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【矢野貴之騎手(2)】「あの人たちがいてくれたから…」周囲の支えが生んだ好循環

  • 2018年04月09日(月) 18時11分
TCK

▲移籍直後の挫折…今だから話せる当時のエピソードを告白(撮影:榎本良平)


高崎競馬からデビューした頃は若さゆえに競馬よりも遊びに夢中だったという矢野騎手。高崎競馬廃止後はTCKに移籍しますが、何年も環境に馴染めなかったと言います。調教にもレースにも乗れず「やさぐれていた」彼が前を向けたのは、かつて高崎競馬で一緒に汗を流してきた仲間たちからの支えでした。そして2014年には移籍後重賞初制覇、さらに今年はJRAから移籍したリッカルドで南関東重賞を圧勝します。そして話は地方馬ながらJBCスプリントを制したフジノウェーブの話題に。(構成:大恵陽子)


移籍初日に「ここでは俺やっていけないかも」


――2004年大晦日で高崎競馬が廃止になり、TCKに移籍してきました。競馬場の雰囲気は違いましたか?

矢野 同じことをやってるはずなんですけど、やっぱりこっちだと競争が激しいなって。田舎だとアットホームな感じで、知らない人がトレセンに入ってくると「お、アンちゃん!ちょっと乗ってくれよ」って気軽に声をかけてくれたんですけど、こっちでは全然。サバサバした感じの雰囲気で、「あ、ここでは俺やっていけないかもしれない」って、来た日に思いました。今でも若干そうですけど、人見知りだったので自分から話しかけることができなくて「ここではどうやって乗ったらいいの?」って感じでした。22〜23歳の頃は酷い生活をしていました。上手くいかなすぎてやさぐれていましたね。

――たしかに23歳の頃は195戦8勝。勝ち星はおろか、騎乗数は昨年の4割にも満たないですね。そんな状況でも騎手を続けられた根源には何があったんですか?

矢野 当時は境町トレセン(境共同トレーニングセンター)の人たちが育成をやっていて、心配してくれて関係者に声を掛けてもらってたから、辞めるわけにもいかないなと。あの人たちがいなかったら、もう辞めていたと思います。あと、結婚も大きなきっかけになったと思います。さらに境町トレセンが外厩認定されてからは外厩の馬で声をかけてもらえるようになって、乗り鞍がちょこちょこ増えてきました。そうすると自覚っていうか、乗せてくれる人のためにももっと研究しなきゃと思うようになりました。どう乗ったらいいかを周りの人に聞けるようにもなってきたし、自分のメンタル的にもすべてがいい方にいきました。

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▲当時を振り返って「あの人たちがいなかったら、もう辞めていたと思います」


――ご結婚をされたあたりから騎乗数が年間400鞍を超えるようになってきました。そしてTCKジョッキーとして騎乗を始めて丸10年を目前にシャークファングで浦和・桜花賞(2014年)を制覇されましたね。

矢野 めっちゃくちゃ嬉しかったです。勝った瞬間は何が何だか分かんなかったんですが、その日の夜は興奮してご飯も食べられず、一睡もできませんでした。一発あるなとは思っていたけど、1頭ノットオーソリティって強い馬がいて、それには敵わないかもしれないって思ってたんです。そしたら除外になって「あれ?これ勝つやつじゃない?」って厩務員と話していたんです。枠順も良かったですね。

――翌月にはコパノバウンシで水沢に遠征し留守杯日高賞を制覇するなどここまで重賞16勝。あえて1つだけ印象に残るレースを挙げるとすれば、どのレースですか?

矢野 やっぱりシャークファングじゃないですかね。高橋三郎厩舎に所属している時はフジノウェーブをはじめオープン馬の調教にたくさん乗せてもらってて、次のレースに向けて自分なりには考えて調教をつけていました。けど、シャークファングは初めて「この馬、次どのレースに行こうか」って自分でも考えるようになったし、「次は距離が何mだからどう攻め馬しようかな」とか。厩務員と相談しながらちゃんと自分で考えたのはその馬が初めてだったし、その馬だけは特別ですね。

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▲矢野騎手の思い出の一頭、シャークファング(撮影:高橋正和)


――やはりジョッキーですから、調教だけでなくレースでも手綱をとれることは大きいんでしょうね。フジノウェーブの調教に乗っていた話が出ましたが、今年、リッカルドでフジノウェーブ記念を初制覇しましたね。

矢野 強すぎて、あっけにとられました。フジノウェーブの名前が付いたレースなので「このレース勝ちたかったんすよ〜」って言いたかったんだけど、強すぎてなんか…誰が乗っても勝てるなぁみたいな(笑)。リッカルドはJRAから移籍2戦目でしたが、やっぱり2戦目の方が良くなっていましたね、脱帽です。1400mはちょっと忙しいんじゃないかと思っていたけど、1400mの方が合っているような感じもします。いずれにせよ、現時点では性能が違うなって感じています。報知グランプリCでは(マーチS3着の)ロワジャルダンを子供扱いしたわけですからね。

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▲フジノウェーブ記念では59kgを背負いながらも7馬身差で圧勝(撮影:武田明彦)


(つづく)

※次回の掲載は4月16日(月)18時予定です



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大井競馬に所属するジョッキーの取材を担当。TCK(東京シティ競馬)・大井競馬場の魅力を余すことなくお届けします!

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