料55,000豪ドルを支払ってでも、賞金250万豪ドルのG1T.J.スミスS(芝1200m)にブレイブスマッシュのエントリーを決めたようだ。ブックメーカーによると、これまでG1・2勝のレッドゼルが1番人気。ブレイブスマッシュは3番人気で、枠順も2番に決まった。

ビクトリア競馬便り

▲T.J.スミスS出走のブレイブスマッシュ、現在は3番人気


 ロヴェット氏は、「ブレイブスマッシュの状態は確実に良くなっています。昨年春にジ・エヴェレスト(1200m)でレッドゼルに負けた時よりも状態は大変良いと思います。前走のニューマーケットH(1200m)で素晴らしい走りを見せましたが、馬場状態も問わず、どんな競馬もできる器用さがありますね」と語った。

 一方、前走フレミントンのG2ブレイミーS(1600m)で離された最下位5着となり、巻き返しが期待されるトーセンスターダムは、土曜日に行われるG1ドンカスターマイルに出走予定。ウィリアムズ騎手がトーセンスターダムに騎乗したのは、昨年コーフィールドのG1フューチュリティーS(1400m)で2着になった際の1度だけだが、今回は彼の手腕に大きな期待がかかる。

「ブレイミーSは終わったこと」とロヴェット氏。「正直、前走の敗因がわからずにいたのですが、その後の調教ではとても良い動きを見せていますし、状態は戻っていると思います。ドンカスターマイルは厳しいレースになると思いますが、展開が向けば必ず勝つチャンスはあります」

 トーセンスターダムは8番枠からの出走。そして、同じくダレン・ウィーア厩舎所属で前走ブレイミーSを制し、ブックメーカーで3番人気となっているヒュミドールの枠は4番に決まった。

1864年に創設された、オーストラリアのビクトリア州における競馬主催団体。メルボルンCなどの大競走が行われるフレミントン競馬場をはじめとした、ビクトリア州各地の競馬場で開催される競馬の運営・統括をしている。近年では日本調教馬の移籍も多数実現しており、日豪の関係に重要な役割を担っている。

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