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混戦模様となった皐月賞を制するのは!?有力馬の追い切りをチェック!

  • 2018年04月11日(水) 18時00分


ワグネリアンの最終追い切りで気になる点は…


 先週の桜花賞は美浦所属、美浦調教のアーモンドアイが優勝。圧巻のレースぶりで、私の予想は完敗でした。ウマい馬券に記した「美浦所属馬の美浦調教馬は3着まで」というひとくくりで無印にするのはいかがなものか、という意見もあるかも知れません。しかし、調教捜査官としてはそのスタイルを貫いて予想しています。コラムでは冒頭にあらかじめお断りしていた予想スタイルですし、これに関してはどうかご理解のほどをお願い致します。

 レース当日は東京競馬場で競馬教室の仕事をしていましたが、阪神7Rを確認して「ヤバイ」と思ったのは事実。というのも、C.ルメール騎手が同じ13番枠で阪神芝1600mを差し切り勝ち。きっと同じ乗り方をするのだろうなと思ったら、やっぱりその通りでした。今週の皐月賞も中山9Rで予行演習できたジョッキーが本番でも同じ乗り方、なんて可能性は十分にありそうです。

【皐月賞/ワグネリアン】

 個人的には福永祐一騎手が跨った1週前追い切りが好感。この時にかなり落ち着いているように見えたので、11日朝に福永騎手に話を聞くことができましたが、やっぱりその通りだったようです。11日の最終追い切りでは馬場入り時に少し煩い仕草を見せていましたが、これはいつものことですし、むしろ福永騎手は「一歩目にガンと行かなかった」というところを評価していました。

 ただ、調教捜査官として悩ましいのは最終追い切りの馬場がCWコースになった点。これは友道康夫調教師から「前走は中山競馬場だったからか、輸送してから煩かった。だからある程度はやっておこうという意図で」ということで、トラックでの追い切りを選択したようです。坂路なら800m、CWなら1200m。やはり時計になる距離でこの違いですし、調教馬場トータルの走行距離なら坂路は約1100m、CWだと約2500mほどですから、倍以上の差になってくるんですよね。

 最終追いは単走でCW6F86.1〜5F69.5〜4F54.0〜3F39.6〜1F12.9秒。この遅い数字でありながら、追い切り後の様子は煩い感じはなかったので、やっぱり落ち着きが出てきているのだと思います。主観的にはCWは決して悪くないと思いますが、デビューから4戦はすべて坂路での最終追い。ウマい馬券で予想する時にはここが鍵になりそうです。

ワグネリアン(4月11日撮影) style=

ワグネリアンの最終追い切りの馬場がCWコースになった点が悩ましい(4月11日撮影)


【皐月賞/タイムフライヤー】

 前走時のレース内容から、着順だけを見るとガッカリ。ただ、レース映像をあらためて見ていただくと、3コーナー時点で上位入線馬との位置取りには致命的な差があり、むしろ最後はよく追い込んできているというところだと思います。

 1週前追い切りのCWでは、併せ馬で少しもたつくような動き。ここに不満を感じていましたが、併せ馬ではそういったところがある馬。特にCWではその傾向があるだけに、むしろこのひと追いで良くなってくるだろうと考えていました。その通り、4月8日の坂路では4F目12.3秒と動けています。

 ところが最終追い切りはCW。デビュー戦の最終追い以来となるCWで、3勝を挙げた時の坂路ではありません。これまたワグネリアン同様に馬場変化をどう考えるかですが、最終追いの評価だけということなら抜群といってよいでしょう。内田博幸騎手が跨っていたとはいえ、併せた相手に追いついて最後は交わしているように見えた状態でゴール。時計も6F79.0〜5F64.0〜4F49.7〜3F35.7〜1F12.0秒と素晴らしく速いだけに、この攻め内容は評価したくなります。

タイムフライヤー(写真奥・4月11日撮影) style=

タイムフライヤーの攻め内容は評価したくなる(写真奥・4月11日撮影)


【皐月賞/グレイル】

 前走共同通信杯の敗因。ここは速い上がりの決着になったこと、初めての左回りで東京競馬場までの輸送があったことと判断してよいと思います。レース間隔はあいていますが、3月下旬から坂路で時計を出し始めて、1週前追い切りは岩田康誠騎手が跨ってCW。ここでの動きも抜群でした。

 最終追い切りも全く同じシチュエーションで行われましたが、明らかに先週よりもスピード感を増しています。時計は6F79.6〜5F65.1〜4F50.9〜3F37.3〜1F11.7秒。この内容も素晴らしいと思いますし、少し頭の高い走りは直線急坂の中山向き。馬場が渋ってもこなしやすい走法だと思いますし、デビュー戦は不良馬場を快勝。決して前走だけでは見限ることができない1頭だと思います。

グレイル(写真奥・4月11日撮影) style=

グレイルを前走だけで見限ることはできない(写真奥・4月11日撮影)


【皐月賞/キタノコマンドール】

 先週のトレセンニュースでもお伝えしましたが、自分のリズムだと手前を替えるのもスムーズだし、前に追いつくまでも速いタイプ。相手を追い抜くと、それ以上は無駄な動きをしないというところも優等生タイプだと思います。調教でこの走りを見せている以上は特にケチをつけるようなところはありません。

 最終追い切りはM.デムーロ騎手が跨って、CWでの併せ馬でしたが、デムーロ騎手独特の併せた相手に追いつこうとしない内容。これに関しては、毎回記しているように、ジョッキーがやる必要がないと判断したからこその遅れだと思います。確かにドゥラメンテのような爆発力、天才肌のタイプならこれがいいかも知れませんが、真面目なキタノコマンドールにとってこの遅れが良い方に出るかどうかは疑問です。

キタノコマンドール(4月10日撮影) style=

真面目なキタノコマンドールにとってこの遅れが良い方に出るかどうか(4月10日撮影)


【アーリントンC/ダノンスマッシュ】

 1番人気に支持された前走ファルコンSは7着。期待外れというファンも多かったかも知れませんが、この馬の最大の魅力は豪快なフットワーク。自分のリズムで走ることができれば鬼脚を使いますが、多頭数になるとどうしても窮屈な競馬になってしまうところが難点かも知れません。

 そういったところも考慮されて、今回は持ち味を生かすレースを考えているという陣営。そして、これを支えるべく調教内容に関しては1週前追い切りをCWで速い時計、最終追い切りは栗東坂路で軽くという内容。最終追いは2回目のハロー明けに北村友一騎手が跨って、終始持ったままの手応えでフィニッシュ。時計は遅くても、4F目が最速になるラップを踏めていますし、この感じでレースを迎えることができれば、あとは弾けるだけ。

ダノンスマッシュ(4月11日撮影) style=

ダノンスマッシュはこの感じでレースを迎えることができれば弾けそう(4月11日撮影)


◆次走要注意

・4/7 3歳未勝利【アルマーズ】(2人6着)

 追い切りでの動き、血統背景から初出走でも人気に推されました。スタートも想定通りの速さでしたが、意外だったのは実戦での手前替え。初めてのレースであれだけ手前を替えなければ、当然最後は止まります。それでも6着に踏ん張ったあたりは能力の高さ。次走はあっさりと勝ち上がるはず。

[メモ登録用コメント] [ダート]最終追い切りCWでラスト1F最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・皐月賞【エポカドーロ】
 前走時の最終追い切りと全く変わりなく、素晴らしい動きを見せてくれました。併せた相手を捕まえて追い抜いたところは前走のレース内容にそっくり。個人的にはこの脚質が今回の皐月賞には仕掛けが早いかも知れないという予想をしているだけに、印を打つかどうか分かりませんが、状態は前走以上といってもよいと思います。

エポカドーロ(4月11日撮影) style=

エポカドーロの状態は前走以上といってもよい(4月11日撮影)



【予想】井内利彰の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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