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育成馬展示会が開催、ケープブランコ産駒などお披露目

  • 2018年04月11日(水) 18時00分
生産地便り

今年は覆馬場内で行なわれた育成馬展示会


高校生が生産した「北翔」の姿も


 一昨日(4月9日)、JRA日高育成牧場にて恒例の「育成馬展示会」が開催
された。どんよりと曇った空模様で、開始時間が近づくにつれて雪が降り出すほどの肌寒い天候に見舞われたことから、いつもは屋外で実施される比較展示が、今年は覆馬場内に移動して行なわれることになった。

 午前10時。日高管内の生産者や育成牧場関係者、調教師、その他大勢の見学者が揃う中を、日高育成牧場で育成中の全57頭が10から14頭ずつ計5班に分けられ、最初に牡馬14頭がまず登場した。

 さすがに2歳馬もこの時期になると、体はかなり出来上がっている。多くが体高160センチ前後かそれ以上に伸び、胸囲180センチ前後と、1歳市場の時よりは二回りくらいも成長した感じだ。馬体重も多くが400キロ台後半、もしくは500キロを優に超す大型馬も散見する。

 JRA育成馬は、アルデバランII、バゴ、ケイムホーム、ヨハネスブルグなどのJBBA系種牡馬の産駒が目につくが、今年は新たにケープブランコ産駒がそれに加わり、今回ここでは5頭が披露された。

 牡27頭、牝30頭という内訳で、2組目からは、JRA職員に混じり、BTC軽種馬育成調教技術者養成研修第35期生が、それぞれ手綱を握って育成馬を引いていた。

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育成馬の手綱を引く研修生

 比較展示に充てられる所用時間は各組10分程度。したがって要領よく各馬を見て歩かなければならない。そんな中、各馬の生産者も数多く姿を見せており、すっかり見違えるように成長した愛馬のそばで記念写真を撮ったり、持ち手の職員と言葉を交わして調教の様子など質問したりする光景があちこちで見られた。

 新ひだか町から訪れた生産者の一人は「JRA育成馬は、行き届いた細かなケアと調教が行なわれているので、馬にとっても幸せですね。走る走らないはまた別問題ですが、まずは良い状態で4月24日のブリーズアップセール(以下BUS=中山競馬場)まで行って欲しいと思います」と語っていた。

 また、昨年のサマーセール以来、注目し続けてきた母ゴートゥザノース、父バゴの牡栗毛「北翔=ホクト」も、この日、他馬と同じように展示会に並んで、お披露目されていた。

 火曜日とあって、生徒の姿こそなかったが、高校生の生産した馬ということで、足を止めて熱心に見入る人もいた。ちなみに「北翔」は、66番。体高163センチ、胸囲179センチ、管囲20.2センチ、馬体重485キロと、標準的なサイズである。

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お披露目された期待馬ゴートゥザノースの16


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調教タイムは13秒0、12秒2のゴートゥザノースの16

 比較展示の進行は早く、1時間で予定通り覆馬場での展示が終了し、その後は、日高育成牧場南側に隣接する1600mダートコースに移動しての騎乗供覧となった。

 騎乗供覧では、57頭中、51頭が出走し、ここでも、JRA職員とともに、1年間の訓練を経た研修生たちが騎乗するというのが恒例となっている。

 牡牝2班ずつ4班に分かれた育成馬は、縦列、常歩で馬場入りした後、見学者の見守る中をゆっくりとした速歩で向こう正面まで進み、半周回ったあたりで、2頭併せでそれぞれがスタートする。徐々にスピードを上げて、4コーナー手前の2ハロン地点から計時を始め、ゴール板までは結構なスピードで駆け抜ける。ハロン13秒台から終いの1ハロンは12秒台、さらには11秒台を出す組も出て、見学者は各馬のフットワークや息遣いなどを丹念にチェックしながら視線を送っていた。

 ここでのタイムの良し悪しは、BUSでの落札価格やその後の競走成績とはそれほど関係ないとはいえ、仕上がりの早いタイプの馬はついつい好時計が出てしまう。

 今回、2ハロン合計タイムで最速だったのは、第2班3組に登場した、17番母スマイルゲート、父ヨハネスブルグ(牡)と59番母キアロディルーナ、父アポロキングダム(牡)の組み合わせの、12秒7、11秒7、合計24秒4。揃って併走ではなく、ゴール前は17番スマイルゲートの方が先着したので、これが最速ということになる。

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2ハロン合計タイムで最速のスマイルゲートの16

 また終いの1ハロンの時計では、第3班5組に出走した35番母エメラルドコースト、父ディープブリランテ(牝)、49番母ゼフィランサス、父ハービンジャー(牝)のコンビが出した11秒6が最速であった。

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終い1ハロンで11秒6を記録したエメラルドコーストの16(右)とゼフィランサスの16(左)

 この後、育成馬たちは、馬運車で中山競馬場まで輸送され、来る24日のBUSに上場される予定である。宮崎育成牧場の22頭と合わせ、今年は計79頭がセールに出てくることになっている。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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